2009年06月20日

ビジネスエスノグラフィーという手法

博報堂のイノベーションラボのチームが提供するビジネスエスノグラフィー研修はとても興味深いです。

全部の資料をご紹介したいくらいなのですが、それはコンテンツ保護の面から避けたいと思います。ですが、とても良い手法・良い研修なので、興味をもたれた方が来年の研修に参加されるときの検討材料になればという思いもあって、すこしだけ、印象に残った部分を書きたいと思います。

※私の解釈による記述には、間違いを含んでいる可能性があります。あらかじめご了承ください。


「エクストリーム・ユーザ(極端なユーザ)は、色濃く見せる。本来人間が持つ願望を」

「そのもっと薄まったものを、多くのユーザは持っている。つまり潜在的なニーズを」

「しかし一般のユーザは、エクストリーム・ユーザほどには、それについての手間や時間をかけないので、潜在的な願望は実現されないままでいる」

「そこに機会領域は見出される。その願望の本質を具現化する新カテゴリーを創造しよう」


きわめて、抽象表現です。ですが、私がこの手法の本質であると感じ取ったのはこんな感じのものでした。もちろん、この印象部分の前後には、それが必要とする前調査や分析からはじまった様々な作業があります。それは結構緻密であったり深い検討を必要であったりします。

それから、もうひとつ、この手法の興味深い所がありました。それは「エクストリームユーザをインタビューして、何に困っている?をたずねても、何も困っていない」という点です。従来の開発だとニーズを拾ってきますが、それはユーザは何に困っているかを聞いたり見つけたりする作業になります。しかしエクストリームユーザは、極端な使いこみ方をして、十分にしたいことを自分で達成しています。かれらのインタビュー結果を分析していて、はじめ「あれ?この人の調査ケースからは注目すべきニーズがない」「おかしいな、こっちの人もだ」という不思議な感覚でした。これは、従来の「ビジネスチャンスは、困っていることを聞き出すこと」であるという疑わない前提条件的な意識を、見直す出来事になりました。すごく興味深いと思います。

そんなとても学びと刺激に満ちた手法でした。この手法を用いて、創造ツールの開発をしてみたいなぁと、思ってみていました。



keyword:ビジネスエスノグラフィー

⇒ ビジネス・エスノグラフィー【まとめ】
posted by 石井力重 at 03:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

エクストリーム・ユーザの探し方

Extreme User(エクストリーム・ユーザ)という概念があります。IDEOのイノベーションのメソッドでも、キー概念のひとつとして挙げられています。

This is the IDEO Way
Five steps in the process of designing a better consumer experience
(businessweekの2004年記事)

そのビジネスウイークの中の説明によると、「Extreme User」は「people who really know―or know nothing」を意味します。

ビジネス・エスノグラフィー(英語ではbusiness ethnographyという表現なしないようです。あるいは、検索にかかるほどには一般的な言葉ではないようです)という手法は、参与観察を主軸とした商品開発のための観察手法として、さまざまにあったものを、IDEOのイノベーションのメソッドと博報堂のイノベーションラボのスタイルをもとに、博報堂の同ラボが手法として整備したものです(※この、石井の解釈には、誤りがあるかもしれません。その場合は、ご指摘ください)

さて、エクストリーム・ユーザはいかにして探すか。自分たちが調査したエクストリーム・ユーザは本当に、エクストリームユーザ足る人々であったのかをどう担保するのか。これについて、先日の研修で、検討を行いました。

体系的な方法といえないかもしれませんが、こういう方法で、探して列挙して、選び出すことはできるかもしれません。

1.極端な使い方をしている人を探す、紹介してもらう。

2.その人に、別の極端な使い方をしている人を紹介してもらう。

3.それを繰り返していく。

4.様々なタイプの極端な使い方をする人が見出せるが、似たものをカテゴリーにしていくと、ある人数にたっすると、新しいカテゴリーは見出されなくなり、だいたい既存のカテゴリーに当てはまるようになる。

<ある先生は、この現象を、理論飽和、と表現されました。詳細は検索しても見つけることができませんでしたで、言葉の紹介にとどめます>

5.各グループから、グループを代表する人物をピックアップして、観察対象となるエクストリーム・ユーザのリストとする。


あるいは、ユーザと接する人(たとえば、製品の売り子さん)にヒアリングして、極端なユーザのタイプを列挙していく、という方もうも考えられます。複数人からヒアリングして、統合すると、極端な人にもグループがあるとわかるでしょう。その後、そのグループにマッチする人を探し出す(たとえばレジ近くで、スカウトして調査協力を依頼する)ことができます。


聞きやすい人に聞いてみただけ、では、ビジネスエスノグラフィーの真価を発揮できません。エクストリーム・ユーザ探しをして、その調査対象者リストが、有効であることを、まず確保したいものです。

