2014年11月08日

二段階ブレインストーミング編_(臨機応変なブレインストーミング・テクニック)

アイデア創出のための方法。

これは、古くて新しい技法(=古くからあり、今なお新しいものが生み出される技法)の典型だと私は思います。

人間が集まって発想を引き出し合って創造的な案にいたる、という活動は古今東西存在しています。ある時代に、ブレインストーミングと言うスタイルが登場しそれは広く受け入れられ活用されます。

そして多くの創造技法と同じく、「活用しにくい、表面的ななぞり方」によって、多くの否定的印象も付随していきます。

私の研究領域は、創造工学、とくにプレインストーミングのプロセスや効果性に強く興味を持って研究と社会における実践をしてきました。その中では、「メンバーの資質によって、ブレストのやり方を、臨機応変に変えて実践することが大事」だと痛感しています。

さてでは、ブレインストーミングのやり方にはどんなものがあるのでしょうか。

代表的なものを一覧で示します。

variations_of_BrainStorming__IDEAPLANT.jpg

(もちろん、この4つしかない、というわけではなく、創造技法の世界中の文献には「〇〇式ブレインストーミング」という名称で、概要や実践の中身が記されています。そうした中でも領域を超えて広く使われて、本質のシンプルさまでたどりついているものを上げると、この4つになります。)

ただ、会話しながらアイデアが出ればそれが一番簡単でいいので、それができる場合は、ここに書いてあることは無用です。もし、なかなかブレストがうまくいかないならば、読みすすでみてください。

ブレストの代表的な派生形には

  • 5分交代のペアブレスト(スピードストーミング:SS)
  • 黙ったままやれる書くタイプのブレスト(ブレインライティング:BW)
  • 一人の時間と集団の時間を交互に取るブレスト(フリップボード・ブレインストーミング:FBS)
  • Whatだけのブレストをしてから、Howのブレストに入るやり方(二段階ブレスト)

があります。

どの技法も、長所があれば、その裏返しに短所があります。

それぞれの特性を見極めて使い分けられるならばクリエーティブ・リーダーとしては、アイデア創出の活動を成功させやすくなります。

それぞれのブレストのことは、このブログの検索窓で引いていただくとして、ここでは、VE協会のアイデア創出の講義用に作ったスライド「二段階ブレインストーミング編」のスライドを紹介します。


中身の説明は、このスライドに加えて口頭で行いますので、資料としては自己完結していないかもしれません。

ですが、すごく器用な人なら、たぶん、このスライドを使って、学習と技法の利活用が出来るでしょう。そういう方に活用してもらえたならば幸いです。

私はいろんなところで、講義や講演やファシリテーションをしますので、もしご要望があれば、「あのスライドの中身、ちょっとダイジェストでしゃべってよ」と言ってもらえればしゃべります。



(( 長い、石井の蛇足 ))

ブレインストーミングの派生形は、この二段階ブレストに限らず、面白い示唆を与えてくれます。

まず、一度、別の話からしますが、人間が認知(知覚〜記憶〜思考)をする処理する力は有限で、処理資源、という概念があります。

ブレインストーミングに戻りますが、ブレスト中は、この認知のいろんなステップの作業を同時進行で非常に高負荷で行っています。

きわめて単純な構図で言えば、認知資源が有限であるため、CPU100%を超える認知活動では、処理こぼれが起こります。(考え込んで人の発言を殆ど聞いていない、とか、記憶と言語処理に専念して何も考えていないとか。)

それでもだんだんとブレインストーミング自体に慣れていいって、処理がうまくなっていきます。

ただ、人によってこういう「わいわい話しながらがなじむ人とそうで無い人」がいるわけです。何もコミュニケーションが苦手、という人ばかりではありません。人が話しかけてきている状態で深い概念加工のような思考はしにくい、これは多くの人に共通する当たり前のことです。

そういう側面を考慮することを、人は次第にし始めます。

また、企画と言うのは大きな情報を持っている構造化概念です。一方で、アイデアを思いつくときには人は一部しか思いつけない処理限界があります。ですので、いっぺんにすべてを伴った案の提示を求めると、処理負荷が高すぎて、うまく こなせません。

