2023年05月22日

AIを活用したアイデア創出:アイデアソンでの新たな試み(1)

 生成AIによる記事リード 
 AIはアイデアソンの強力なツールになる可能性があります。アイデアソンは、チームがアイデアをブレインストーミングして、それらを実行可能な計画に変換できるようにするワークショップです。AIは、チームがアイデアを見つけ、アイデアを現実のものにする方法を理解するのに役立ちます。 
   


生成AIを用いて、アイデアソン(チームでアイデアを出し合い、企画にまとめていくワークショップ)を行う事例が増えてきました。そして実績リリースやWEB上の報告を目にすることもちらほら。

萌芽の時には様々なスタイルが登場します。そして、いずれ収斂して定番が出来上がります。しかし、面白いのはこういう萌芽期の多様さです。
かつては自転車には様々なスタイルがあったり、初期の自動車も多様な方式がありました。(エンジン車にすべて駆逐されてしまいますが、実は自動車の黎明期にはEV車がそれなりに存在していました。)それらは収斂して定番化していきました。しかし、単に歴史的な面白ネタというだけでなく、ある方式がやりつくされて、新しいテクノロジーにも支えられて、次の方式が生まれてくるときに、黎明期の多様な方向性が次の開発のヒントとなることも、よくあります。

そして、今のAI。様々な活用方法が試みられています。定番に収斂するのを待ってみてもいいのですが、定番にならなかった方法は、2年後とか10年後、AIが異次元のレベルまで引き上げられたときに、AI活用の豊富なヒントとして活用できるはずです。その意味でも、今の多種多様は知っておいて損はないでしょう。

というわけで、定番的知見かどうかは歴史の検証を待つ必要がありますが、今、定番としてありだなぁと思う使い方を紹介します。

1.課題を見つける。
2.アイデアを見つける。その具体的方法を見つける。
3.アイデアを企画に展開する。

(それぞれの所で、沢山の列挙、選び取り、ブラッシュアップ、が入ります)

AIに限らず、創造工学的には、発想するときに大事なことをステップにすると上記のようになります。従来のフル人力であっても、実施してほしかったステップなのですが、人間の認知資源(いっときに考える量)には限界があり、上記の一部にフォーカスしたことを行ってきました。
(人力のみでフルセットでやろうとすると、へとへとになる1日か、2日ぐらいを使う必要がありました。現実的に難しいので、一部にとどめることが多かったのです。)

人力でしかできないことに集中して認知資源を使えるので、AIが使えるようになると格段に変わります。(格段に広くなります)

さて、もう少し解説をします。

まず、最初は、アイデアを出すステップの「2」から始めがちですが、たいてい、薄っぺらなアイデアしか提示しません。きわめて対処療法的なやぶ医者に似ています。「この子、熱があるんです。」「(熱を下げたいということか。)では、氷水のたらいを用意して1時間ほどそこに入れておいてください。熱が下がります。」のような。
「どうして、熱があるのか」にいったん掘り下げてほしいわけですが、しない。そういうのを対処療法といいます。現時点のAIは、そういう感じになっています。

してほしいことは、課題の深堀です。

発想のお題があったなら、そのアイデアで助かる人はだれか(ペルソナ。=複数いる)を尋ねる。あるいは、その課題を抱えている人はだれかを尋ねる。
その人たちがその課題に関して困っていることを具体的にあげてもらう。その際に、その困りごとを挙げた理由も挙げてもらうと、回答精度があがります。また、のちにチョイスする際の人間側の負担が軽くなります。
人力:その困りごとの中で注目したいものを1つ選ぶ。
その困りごとを増やす要因があるとしたらなにかを、何かを尋ねる。その困りごとを解決する助けとなる可能性があるものを尋ねる。(←創造工学の『属性分析』という手法のエッセンス)
AIにそれらの要素を考慮して、解決策をN個出してもらう。(アイデアの1行タイトルと、詳細補足3行まで、をテーブル形式で出してもらうと読みやすいです。)Nは5〜10あたりを適宜選択。多すぎると依頼内容を外れ始めますので適度な数を。
その中で、特に注目したいアイデアをピックアップし、アイデアの具体的な部分を記述してもらう。その際に、実現性の高い具体方法から、魅力度の高い具体方法までバリエーションをつけてもらうのもおすすめ。
そうして得られたアイデア(タイトル、詳細、実現方法)を、AIに投げて、このアイデアの主な懸念点は何か。その懸念点へのうち手としてはどんなものがあるか、を挙げさせる。
人力:ここまでのアウトプットを編集して、アイデアとしてまとめる。

