「アイデア番付法」は、極めて簡単な作業の繰り返しですが、やってみると悩みも出てきます。「他のメンバーとは、アイデアを選ぶ視点がどうも違う。話し合いに一貫性を持たせられない」などなど。そこで、効果的なアイデアの選択と統合を図る方法をご紹介します。
アイデアの収束の手法(2)「コンセプトの進化と選択プロセス」

第一段階。
チームで、アイデアの評価指標を話し合います。
例えば「コストが低いこと」が最も重要と考えているチームでは「コスト性」を評価指標にします。
他には「斬新度が高いこと」ならば、「斬新さ」。「内在的な危険性が低いこと」ならば、「リスクの低さ」。「そのアイデアを実現するのが比較的容易であること」ならば、「実現性」。「使い手にとって価値の高いもの」ならば「ユーザ価値」。などなど。

「この3つが、意思決定するときのチームの価値基準だ」といえる、評価3項目を決めます。
(どういう評価項目を選ぶかは、慣れていないうちは、難しいと感じると思います。しかし、幾度か行うと慣れます。)
話し合い、3つ、評価項目を決めます。(例:項目1=「ユーザ価値」、項目2=「実現性」、項目3=「コスト性」。以下の文では、この例で表現します。)
第二段階。
アイデアを評価し、質の低いアイデアを落とします。
まず、アイデアの中で、ベストに近いものを「基準アイデア」と位置づけます。基準アイデアの項目1,2,3に、S S S と記入します。

1つめのアイデアを、項目1について、基準アイデアと比べます。
基準アイデアより勝っている→「+」
基準アイデアより劣っている→「−」
基準アイデアと同じ程度→「S(セイム)」
と書きます。
2つめのアイデアを、項目1について、基準アイデアと比べます。その評価を記入。3つめのアイデア、4つめのアイデア、、、と、次々評価します。
そして、今度は、項目2について、同じように、基準アイデアに比べて、良いか、悪いか、同等か、を比べて記入します。
最後は、項目3について。同様に書いていきます。
これで、全てのアイデアについて、3項目とも埋まりました。
そして「−−−」のもの(評価項目1,2,3のいずれも、基準アイデアより劣るアイデア)は消しこみます。
この方法の優れた点は「基準アイデアとしてベストに近いアイデアを採用すること」です。多くのアイデアは、基準アイデアよりも劣る(つまり「−−−」となる)ので、大幅にアイデアを落とすことが出来ます。
※補足:アイデアに絶対的な優劣があるわけではありません。特に、未成熟なアイデアであるうちは、優劣は一般につけがたい。そこをうまくやっているのがこの方法です。消しこまれるアイデアは、チームが選んだ3項目が変われば、変わります。

全てがプラスになったアイデアがあれば、それを次の基準アイデアに選びます。それでさらにアイデアが落とされ、より質の高いアイデアに絞り込むことが出来ます。
第三段階。
質の高いアイデアを統合してゆきます。
Sや+のついているアイデアが残っています。あるアイデアは、指標1,2,3が+−−、あるアイデアは−−+だったりします。この場合、2つのアイデアを統合することを試みます。「ユーザ価値」はあっちのアイデア、「コスト性」はこっちのアイデア、といった形で。アイデアを統合して出せた新アイデアを追加します。

この統合作業で、ベストアイデア作りを狙います。どうやっても統合できないアイデアもあります。強いアイデアへ進化したもの(スターアイデアの候補)が得られてこの作業(アイデアの絞込みの作業)が完了。
技術系の、あるいは、要件が厳しい状況のアイデアを求めるときに、ぜひ一度試してみてください。
関連ページ:以前のブログに同内容があります。
複数のアイデアからスターアイデアへ。(Stuart Pugh コンセプトの進化と選択プロセス)