そして、こういう理屈は明確に意識しなかったとしても、取り組みつつ付ける人たちは自然と「処理作業をスモールステップに分けてみたら?」という意識が徐々に芽生えます。

行動を時間軸上でデザインする、という「構造化をもったブレインストーミング」のやり方を試行錯誤していきます。

そうした多様な営みの中で収れんし残ってきたのが、先にあげた4つである、と、研究、と、実践者の半々の立場である石井の目には映ります。



(( もっと長い、石井の内省の話。蛇足その2 ))

もちろん、そんなことをしなくても、エクセレントアイデアにたどりついた事例はゴマンとあります。ブレスト、というコトバがなかった時代には人類は何一つ発明をしていないのか、といえば答えはノーです。

何度もそれについて考えるだけの日数があれば、次第に生成した概念要素を軽い負荷で扱える(概念加工の操作が出来る)ようになります。そして、処理が有意味のレベルに到達したときに、視界が開けたように、アイデアを表現することができるようになります。

10年の歳月を経て、一つの問題に打ち手を打てばよかった時代と、数日で一つの創造的小さい成果を上げなければならない、マイクロ創造性の発揮が必要な現代の企業の現場では、だいぶ置かれた状況が違います。

チームの創造性を引き出して活用するテクニックをいくつも身に着けておくことが必要になったのは、たぶん、現代の要請なのでしょう。

とはいえ、創造性の本質はまだまだ未踏の闇が深い研究分野です。目安や経験則として使える武器もあるので、それはどんどん活用するのですが、本当にエレガントに、創造の真理を我々が知るにはまだまだ時間がかかりそうです。

実用と学問の二つの車輪が相互に駆動力をもってこそ、知のフロンティアは進んでいく。私はそう思います。創造性の研究者としてのスタンスも、アイデア技法の講師やファシリテータ(時には、企業内の新規アイデア創出のサポートも)するのは、そういう二つの車輪の回転を止めないため、の姿勢でもあります。

長い、蛇足でした。

posted by 石井力重 at 17:05 | アイデアの技法

2014年11月06日

【発想技法】TRIZ「技術の進化トレンド」(次世代製品のアイデア創出手法)

TRIZの「技術の進化トレンド」は、次世代製品を発想する上で、とても強力な示唆を与えてくれます。


<< 手法の概要 >>

現在の技術レベル(進化の段階)を各パターンに対して同定すると、次に起こるであろう進化の姿をタイムライン(進化ステップ)の右隣(ひとつ先の進化の特徴)が分かります。

現在はまだ無いそのエッセンスを「対象としている製品がもしもったならそれはどんな姿だろう」と考えていくと、創造的なアイデアが生成できます。


(( 石井の一言 ))

TRIZはハードルの高い発想技法、あるいは、開発工学手法、と認識されがちです。

ですが、発想法の観点から見てみると、その本質は非常にシンプルでかつパワフルなものあります。

こういう発想技法が好みの方にとっては、TRIZは強力な発想促進ツールとなるでしょう。

(この資料は、VE協会で行うアイデアの講座のテキストとして用いるものです。せっかく作ったので公開します。)

posted by 石井力重 at 11:16 | アイデアの技法

2014年10月23日

分析&ブレスト

ブレインストーミングをする時、その前段のステップに、情報インプット・セッションがあったり、アイデアフラッシュの紹介があったり、宿題として皆が集めてきたある種の課題を共有したり、ということを短く入れることがあります。

その構成のワークショップのとき、場合によっては次のようなステップで、ブレストに入るのもオススメです。

分析からのブレスト.jpg
この構成の意図と、その効果と、簡単にこのステップを実施するコツを紹介します。

◎ 構成の意図

課題⇒アイデア、と直線的に行かず、洞察的な思考をめぐらせたい。

(○○に困っている⇒じゃあ、○○を回避しよう ・・・的なアイデアを思いつきますがその前に、問題をいじり倒してみて、攻め口に厚みも持たせたいのです。)

