アップルプラント(※)で年末年始に制作を進めてきた、共同開発の「教具」が出来上がりました。
アップルプラント、という活動の経緯の説明はさておき、まず、その作品を紹介します。
集中しおり
半透明の「しおり」です。普通のしおりは読んでいる時は使いませんが、これは読んでいる時こそ、使います。
本にしおりを当てて、読んでいる行を「ハイライト」します。
目線を進め次の行に意識を集中する。そんな簡単なことが、集中力を欠いている時にできないことってありませんか?さっきからおんなじ所をよんでいるなー、という時が。そういう時、指でなぞりながら読む、とか、線引きを当てながら読む、という習慣を持っている人がいます。これはいわば、認知資源の枯渇を補うための、肉体的な動きによる補助、だと、私は思うのですが、それを、より良い体験にしよう、というコンセプトの元、試作を重ねて、作りました。
家庭教師のアップル。その創業者の畠山さんと、半年にわたるブレストを繰り返し、いろんなアイデアを出しあいました。
集中しおり、にも、いくつかのデザイン候補が残りました。最終的に絞られたのがこの2つです。パキッっとしたハイライトの右側のタイプと、すうっとしたハイライトの左側のタイプ。
人により感じ方が違うので、両方を、作りました。
ちなみに、しおりですので、写真左側のように、普段は本のしおりとして、機能しますので、邪魔になりません。
切り抜いて使ってもらうタイプのシートとして作ったのですが、余ったフィルム部分には、アップルさんのキャラクターをつかって、使い方の一言説明があしらってあります。開発とデザインの協力はマグネットデザインさん。(彼らのすごいなあと思う所は、もらったキャラクターデータが正面しかないのに対し、後ろを向いた絵も入れて、全体デザインをしてくれたところです。)
動画で、雰囲気を
グラデーションタイプを、本に当てて読んでみたところ。
ストライプタイプの場合。
もう一つ。新聞に当ててみた場合。
いずれも大人の読む紙面にあてがっていますが、小学生の読む教科書のフォントサイズと行間、では、また感じ方が違います。
道具としての有用性や、多くのユーザが使ってみてのフィードバックを得つつ、更にこれや、そのほかのものを発展させていこうと思います。
アップルプラントのという活動
家庭教師のアップル、と、
アイデアプラント、で、
アップルプラントです。
別に、リンゴジャム工場とかを始めたわけではなく。この2社が組むことで、子どもや大人の学習をよりよい体験にする道具を作り出そう、という活動です。
私たちアイデアプラントは、発想や知的生産のためのアナログ道具をよく作ります。
家庭教師のアップルさんは、プロの家庭教師事業、それに、学習支援、特に、学習に対しての多様性をもったお子さんたちに対する愛のある教育対応の展開をする財団法人もあります。創業者の畠山さんを昔から存じ上げていました。震災後、悲しいことに東北には遺児孤児がたくさん出たでました。畠山さんのところは、その一部にあたるお子さんたちに対しての学習支援もなさっていました。そうした活動に対しての、支援になれば--、ということで、アイデアプラントから、アイデアトランプを贈呈させていただき、そのご縁から、更に一歩進んで、学習をよりよい体験にする道具を作ってみよう、という、畠山さん―石井、の活動が始まりました。
この活動を、私が勝手に命名したのが「アップルプラント」です。(「畠山石井プロジェクト」では、個人的すぎますし、ダサい割にかわいくない。アップルプラントは、そんなにイケていない名称かもしれませんが、なとなくかわいいので、それにしました。)
私石井の嗜好をご存知の方は、お分かりかと思いますが、「面白くって、アイデアを活かす余地があって、社会の未来がもっと良くなること」ことならば、それがアイデアプラントの志に照らしてあってさえいれば、大体、損得は二の次でやっています。
このしおりだけなく、学習をよりよい体験にする道具、として、アイデアや、ラピッドプロタイピング(本当に、あらあらのラピッド。IDEOの本に、医療用の銃をマーカーとフィルムケースで作るくだりが出てきますが、あの水準の、試作品です)が、結構たくさん、あります。半年間で、二人の間から生まれました。
100ぐらいのアイデアが出て、10ぐらいの試作物があって1つぐらいが形になる。という意味では、この集中しおりの次の具現化物を生むには、次の100と10を必要とするのかもしれません。畠山さんが付き合ってくださる限りは、気長に続けていってみようと思います。
(余談:最近、Facebookで、認知心理学や乳幼児心理学などについて、勉強メモを書いていましたが、こうした活動が背景に一部あります。ただ、それに限りません。発達過程の人間や、子ども、大人、高齢者が持っている認知面の特性をよく知ることは私のメインの事業にも大きくプラスになっています。)