そのアイデアをリーンキャンバス、か、ビジネスモデルキャンバスに展開させる。新規にゼロから生み出す事業であれば、リーンキャンバスを。既存ビジネスが既にあってその改良発展であれば、ビジネスモデルキャンバスを使う。
自社の事業を具現化するうえで、社内の稟議上、上層部が重視するファクターは何かを考えて整理する。それをもとに、リーンキャンバスを見た上層部が、どのような指摘(建設的批判)をするかを、考えさせる。
その指摘をクリアするようにリーンキャンバス(ひいてはアイデア)を改良させる。

上層部の稟議上の観点が分からないときは、一般に経営者が気にすること、としてもいいですし、自社の創業者の伝記などがWEB上にあるのであれば「〇〇社の創業者が建設的批判をするとしたらどんなことか」などで、少し自社のテイストに引き戻すのもありです。

これが主な流れです。
この先にも、各社や個別の状況に応じてやれることがあります。

五月雨にあげます。

V)仮想プレスリリースをかかせる。この企画が今から3年後にリリースされる運びになったときを想定して、プレスリリースを書いてもらいます。そこには、想定するユーザ像とそのユーザによるテストサービス利用の感想も記してもらう。

M)月次の売り上げ、コスト、利益表を書いてもらう。期間は18か月。

F)初期の顧客獲得の戦略を提案させる。ややリーンキャンバスのチャネルと被るが重なっていてもいいので明確にする。

S)この事業を成功させるのに必要な強みは何か?この事業を行うのに最適な企業はどこか?

などのことがあります。

Designer.png


(なお、上記のすべては、課題解決型の場合です。それ以外のプロセスをとることもあります。具体的には、シーズ起点型の場合は、環境分析&強み分析、シーズニーズ変換、先見倍歴(石井造語)を用います。根本から違う発想の手順です。AI対話の仕掛けも異なります。)

追記:

こうしたことを、創造やイノベーション界隈の人たちがそれぞれに議論して、知見を持ち寄り、より良い知見を共有することが、求められている感じがします。
学会(日本創造学会)の理事としても、この辺の問題意識はあります。
公的私的に、その辺、いろんな形で場を設けていきたいと思っています。

皆でよりよい未来を開いていきましょう。

posted by 石井力重 at 16:44 | アイデアの技法

2022年12月07日

アイデアの発表を聞く時に「6観点」のフォーマットを手書きして、メモしています。

アイデアの発表を聞く時に「6観点」のフォーマットを手書きして、メモしています、という話を紹介します。

アイデアに含まれる観点を大量に集めて大きく分けると、6つになります。
それを拙著『アイデア・スイッチ』(2009)では、『6観点リスト』として記しました。

そのリストは、アイデアを考えている場面でとても便利です。

具体的な使い方としては:
1つのアイデアに注目して6つの観点で潜在可能性として思い浮かぶことがないか、と考えてみます。

6つの観点を次々と とることで、強制的に多角的に眺めることができます。
昨日はちょうど、大学でアイデアのプレゼンを大量に聞いてコメントをする、ということがありました。

まず、手元にあった一筆箋(たまたま、なのですが)に、6観点のフォームをさっと書きました。

東北工大第五回プレゼン評価メモ_002.jpg

(上の絵は「人」「モノ」「プロセス」「環境」「意味価値」「五感」です)