◎ その効果

これは「属性分析」という分析な発想手法を、平たい表現の問いかけにしたもので、本質はかなりしっかりしたものです。これをしていくことで、見過ごしていた要素に大事な切り口を発見できたり、目の前に見える課題の正面玄関だけはやりつくされた解決策しか思い浮かばない時にひらめきをもたらしてくれたりします。

◎ 簡単にこのステップを実施するコツ

属性分析がどうのこうの、と言う話は一切しなくて結構です。問題の解決の助けとなるもの、問題をより重たくしているもの、をつぶさに列挙してみる。それにだけ10分ほど集中してもらいます。途中で、閃きがきて、ついついブレストに移行しがちになりますが、アイデアはアイデアでいったん、ホワイトボードの端っこにすばやく書きとめて、列挙することにすぐもどるようにします。
観点を縦横無尽に動かして、人と言う観点では、モノと言う観点では、動きや関係性と言う観点では?、といろんな角度で考えてもらいます。『6観点リスト』(詳細は、『アイデアスイッチ』)などをつかって、項目立てて思考をめぐらせるのもいいでしょう。



終わりに:

アイデア出しのプロセスを、私は良く設計するのですが、それは毎回にているように見えて、毎回、案件を土台にして設計しています。その土地の基礎があって組み立てている家のようなもので、決して毎回、出来上がった家をぽこっと置いているわけではありません。

アイデアワークや闊達なコミュニケーションに慣れているような、企画的な企業さんでの実施の場合には、こうした「手軽な分析ステップ」をいれることで、そのあとのブレストがぐっと洞察的に厚みのあるものがうまれます。


以上、きまぐれに、一枚のスライドを紹介してみました。
posted by 石井力重 at 22:08 | アイデアの技法

2014年10月22日

啐啄同時とブレインストーミング

啐啄同時とBrainstorm.jpg


良いブレインストーミングでは、啐啄同時のような「生まれそうで生まれない揺らめいているアイデアを他の人との相互刺激でどんどん表出化させる」様なところがあります。

啐啄同時、という言葉は過去に何度か、書いたので詳しい話しは、左の検索窓で引いてみていただくとして、話を先に進めますと、この啐啄同時のようなコミュニケションパターンを、ブレストの4つのルール(ただし、ひとつだけ、オズボーンの標準形と違う表現をとっていますが)をこのコミュニケーションパターンで見た場合、上の図のような対比構造があります。

とにかく未成熟な、突飛なアイデアでもいいので言う(黄色のカード)。
質にこだわらず、思いつく限りたくさん出す(緑色のカード)。

そういうアイデアとしての「未成熟な状態のもの」が場に出た場合に、

アイデアの良いところに光を当ててコメントする(褒める)(赤色のカード)。
アイデアの面白い部分をつかって更にアイデアを出す(青色のカード)。

という行動がなされます。

この構造は、広く認知された形式知ではなく、どちかといえば、暗黙知的に、クリエイティブ・リーダが体感として知っていることなんですが、この構造を、啐啄同時のコミュニケーションパターンで照らしてみると、こういう対比構造で表現できます。

(中程度の余談です。ブレスター、というブレストの学習カードゲームを作ったとき、心理学者のN先生が被験者を立って実験をしてくださって面白いことに気がつきました。未成熟なアイデアを出す(黄、緑)の次に、アイデアを引き出してやる(赤、青)の役割の人がいると、アイデア創出数は増えました。この構造の下側、上側の人が、交互に座っていることで、創造的な話し合いの場が醸成できて引き出されていったのだという解釈も出来ますが、定性的な評価として座り方を交互にしたり、連続したり、と変えてみると、その解釈に相当する様子が観察されました。)

ブレインストーミングに充分慣れている組織でアイデア創出ワークショップをする場合、冒頭に「創造的な心理様式の使い方としてのブレストのルールの本質」といった話はしなくてもよいので、そういう時には、一歩進んだ「創造工学の雑談」として、こんなコミュニケーション・パターンの構造があるのかもしれません−−といった話をしています。

