急遽予定を切り替え、9泊ほど東京に滞在しつつ、打合せとアイデアワークの企画制作をしています。
その中でアイデアワークのツールとして切り出しせるものが出来ました。紹介します。
Issue(解くべき課題) finder(発見ツール)です。
使うシーン:
「見つかった問題が、どうも解くのがきつい。出せても、薄っぺらなアイデアしか、立てようがないなぁ」という場面で、使います。
問題○○が見つかると、すぐにアイデアを出したくなります。
つまり、「○○が起こらなくなる装置」という感じのアイデアです。
こういう「問題があったぞ。じゃあ、それに対してアイデアを出そう」という直線的な思考スタイルでは、当初の問題が浅いと、創造的努力が生むものが小さくなります。
ですので、問題の後ろに回り込んで攻め口を探してみたり、その問題を引き起こしている根源的なものに攻め口を探してみるのが上策です。
解くべき課題をいかに設定するかがアイデアワークの肝であり、そのための思考方法はいろいろあります。
それを単純化して、ワークシートに仕立てたのがこのPDFです。
目の付け所がいい、といわれるアイデアは、発想から始めません。問題を見出した後、目の付け所をいくつも考え出してみて、その中で核心のものを選び、課題として定めます。そしてようやくアイデアを出す作業に入ります。
ここまで行くと、成果物を目にした人は「ひねりの効いた解決策だなぁ」と感じます。
使い方:
当初の問題を、6つの観点でみてみると、どういう問題としても考えられるのかをしらべます。範囲を広げて問題を考える、といった感じです。
次に、その問題を生み出しているもの(根っこ部分)に光を当てて、根源は何かと洞察します。
ここまでくると、アイデアを出せたら効果的であろうというもの(すなわち、解くべき課題)が見出せます。
あとは、アイデア出しをします。
チームで行っている場合は、大きな紙に印刷し、皆でわいわい意見を出し合いながら、シートを埋めてゆき、シート上に出てきたものを、深く洞察し、最終的に、何を課題として選定するか、をディスカッションするといいでしょう。
補足:
いわゆる「アイデア発想法」は、最後のブレストの部分について、ジャンプ力を与えたり、出し尽くした先にさらにださせたりすることには有効ですが、課題を同定する、ということ自体は、(大抵の)アイデア発想法の枠組みの外になります。ゆえに、所与の”問題”が陳腐だと出てくるアイデアが陳腐になります。皆の創造的知性からのアウトプットがどうもいまいちだな、という時には、発想力を疑う前に、まず、Issueを熟慮した「発想のお題」になっているかを疑ってみてください。
なお、(大抵の)と書いたのは、洗練された発想技法の中には、それらを持つものもあるからです。使われていくうちに、カバー範囲が広がり、鍛えられ、良く練られたプロセスをもったものになります。それらには、「見る(観察)」「見つける(問題の発見)」「内省する(洞察)(分析)」「定める(課題の設定)」というタイプのステップを見出すことができます。
冒頭の Issue finder は、そうした高度なプロセスをもつ発想技法群から抽出した要素群をもとに、複雑で網羅的なステップを形成し、そこから削ぎに削いで、シンプルにしてみたものです。
posted by 石井力重 at 04:41
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アイデアの技法