そして、プレゼン(3分ぐらい)を聞きながら、6つの観点で、なにか引き出せるところはないか、と考えていきます。

プレゼンが終わると即、コメントを求められるので「聞きながら」「考えながら」「書きながら」という忙しい作業なので、走り書きです。字も判読可能ギリギリ位のところで。

東北工大第五回プレゼン評価メモ.jpg
東北工大第五回プレゼン評価メモ_001.jpg


他の人には判読できないかもしれません。
できてもコメントのキーワードだけなので意味が分からないでしょう。
ですが、即興コメントには、とても役に立ちます。

以上、「6観点」のフォーマットを手書きして、メモしています、という話でした。

アイデアの仕事をしていて、十数年間で、何百回と、アイデアのプレゼンを聞いて即コメントするということをしています。
その中で使い続けられる汎用性の高いツールです。

付録:6観点リストの技法スライドを、着けておきます → 6観点リスト.pdf
posted by 石井力重 at 12:56 | アイデアの技法

2022年05月18日

ブレストの4つのルール(および、講義スライド)

「ブレストの4つのルール」

ブレストのルールの本質2022_ページ_03.png

石井力重バージョン(2022)
(英語表記:IDEO版を引用)



ブレストの講義フルスライドを公開します。(クリックで大きくなります)

ブレストのルールの本質2022_ページ_01.pngブレストのルールの本質2022_ページ_02.pngブレストのルールの本質2022_ページ_03.pngブレストのルールの本質2022_ページ_04.pngブレストのルールの本質2022_ページ_05.pngブレストのルールの本質2022_ページ_06.pngブレストのルールの本質2022_ページ_07.pngブレストのルールの本質2022_ページ_08.pngブレストのルールの本質2022_ページ_09.pngブレストのルールの本質2022_ページ_10.pngブレストのルールの本質2022_ページ_11.pngブレストのルールの本質2022_ページ_12.pngブレストのルールの本質2022_ページ_13.pngブレストのルールの本質2022_ページ_14.pngブレストのルールの本質2022_ページ_15.pngブレストのルールの本質2022_ページ_16.pngブレストのルールの本質2022_ページ_17.pngブレストのルールの本質2022_ページ_18.pngブレストのルールの本質2022_ページ_19.png


スライドを40秒動画に出力したものはこちら↓





 
さて、話が少しそれます。昔の逸話です。

受講者「なぜ、ブレストのルールはああいうものなのですか?」

講師「まあ、いろんなバージョンがあるけど、大体こんな感じ。こうするとうまくいくっていうものなんだ」

受講者「???、えーと、どうして、こうするとうまくいくのですか?ルールのもつ意味を知りたいんですけど」

講師(そ、そこを聞かれると、ツライ。僕もそう習って、そういうものだ、と飲み込んだんだけど。)

こんな会話が、ブレインストーミングの授業では、時々起こります。
私も受講者側だった時代もあれば、講師側だった時代も。
その疑問も、苦しさもわかります。

あまつさえ、よくわからない説明をされて、その後のブレストの実践がうまくいかなくなり「ブレストなんて意味ないでしょ」となったり。


話を戻します。

ブレインストーミングの創始者、A. F. オズボーンは、その沢山の文献の中で、ブレインストーミングの周辺的概念も説明しています。
彼が考えていたことだけで、完璧に論理的説明を構築するのは、文献の内容だけでは難しいのですが、現代の想像性の大家たちや、創造性研究の知見で補って、それらを「大幅に意訳したモデルで、解説する」ことならば、できます。

そんなことを考えている創造性の研究者が、ブレストの講義をすると、こうなるよ、というのがこのスライドです。

もし、ご自身の講義でこのスライドを使いたいという先生・講師がいらしたら、どうぞ、ご自由にお使いください。

過去に描いた2冊『アイデア・スイッチ』『すごいブレスト』の中でも、ブレストのルールの意味についての説明をしています。石井の中のたまってきた知見の変化で時代ごとに解説も変っています。
より根拠のあるものになっていく流れ、と、より「メンドクサイと思われない簡素化をしていく流れ。
この拮抗する流れがやまないので、説明は常に、改良されていきます。
もし、昔のスライドを引用されている方がいらしたら、ぜひ年次の新しいものを、つかってみてください。

最後に:

「は?読んでも全然わかんねー」という声もありそうです。
石井の説明トークが入って完成するように、すべてを文字化しているわけではないつくりだからです。
もしも、機会があれば、石井の行う各地の大学(東北工大、早大、名城大、奈良女、長崎大)での講義の際に、お近くであれば、のぞきに来てみてください。
その時は、アイデアプラントお手伝い係、という実質オブザーバーの立場を付与して、関係者席に。
  
「で、最後に、っていって、この続きは、書籍を買ってね、とか言うんでしょ」。
いいえ、このスライドで完結する内容です。

公開するのは、アイデアプラントの理念「創造的な人や組織が次々と生まれる社会を作りたい」にのっとって、のこと。

それで、誰かが、もう一歩、創造的な作品へ踏み込むことができ、それが社会を豊かにしてくれたら、冥利に尽きます。
  
posted by 石井力重 at 11:22 | アイデアの技法

2021年10月24日

【アイデアの講義】「飛躍して、でも、入ってる考え方」


上司と部下のよくある例。
「妥当な案は、もう充分。」
「発想を飛ばせ」と言われた。
“突飛なアイデア”を言えば、
「それは、うちの仕事の範疇ではない」。
部下「???」
こういう時、どういう思考のやり方があり得るかというと、
「飛ばして、戻す」考え方です。
解にならないものを考えて、引き戻す。
もちろんこれで発想したものが全部、良案になるとは限らないのですが、たくさんやっていくと、不連続な解を見出すことができます。
いかにもメソッド的に書いてますが、創造的リーダーたちが自然とやっていることです。
意外と、そういう人が一人もいない大企業の開発チームもあったりして、そういう場では、「人工的ですが、こういう思考展開があり得ます」と紹介しています。
これまでホワイトボードとか口頭ベースであったものを、スライドにしました。
起こして、整えていってみると、他の説明と緩やかにつながっていて、必ずしも独立した話じゃないよなあとは思うんですが、これはこれで、作って共有します。
posted by 石井力重 at 10:54 | アイデアの技法

2019年04月07日

無関係なものを組み合わせる、発想トレーニング

”C.U.T.”(無関係なものを組み合わせる、発想トレーニング)

想像トレーニング.png

BBDO出身の院生同期に、昔教えてもらった想像訓練です。

バスを待つ5分とか、温泉とか、道具無しに、無限にできます。

━ 例 ━━━━━━━━━━

目の前に「石鹸」。
無関係は「鉛筆、かな?」。
で、組合せる。
「ペンシル型石鹸、筆跡が香る鉛筆、とか」

━━━━━━━━━━━━━

これは「名称のある技法」ではないのですが、創造的なコミュニティーでは比較的、手軽なトレーニングとしてやっている人がいる方法です。春の部門移動で、創造系の業務を持った方は、ぜひ、月曜日の朝の電車にのったら、思い出してください。

想像する脳の部位があったかくなります。
(※想像力は、狭い所に局在する機能ではないので”部位”といっても、概念的な意味ですが。)


<<補足(黒抜きの部分)>>

『創造的認知』に出てくる実験データがあります。ある単純な数種のパーツを用意し、そこからランダムに3個を抜き取り、組み合わて、なにか役に立つものを考案してもらう、という実験です。
組み合わせやすいセットをもらった群と、組み合わせにくいセットをもらった群では、その結果がより創造的な得点をとったのは、「組み合わせにくいセットをもらった群」でした。

平たく言えば、”意外な要素の組み合わせは、より創造的な所産を生み出す”

という結果です。

上述の技法は、その実験事実を元に、非常に有用です。

(かつ、さらに蛇足ですが、ステップ1の「無関係なものを、思い起こすこと」も、頭の働きを良くします。小学生などはすぐに無関係な要素を言うことができるものですが、大人になるほど、パッと出てきません。無関係なことを想起する行為も含んでいる点もあり、実によくできているいます。)

posted by 石井力重 at 20:52 | アイデアの技法

2019年01月22日

iPhoneの”スピーチ”機能で、耳で書籍を読む(+一本指で操作する方法)