(以上、久々に、1ページ・レクチャーでした。)
posted by 石井力重 at 11:29 | アイデアの技法

2014年10月08日

アイデア発想法『ワードダンス法』〜変わった選択はしばしば可能性のある新しい道へと導く〜

アイデア発想をするときには、良いテーマを設定することが大事です。良いテーマが作れると発想推進力は自然と引き出され、ブレストのうまい下手によらず、アイデアがたくさん浮かんできますので。

そのうまいやり方は、創造技法の中にいろいろあります。そのひとつを紹介します。

ワードダンス法.jpg

その詳しい説明は、スライドで。

 ↓


これは、最初の一回、慣れるまでは、無関係連想のように、不思議な作業に思うかもしれませんが、やってみて、自分が気が付いていなかった良いテーマ(解くべき課題)を発見できるでしょう。

補足:

テーマ設定の5つのコツ、と言う話を、ときどきワークショップや講義で紹介しますが、それとコレとはどういう位置づけにあるか、というと、ざっくり言えば、同じ効能を持ったものですので、どちらかをやればOKです。

では、このワードダンスはどういうときにオススメなのか、というと、5つのコツのほうが論理的、理系的な思考テイストなのに対して、こちらのワードダンスは、直感的、文系っぽい感性の生々しさをそのまま扱っていけるような、そんな違いがあります。

ただ、突き詰めれば、本質はすごく似ています。

なので、両方が必要か、といえば、片方だけでも充分でしょう。こちらの手法のほうが相性がよい、という方はこちらを使ってみてください。

posted by 石井力重 at 09:06 | アイデアの技法

2014年09月01日

属性分析(あるいは、特性列挙法、とも)を、アイデア発想法の切り口で、手短に説明してみます

ごちゃごちゃに混乱して、何か考えてよいのか分からないけれど、何か改善ができるはずだ、という時には、アイデアを思いつく常套手段として、「属性分析」が便利です。分析的に発想していくので、いきなり新規なことを考えるのが苦手、という人にも向きます。

zokusei_bunseki.jpg
(クリックで少し大きくなります)

ごちゃごちゃの対象(これを私は「系(けい)」と呼称します。理論物理の世界の表現です。ちなみに英語ではSystemの意味です。いずれにしても、考えている対象全体を呼ぶ名称です。)があったとします。

たとえば、非効率なオフィスワーカーの机の上、もありますし、オフィスワーカーの一日で行動に登場するすべての空間を対象にすることもできますし、研究室で素材生成に影響を与える可能性のある空間内全体を対称にすることもできます。いずれにしても、系、があったとします。

その系の中に存在する「属性」をまず列挙します。で、「属性」というのは、なに? 一言で言えば、これは、対象に含まれる、物理的なパラメーター、です。例えば、室温、とか、部屋の明るさ、という、物理単位(℃、ルクス)であらわされるもの。あるいは、「ペンの本数」のようなものも、属性です。床のすべりぐあい(摩擦係数ミュー)もあります。

人間を含んで系を扱っているならば、すこし、物理的パラメーターから離れますが、「他の人の話し声」とか「電話のかかってくる頻度」とか「会議中の上司の発言量」とか「一度にする指示内容の多さ」など、も発想法のときには含めてかまいません。(この辺、どこまで、パラメータを拾えるかが勝負です。変な量でもいいので、とにかく拾いあげてください。)

こうして、その系を記述する属性を列挙します。

(なお、特性列挙法も、本質はほぼ同じです。特性列挙法のほうは、すこし面白くて、名詞的な属性、形容詞的な属性、動詞的な属性、を上げよ、と項目をたてて積極的に広くから拾わせています。(ちなみにそれぞれ、材料/性質/機能、にあたる属性を拾わせていることなのです。)

さて、次は、2つの大きなカゴと1つの小さいかごを用意します。具体的にかカードに書かれた属性をカゴにぽこぽこ、投げ入れていきます。

赤いカゴは「増大関係」。これは、その量(=属性の数値)が増えれば増えるほど、困りごとが増大する、というものを入れていきます。たとえば、デスク上の不要な空き缶(の本数)、という属性。これは、増えるほど、オフィスワーカーの生産性の阻害要因になります。なので、机の上の空き缶の本数は、赤いカゴ。

