※この記事は、一年以上、下書き保存して、醸成してきました。一年たっても姿勢はそう変わらなかったので、お盆の終わりに、えいっと公開します。
□ ユーザさんの声がトリガーを引く
そのフラッグシップ製品である「ブレスター(BrainStormingMaster)」は、60分で100以上のアイデアを出すカードゲーム風のツールです。これが、私たちが一番最初にリリースした製品であり、かなりハイレベルなメンバー向けに、凝ったつくりになっています。
最近の自社の製品を見返してみると、我々の製品開発の方向性は、より短時間で出来、より不慣れなメンバーでもすんなりできるように、なってきました。
ですが、最近(←たぶんこれは、2012年ごろ)、とあるユーザさんが書いて下さったブログを拝読し、それについて、じっと考えることが幾度もありました。
やはり、初心に帰り、知的な胆力の高いメンバーに向けて作り込んだものを作る(−−仮にエントリー層には"難しいよこれ"、と言われようとも−−)、そういう方向性も路線として意識しておこうと思いました。
この心理変化は、いま突然湧きあがる情動、ではなく、これまでにひずみのようにたまってきたものの堰を外して動き出すための静かなトリガーを引いてもらったようなものに近いと思います。(この記事執筆時から、一年以上たった今も、そういう気持ちでいます。)
□ メタ認知する自分
自分自身の創業から今までの「作品作り」過程を振り返ってみます。
創業初期のころは、割と狭いユーザ群に向けて作っていました。お金を出してもブレストの道具が欲しい、という人たち向けたモノなので相当に凝ったつくりで、設計していました。
だんだんとエントリー層に普及するにつれ「これ、難しいよ」という声をもらうようになり、クイックルールやイージールールを別刷りで付けるようになりました。
そして最近の製品は、過去のフィードバックの根底にあるニーズをくみ取って、開発品の方向性を徐々にイージーモードにしていました。
特に、東日本大震災の後に作った「アイデアトランプ」は、我々が仙台にあることもあり、「子供が創造的に問題解決をする場面で困った時に、補助になる道具を作ろう」というのが、開発の根底にある志しでした。
結果としては、大学でのサイエンスデーなどで、子どもアイデアワークショップに用いられる道具とでき、かつ、大人の気軽なブレストの補助道具としても、提供できました。
その後もその志向性は継続し、ブレスト道具を欲する人々の織り成す重層的なレイヤーのうち、エントリー(&イージー)モデルに向けての製品を企画していました。(智慧カード、という、技術的な発想パターンのカードからも、子供用モデル「Chieca」を作っていました)
□ 両方、あり
さて話を戻します。
トリガーを引いてもらって、振り返ってみて思い至ったのは、両方ありだな、という考えです。
- S ) 創造的努力のし甲斐がある路線(ブレストの力に長けた人たち向け)
- C ) 簡単ですぐ出来る路線(創造的な話合いをまず気軽に道具で実践したい人たち向け)
この二路線を明確に意識して、作ろうと今は考えています。
□ でも、一度に一つ
両方をカバーしようとすると、道具としては総崩れになる。これは、何度も企画して没になってきた製品群の中に見られる特徴です。
実際にアイデアプラント製品として世の中に出る製品の5倍〜7倍ぐらいの試作品を作っていますがそうした特徴がみられます。
毎回、コンセプト段階で、S(サティスファクション:強いチームへの深い満足)かC(コンフィデンス:学習初期の自信獲得)のどちらかを選んで作ろうと思います。
その結果、出来上がったものに、ある程度のアレンジとして、SやCの反対側に拡張できる追加運用シートを加えることはできるでしょう。
■ まとめ。「一度に一つ」&「一点突破・全面展開」
作る時には、路線を絞り、形が付いたところで、拡張。
そういう一点突破全面展開、というスタイルを行こうと思います。