没頭の気質と多動の気質、両面のある私には、読書について昔から悩みがあります。


0.余談から


文献を深く熟考しながら読む行為はできます。

冊子のエッセイのような短く単独の文読みもできます。


ですが、普通の人がするような読書の数時間、ということが難しいのです。


いつの間にか遅々として進まない読み方(記述から想起することに促されて深く思考の深きに入っていくので)をしています。あるいはそれを避けようと、素早く読み進むとそのうち他の事がしたくなります。


ですが、人が喋ることを聞いて学ぶ、いわゆる座学、のようなものは、何時間でも、学び続けられます。


こういう脳の特徴の人は、その大小の差はあれども、結構いると思うのです。

そんな私が、本を「聴く」という方法を、模索して見つけた方法を、記しておきます。



1.Audible(いわゆるオーディオブック)


Amazon系の音声本のサービス「Audible(オーディブル)」で、本を買ってアプリで再生する方法が、もっとも、良い「聴き読書」体験です。(この記事の本題は、2、からです。ここは、その前の余談です。)


良い点:プロのナレーターによる高クオリティーの読み上げ

    小説などは、人物の違い、抑揚などが素晴らしいので、分かりやすい。

    長文の多い著者の場合は、うまいところで文章を切っていて、分かりやすい。

    操作のストレスがないアプリ

弱い点:本の数が少ない(オーディオブック他社に比べて品ぞろえが良い方ですが)

    値段が高い(紙の本が10としたら、音声の本は20〜30、ぐらい)

    ナレーターによっては、中身がつまらなく感じる


Audibleのヘビーユーザでした。ウォーキングのお供はいつもこれ、というぐらいに。

しかし、品ぞろえの中の聞きたいと思ったものを読み切ってしまいました。


そして、記しておきたいと思った本命の話を次に、書きます。



2.iPhoneの「スピーチ」機能、「画面を読み上げる」機能


iPhoneの「設定」アイコン(ギヤのアイコン)に入っていくと、

「一般」−「アクセシビリティ」−「スピーチ」と開いていきます。

そこに「画面の読み上げ」というボタンがありますので、振れてオン(緑色)にします。


(なお、これで最小限は設定できたのですが、より聞くに堪えるためにもう一つ説明を)


その画面の下の方「声」を開きます。

各言語が並び、「日本語」を開きます。

そして

Kyoko

Otoya

Siri(女性)

Siri(男性)

の音声を選べます。

お薦めは、「Otoya」の(拡張)版です。

Otoyaを開くと、Otoya(拡張)というところを触り、ダウンロードします。

この拡張Otoyaは、「モヤモヤさまぁ〜ず」のナレーションに似た感じでしゃべります。

人間のイントネーションとしておかしいこともありますが、ビジネス書を読ませる用途であれば、かなりうまい読み上げをします。


さて、そうして、「声」の設定を終えます。


あとはギアのアイコンを閉じてしまってOKです。

Kindleや論文PDFWEB小説などを表示して、読ませるコンテンツを表示します。


さて、次に「操作」が、一つの壁です。が、対処法もあります。


問題なことに、読ませる操作が、成功率が低い操作方法なのです。


二本指で画面上部から下に向けてなぞります。4,5センチぐらい。

二本指の振れ方がよくないと、「通知の画面」が降りてきてしまいます。一本指で下になぞった時にでるあの画面です。


落ち着いて、画面を左手で持ち、右手の指二本で、平行に同時に、そっとなぞる・・・。

と、成功率は9割なのですが、短時間でさっと、確実にやりたいときには成功率が1/3ぐらいでイライラします。


ここで、二本指操作の試行錯誤から「変な、でも、確実にできるなぞり方」を見つけました。


まず、右手の指をきつねにします。(人差し指と小指を立てる)