青いカゴはその逆です。「減少関係」。それが増えるほど困り事が減る、というものです。たとえば「じゃまされずに集中して作業できる時間(の長さ)」です。これは増えるほど、オフィスワーカーの生産性は上がります。青いかごに入れます。ただ、どこまでもそうであるかは、若干わからないな、とおもえても、発想の刺激としてつかうときには、ざっくり進めてしまって結構です。

たまに、どちらになるのかは、良く分からない、自明ではない、数値の帯域によって増減は変わる、という、不確定なものがあります。それは、黄色のかごに入れておきます。たとえば、隣席の人が振ってくる雑談(の回数)、とかはどうでしょう。相手次第だったりしますし、頻度が少ないうちは、気分転換によさそうなので、減少関係、といえそうですが、頻度がある一定以上になると純粋に邪魔になりますので、増大関係です。こいういう、単純な比例関係、あるいは、反比例関係、とはならないものは、黄色に入れておきます。

つぎがいよいよ発想です。やり方は単純。

赤いカゴの中のカード(属性)の量は、出来るだけ減らせないか、と工夫を考えてみます。そうすると、いくつか具体的なアイデアが浮かんできます。増大関係の因子なので、減れば減るほど、うまくいくわけです。

青いカゴは、その逆です。それが増えるほどうまくいくわけなので、できるだけその属性の量を増やせないか、と考えて、具体的なアイデアを思い浮かべていきます。

どちらかといえば、赤いカゴのアプローチは普段も無意識にやっています。やっていないのは、青いカゴのほうです。助けとなるものをより使う、というのは、(特に日本人の思考傾向だと)発露しにくいようです。ですので、赤の時には、あったりまえ、というのもがでますが、気楽人どんどん発想して、青に入ったら、ちょっと面白いアイデアが出そうだなと言う期待感を持って進めていきます。

そして、最後が、黄色。黄色のカゴの中のカードは、一般には、どちらとも言い切れないものなんですが、条件をくぎったり、一連のプロセスの中の期間を区切ることで、有益な示唆が浮かんできます。なので、そういう、ちぎり、をいれてみて、新しい発想をうめないかと、考えてみます。

たとえば、先の例では、隣席の人の雑談の頻度、でしたが、頻度が8時間に5回ぐらいまでなら、円滑でストレスレスな空気を醸成でき、生産性が上がりそうです。5には根拠がありませんが、仮に、5がひとつの区切り位だと見立ててを立てて考えていきます。5回/DAY以下の領域では、この属性は減少関係になる。なので、少しアイデアとして飛ばしますが、「90分に一度、休憩アワーがやってくるオフィス運営。夏場の公営プールのように、一度、強制的に、その場からひきあげさせる。」というアイデアにもなりそうです。90分に一度、というのは、ざっくりめのこでいっていますので実施の際にはもうすこしチューニングがいるという補足付きですが、とりあえず、ざっと線を引いてみます。

また、5回を越えていくと今度は増大関係になる、とするならば、雑談が気にならない人同士で固まらせて座ってもらうという処置もありでしょう。

黄色の属性は、どこかで、極大値(あるいは、極小地)があります。そのあたりに値を動かしていくことで、ひとつのアイデアになります。この例でもなんとなくそれがわかるかと思います。

ただ、一般には、それほど、単純な増大関係→減少関係(またはその逆)という形のものばかりではなく、もっと、値と困り事の量の関数がふんわりしていてよく分からないものもあります。こういうものは、発想の材料から、はじいておきます。

このようにして、発想をするのが属性分析です。

まとめますと、この発想の方法の、基本戦略は2つ。

困り事を増やす量はなるべく使わないようにする。困り事を減らしてくれる量はなるべく増やす。(複雑な因子は条件で分けてどちらかの戦略に帰着させる。)

この発想技法は、系が複雑で単純な着眼点ではすぐに解決が思いつけないような場合に、分析的に見ていき、徐々に具体的な発想寒天を得ることができます。こまったらぜひ使ってみてください。

なお。

この技法の最もハードルの高いところは「属性を拾い上げる」ところです。温度ー、とか、明るさー、のような分かりやすいものはたちどころに誰でも上げるのですが、そのほか特に人間を含む系では、感性的な要素をどれだけたくさんひろってこれるかが勝負になります。先にコメントしましたが、変な量を拾い上げていたってかまわないんです。とにかく、属性を列挙していく。そこに専念して、対象の系をつぶさに観察したり、イマジネーションの力でそこに浮かび上がる属性を、たくさん、見出してください。


posted by 石井力重 at 10:22 | アイデアの技法

2014年08月30日

「アイデアの通せんぼ/アイデアメーション/ネクストゾーン」(発想の特性)

アイデアワークショップや、創造技法研修の冒頭で紹介している創造性に関する特性やアプローチ法の部分について、今日は表現や図表を再考をしていました。

そして、一枚にまとめみました。

クリエイティブ系のワークショップで、皆が発想を口にするハードルを、ぐいっと引き下げるための導入部分、私が最も伝えたいこと、です。

発想の特性.jpg

このスライドをクローズアップしながらの「60秒トーク」メモもつけておきます。

  1. ブレストを作り想像性に造詣の深かったオズボーンは、“アイデアの通せんぼ”という面白い概念を述べています。「思いついたことを、頭の中で却下していると、他のアイデアの通せんぼをしてしまう」と。

  2. 現代の創造性の大家の一人、フレッドリックへレーンは「はじめ、思いつくものは皆が思いつく」ような、いわば、Informationに、アイデアという体裁をとったようなもの、すなわち、“アイデアメーション”が出ると述べています。

  3. なので、多くの人は、さあアイデアを出そう!と言うとき、どれも取るに足らないアイデアばかりだ、ともって、頭の中で却下してしまいます。
  4. そうすると、だんだん、却下した思い付きが、新しいアイデアの出現を邪魔してそのうち、何も思いつかなくなってしまうーー、ということを、よくやってしまいます。

  5. これらの特性を踏まえると、三つめの図のようになります、「手前は打案ばかり。独創的なアイデアと言うのは奥のほう、であり、手前にあるものが邪魔して、奥の輝きは見えません。」

  6. となると、我々が取るべき戦略は極めて単純です。

  7. 手前にあるものをひたすらつかみ出す努力に注力します。凡案、駄案マシーンとなって、思いつく限りのことを出します。するとそのうち、手前の大きなところは出尽くして、奥に手がリーチします。

  8. このあたりで苦しくなってす出尽くした感じがしますが、ここからが、おいしいゾーン、Next Zoneです。ここからがんばってさらに出とその中には、砂金が含まれているでしょう。

  9. これが、発想の特性をふまえた「創造的努力の方法」です。

  10. 本日はそこまでストイックにやる必要はありませんが、思いついたことを出すことを出すことをためらわないで!ください。”これは凡案だ?”それがなんだというんです。人の頭は誰しもそういう風に出来ているのですから、それでいいんです。思いついた外に出す、ほってほって、はやく、奥に手が届く、ようにしてください。

(執筆余話)

この、三つめの図に名前を付けなさいよ、と先日、とある創造性に造詣の深い方にアドバイスを貰いました。名前は大事。とはいえ、カラーがつきすぎる名称を付与するのも、私の性格的に難しいので、仮称で、Next Zone、と、とりあえず呼ぶことにしました。(なので、図の中で名称にカッコつきで記しています。) ここは好きに呼んでもらえたらいいかなぁと思っています。
posted by 石井力重 at 11:34 | アイデアの技法

2014年07月08日

【発想ツール】アイデア3操作(即興アイデア発想用)

 
 
アイデア3操作_即興版SCAMPER.jpg

 
 
発想ツール作家、と自らを規定している割には、アイデアワークショップばっかりをして全国行脚をしてしまっているのですが、やっぱり自分の本職をしているときが一番、深く、思考できます。

今日は、ツールのアイデアが沸いて、作品を1つ作ることに一日を費やしていました。

作品、といっても、商品になるものを作るばかりが、「発想ツール」ではありません。「(発想系の)思考ツール」もまた、作品の一つです。どちらかといえば、そういう活動が10あって、そのうち1ぐらいが、商品化の香りを持って立ち上ってくるわけで、うちの商品開発は実は商品開発ありきでは無いんです。

と、前置きが長くなりましたが、公開するの恥ずかしいですが、次の高校での授業で使う為につくったツール「アイデア3操作」、公開します。(簡単に言うと、即興版SCAMPER、です)



posted by 石井力重 at 00:57 | アイデアの技法

2014年03月24日

ブレストの4つの阻害要因

「ブレストが、うまくいかない!」という時がありませんか?