そして、画面の上部から、下に向かって、4センチぐらい下げます。


できるだけ長さが近い指を二本立てるためです。

人差し指と中指だと長さが違うので、一本の指が先に画面を降りてしまい、先の操作ミスになりがちなんです。


そうすると、12秒で画面中央に、横長の「領域」が出現します。


スピーチ(画面を読み上げる)機能を操作する横長の領域で、中にはボタンがいくつかあります。

・左の亀、右のウサギ・・・音声が遅く・早くなります。

・再生・ストップボタン・・・音声が再生・止まります。

・右送り、左送り・・・見ている画面上のコンテンツを1画面分進ませ・戻らせます。


これで、表示されている文章を耳で聞くことができます。


ただし時々エラーがあります。

それは画面を閉じていることに起因する(ことが多い)ようです。


Kindle を読み上げている時、画面を閉じてしまうと現在表示されているコンテンツを読み切るとそこで止まってしまいます。あるいはもう1度そのページ内を読み上げてそれから止まります。


対処はあります。

Kindle を読み上げさせる時はずっと Kindle を表示したまま画面を開いておくことです。


ウォーキングの際に、画面を出したままポケットに入れておくとふいに画面に触って別の操作をしてしまいそうで、ちょっと気になりますが。また、画面を出しておくことでバッテリーがそれなりに減るのですが。


Web 小説のようなページめくりの概念がない長い文章は閉じておいても最後まで読み上げます。画面に現在表示していない部分が膨大にあっても最後まで読み切ります。ついでに、広告とかも全部読み上げますが。)(論文PDFのような数ページのファイルの場合は、中途半端に数ページ読んで、止まったりします。)



2-2.スピーチ機能の起動を、 一本指で行う方法


今から説明することは設定が少し面倒くさいですが、設定してしまえば便利になります。


先に述べたことを頻繁に使うようになってくると2本指操作は成功率が高くても、面倒に感じます。特に冬場はスマホ対応グローブでも2本指には対応していませんので。


一本指だけでビーチを移動する方法は以下の通りです。


「設定」−「一般」−「アクセシビリティ」− 「AssistiveTouch」−「最上位メニューをカスタマイズ」

と開いていきます。

なおこうした階層構造は iOSバージョン が変わると変わってしまったりするのでうまくいかない時には近しいものを探してください。


開くとアシストティブタッチのボタン群が現れます。その画面を試行錯誤して色々触ってみてください。

そしてカスタマイズのボタン)だけを残すしてください。

そしてカスタマイズスピーチあるいは画面の読み上げという機能を割り当てます。


ここの説明は読むよりも、5分ほど何度もボタンを触って発見してみる方がいいでしょう。


そしてアシスティブタッチをオンにしておくと iPhone の画面の上に半透明の動かせるアイコンが出現します。これをタッチするとスピーチ機能が立ち上がります。つまり上で説明したような2本指でのスワイプをした後の状態になります 。


後は先に説明したスピーチ機能の操作と同じです。

ただしこのアシスティブタッチのボタンで動かしている時には画面の他の部分に触れても操作が効きにくくなるという利点あるいは使いにくさがあります。ポケットの中で画面を開いていても、意図せず触ってしまう、ということがなく、良いでしょう。(ですが、この状態に慣れていないと画面が反応しないと思って焦るかもしれません。)


一本指しか使わないでスピーチをオンにできるというのは、何度も使う人にとっては、あるいはウォーキングをしながら聞いているという人には便利でしょう。



3.蛇足と、改善方法を探索中のこと


以上の操作でキンドルに存在している本あるいは電子データのとなっている文章はほとんど耳で聞くことができるようになります。


入眠時にスマホの画面を見ると眠たいはずなのに眠れなくなることはもはや自明のようですが難しい文献を耳で聞きながら目を閉じて理解しようとしていると眠たい時には確実に眠っています。


このスピーチ機能で多くの本を読んでいて一つ不満があります。

それは Kindle の画面一画面を費やすような図表が出るとスピーチを止めてしまうことです。

これについては多くの人が工夫を試みしかし現在の使用ではどうしようもないとなっているようです。

図表を飛ばして読むということを選択できるようになるといいのですが。


(ウォーキング中に立ち止まって画面を12回とめくってそこからまたスピーチ機能を再生、というのは結構煩わしいです。入浴中の読書においても、然り。)


posted by 石井力重 at 15:20 | アイデアの技法

2018年06月14日

研修で〔ブレスト中に、ちょっとコメント〕するとよいこと(2)

ブレストをしているときに、アイデアの観点が狭い、ということがありませんか?