そういう場合に備えて、知っておくと効果的な話があります。

ブレストは効果的なのだろうか、これについて長年研究がなされていますが、「ブレストの損失を生じさせる、4つの阻害要因」として次のものを見出されています。

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ブレストの4つの阻害要因
1)評価懸念 (evaluation apprehension)
2)発言量の同調 (production matching)
3)ただ乗り (free riding)
4)発話のブロッキング (production blocking)
引用:『会議の科学』P15〜17
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この部分は、とても示唆に満ちています。もう少し、抜粋・引用をいたします。

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1)評価懸念 (evaluation apprehension)
「自分の意見が他メンバーから否定的に評価されないかという懸念が生じ、発言を控えてしまう」
2)発言量の同調 (production matching)
「どの程度自分が発言(発案)しようとするかを、他のメンバーの発言量を参照しながら決めてしまう傾向」
「他の人があまり発言をしないようであれば、同じように自分も発言を控える」
3)ただ乗り (free riding)
「他のメンバーの努力に期待する一方で、自分は手を抜き、努力を惜しむこと」
「自分の努力が全体の成果にどの程度貢献するのか、その度合いが明確ではない場合や、自分が何もしなくとも他の優秀なメンバーの頑張りで目標を達成できるような課題において生じがち」
4)発話のブロッキング (production blocking)
「通常の対面集団(顔を実際につき合わせて話し合う集団)では、一時点で発話可能なメンバーが一人であることに起因」
「誰かが発言しているときにはそれに耳を傾けている必要がある。」
「他の人が話している間にもアイデアを考え、しかもそれを忘れないようにしなければならない。」
「アイデアを忘れないように記憶を保持する間は新たなアイデアを考えることができない。」

「4つの阻害要因のうち、ブレインストーミング課題において最も強く作用しているのは、「発話のブロッキング」
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同書は、学術書に属する書籍で、ビジネス書エリアは見かけませんが、会議に関する深い知見をたくさん提供する良い本です。引用部分に興味をもたれたならぜひ一度、手にとって見てください。

さて、この4つの要因、これが自然と効いているならば、なるべくそれを回避する。これが、なすべき打ち手へのヒントになるでしょう。ここからは、アイデアプラントの獲得してきた方法を展開しますが、お付き合いください。


この4)発話のブロッキング、これがもっとも大きいので、これを解消することをてこ入れしたいわけです。
どうするか?
この要因、よくみると、2つのポイントがあります。
・4−1「同時にしゃべれない」
・4−2「記憶を保持している間は、別のことを考えない(考えられない)」
というものです。

「前者(4−1)」を解消する方向に、創造学会の研究グループは歩を進めています。以前「創造する人々」で電子ブレインストーミング(特定の構造を持ったオンラインチャット)のシステム開発の研究者さんをとりあげましたが、「対面でのブレストには、物理的な発言量の上限がある」ことを払拭するために、(たとえばかりに同じ部屋にいて対面しても)端末を通じてアイデアを提示しあうことで、その物理的な上限値をはるかに上げていこうとするアプローチです。

「普通の会議ではどうすれいい?そんな電子システムとかないよ。」という意見も出そうですが、安心してください。ブレストの発展形で紹介したように「シートに書いて回す」(ブレインライティング)という方法は、この要素を最小限にとどめようとする集団発想技法です。それを活用する、というもの一つの手です。

「後者(4−2)」の解消については、とっても簡単な一つの処方があります。「紙に書く」ことです。

このコツは、ある種の人々には効果があります。

アイデアを保持する間は聞いていない。あるいは、まじめに聞いているうちに、思いついていたことを忘れる。そういうことは良くあります。なので、思いついたら、走り書きでもいいので手もとに書き留めて、ストックしておきます。こうすると、他の人の発現を、アイデアを発想の刺激として有効に使える量が多くなり、アイデアの産量は増えます。簡単すぎるコツですが、ある種の人には目に見えるほどの効果が出ます。

それと、経営者の方にも、この「紙に書いておいて、さっさと忘れる」ことは、オススメしたい方法です。

ブレストの間に出てくるアイデアには、「懸念点がいっぱいあり、ついつい、その場での懸念点も言ってしまいたくなる」ものです。これは、短期記憶エリアの保持量を減らしたいという、自然なことだとおもいます。ですが、ブレスト中だと、懸念点の言及は出来ないわけです。なので、よく聞くのが「ブレスト中に、頭の中がそれ(思い浮かぶ懸念点)でいっぱいになっちゃう(なので、次のアイデアが思い浮かばない)。」という言葉です。

その時は、こうします。

  1. 名刺サイズのメモカードを50枚、束にして(輪ゴムでとめて)胸ポケットに入れる。
  2. 気になることがあったら書き留める。
  3. 書いたら、忘れて、アイデア創出の作業にすぐ戻る。
これだけで、ブレストに参加しやすくなります。
ブレストの後の「アイデアのブラッシュアップ」の時に、そのカードは、役に立ちますので、もっておいてください。

実際にやってみると、”その場では気になっても、あまり注目する必要が無かった懸念点、というのも結構あるんだ”と自己認識するでしょう。


本稿は、誠ブログを、一部加筆修整し、掲載しました。
posted by 石井力重 at 12:29 | アイデアの技法

2014年01月07日

アイデアに便乗するとは:

 

ブレストの際に「人のアイデアに便乗してアイデアを出す」ということが、よく分からない、という声を良く聞きます。

できるだけ、言語化して、シンプルなステップで表現してみました。

(ちなみに、講義やワークショップで、私はこの思考活動をさして、『アイデアの衣を引き剥がして、新しい衣を着せるんです』と一言で説明しています。もう少し、きちんと言うと、上のスライドのような思考ステップとして説明できます。いつも、講義などでは、言いたいことがたくさんあり、この辺を圧縮してしゃべっています。)
posted by 石井力重 at 14:39 | アイデアの技法

2013年11月14日

ブレスト(ブレインストーミング)のやり方

ブレストのやり方.png


ブレインストーミングのやり方について、いろんなタイプのものを紹介し、ワークショップでも実施してきましたが、その前にそもそも、普通のブレストのやり方を紹介していない(そこはスキップしている)ことが多いなと、気が付きましたので、紹介します。

ブレストですべてがうまくいくわけでもないし、アイデア創出の会議の基本所作に過ぎないわけですが、それでも、ドリブルの技術がうまければ、より高度な戦術展開においても、すいすいとそのフェーズに行けますし、いろんな局面でも基礎力の高さはやはりものを言います。

そういうわけで、ブレストの基本的な所を紹介してみました。


posted by 石井力重 at 16:41 | アイデアの技法

2013年10月28日

【スライド】二段階ブレスト(批判禁止がなじまない組織でもやれるブレスト)

「うちの組織風土じゃ、ブレストって、難しいよ。すぐに批判が出ちゃってさ、、、」

そんな声を、企業内研修や、大学校での経営者層クラスで、良く聞きます。

そういう場面で多様なブレスト技法の講義をするのですが、ブレストっぽい雰囲気が作りにくい組織において、受けがいいのが「二段階ブレスト」です。

先に10分間、What(理想案)だけをブレストし、
次に、その中で最も魅力的なものを選び、
今後は、10分間、How(実現方法)だけをブレストする、

というものです。

「What⇒How」ブレスト、といってもいいでしょう。

スライドを掲載します。

(初めの二枚は、無視して結構です。発想体験ワーク時の、仮想テーマですので。)


文章での詳しい説明は、

拙著『アイデア・スイッチ』

のブレストの章をご覧ください。
posted by 石井力重 at 12:22 | アイデアの技法



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