そういう時には、「6観点リスト」を投入すると、観点が広がります。

具体と使い方を背景をお話しします。

6観点リスト

ひと自分、相手、他の人、顧客、ユーザ、取り巻く他の人たち、人の集合、市場、組織
ものアイテム、道具、素材、什器、乗り物、形や質量のあるもの、人以外の生物(動物、植物、虫)
プロセス・繋がり一連の動き、なにかの手順、進んでいくものごと、人と人の間のつながり、人がものに及ぼすこと、物が人に及ぼすこと、物と物間のつながり
環境人間サイズよりずっと大きなもの、部屋・壁・建物・道、対象を取り巻いているもの、長い時間スパン
意味・価値手に取って触れないもの(インタンジブルなもの)。意味・目的・価値・金額。
五感で感じるもの
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚で感じるものごと(※そこから思い至ることは、上記のどれかに帰結するがそれでよい)

使い方

ブレストの際に、発想の観点が狭いなと思ったら、「人という観点では、何か発想を広げられないか」「物という観点では、何か発想を広げられないか」と、皆に問いかけます。

大抵は、「ひと」「もの」「プロセス」辺りまでは、自然と考えているので、新しいことが出てこないことが多いですが、いくつかは出ます。

そして、後半の「環境」「意味・価値」「五感で感じるもの」は、発想の観点としては前半のものほどは使われないので、ここからは、新しい発想がよく広がります。

(もちろん、発想の主題によっては、この傾向は崩れることもありますので、6つともトライしてみるのがおすすめです)

背景

私は、社会人博士課程で創造工学を研究していた時代に、様々な発想トリガー(発想法の一種)を収集し、その中に含まれている「観点」を抽出し、分類しました。小分類を集約していき大分類にしたものが、この「6観点」となりました。

これらは、その由来から言って、汎用性の高い発想の引き金として機能するでしょう。

文献としては、拙著『アイデア・スイッチ』の中で紹介しています。他、その後の「アイデア」「発想」「創造」系の書籍の中に、この6観点リスト、そのままもしくは類似形で、記載されています。(引用を明記しての転載は歓迎です。)

ブレストをされる方へ

発想の観点を如何に広げるか。これが、重要です。その際に、発想のお題ごとの重要な観点があれば、それを示して、皆に広く考えてもらうとよいでしょう。しかし、それを使ってもまだ広がらない、という場合には、汎用性が高いこの6観点リストを、試してみてください。

観点を変える。そのことは、問題の解決策を見いだすにあたり、驚くほどシンプルなアイデアを見つけることに役立ちます。

posted by 石井力重 at 16:13 | アイデアの技法

2018年06月13日

研修で〔ブレスト中に、ちょっとコメント〕するとよいこと

(ファシリテータや研修担当者の方に、ちょっと知見をシェアします。)

ブレストがカジュアルにできる手法だと言っても、
普通は、いきなりアイデア出しをしたりしません。
はじめに、洞察、の時間が長く要るのです。

”ユーザはどんなことをしているのだろう。”
”なにが、ユーザのめんどくささの要因なんだろう。”
そういうことを、よく見ていきます。

そして、ブレストに入ります。

一方で、企業研修などで時間尺が短いワークショップにおいては、
その洞察過程が無しでも実施できるように、
各自がもともとその課題を持っている、ーーというテーマを
選定しているでしょう。

そうした状況でちょっと、議論が止まってしまって、
こまるチームが出てくることがあります。

『うちのチームは全員その課題を持っていない』となっている状態です。

そういう時には、ブレスト中にコメントをします。

「ちょっと、もどって、
 なにが、何が課題なんだろう、
 なにが、めんどくささの要因なだろう、
 と、話し合ってみてください。
 そうしていくと、出せるアイデアが深まります。」

と。

以上、ブレストを促進するワン・テクニックでした。
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posted by 石井力重 at 12:29 | アイデアの技法



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