もっとも、事前調査段階で、エキスパートユーザへのインタビューを通じて、トレンド感や、切り込む視点をもっているはずですので、まったくの全方位的なエクストリームユーザ・リストである必要は必ずしもない、と思いますが。



keyword:ビジネスエスノグラフィー

⇒ ビジネス・エスノグラフィー【まとめ】
posted by 石井力重 at 02:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

博報堂・JMAの提供する研修に参加しています。

博報堂のイノベーションラボの方々が提供する研修に参加しています。とても興味深い、そして、実践的な研修です。

ビジネス・エスノグラフィー、という手法です。

エスノグラフィーは人類学者が異なる文化にはいり、自身も行為の実施者として観察する(参与観察する)方法です。学術向けの方には佐藤郁也先生の本などが素晴らしく参考になります。

これをビジネスで使うとういう手法です。博報堂やIDEOでその調査手法が使われています。

今ない商品を創造していくには、従来の大規模・定量の調査ではでてこないものがあり、それをあぶり出すにはどうするか。ということで、この手法が効果を発揮します。

くわしくは、今、書く時間がないのですが、また、レポートしたいと思います。



keyword:ビジネスエスノグラフィー

⇒ ビジネス・エスノグラフィー【まとめ】
posted by 石井力重 at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

研修参加の報告ビデオ3

今回の研修の参加を決めた、IDEOの方からの講義です。
ここだけは、バブルを埋めていく独自ノートではなく
PCによる速記メモをとりました。
それをダーっと報告していきます。





















最後に、いただいたスライドを3枚(どうしても紹介したいことが絞れず、特別に4枚)紹介します。

※頂いた資料としての利用の仕方が不適切であればすぐに削除します。ご指摘ください。※




追記:

IDEOのことを、創造工学の研究者として、もっとよく知りたいとおもっていました。書物やWEBサイト(のうち、日本語のもの)を見ていたのですが、今回の研修で見聞きしたことは、それをずっと超えるものでした。

今回の研修は、時間も費用もかなりかかりますが、参加してよかったです。(私の報告はあまりよく分からないものになってしまっていますが、ぜひご興味あれば、この研修を受けられてみてはいかがでしょうか。JMAのビジネス・エスノグラフィー研修、は今回は初回とのことでした。たぶん、今後も開催されるとおもいます)



keyword:ビジネスエスノグラフィー

⇒ ビジネス・エスノグラフィー【まとめ】
posted by 石井力重 at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

研修参加の報告ビデオ2














keyword:ビジネスエスノグラフィー

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posted by 石井力重 at 01:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

研修参加の報告ビデオ

出張や休暇がつづいて、なかなか仙台や各地のメンバーと情報共有ができません。とくに興味深い研修があったので、そこで私がみききしたものを雰囲気まで含めて報告したいと思い、ビデオ報告のスタイルを試してみることにしまた。

【石井のレポートビデオについてのご注意 4カ条】

ご注意ください

1.正確な内容ではなく、私が認知した理解フィルターへ経た情報です。また、報告する際に、自分のメモ書きの理解でさらにフィルターがかかっています。

2.体系的ではなく、私の認知がすっとんでいるところは、話がとぎれたり、なんとなくしりきれだったりしています。雰囲気だけ、聞いてもらえれば幸いです。

3.破壊的に文字が汚いです。オリジナルノートをつかって、単語の川を形成していくノートスタイルです。早く、概念的なものを、具体的な単語の放射状・スパイラル状の列にきりとっていくため、文字をとと得ておりません。そのため、読みあげているその文字が象形文字?とおもうようなレベルになっています。雰囲気だけ、つたわればいいと割り切っています。自分でも判読に苦しんでおります。

4.読みまちがえます。私のくせですが、頭で理解していても口はちがったことばを読み上げたりしています。また、私の聞き取りミスもあります。これらは講義提供者ではなく、すべて石井の責任であり、「ふんわり理解」にのみ、役立つものであるというコンセプトをぜひご理解ください。



はじめに、講座全体のことがお話しされました。



補足:
速記メモのため、人名に敬称をつけていません。すみません。
なお、研修の人数は、聞き間違えていました。もっと多かったようです、訂正します。


午前中の講義「知識デザイン経営」の紺野先生の講義です(1/3)



補足:
冒頭近くの、なぜB.E.(ビジネスエスノグラフィー)か、については尻切れトンボにしてしまいました。理解が十分でない、自分自身をのちのち自己認識しました。自分の説明をあとで客観的にきくと、興味深いし、荒が見えますね。これはこれで、いろいろ自分にはしさがあります。


午前中の講義「知識デザイン経営」の紺野先生の講義です(2/3)



午前中の講義「知識デザイン経営」の紺野先生の講義です(3/3)



この講義で特に印象に残った3枚のスライド



補足:
講義資料からどうしても紹介したいものを3枚だけピックアップする、ということで「この講義で特に印象に残った3枚のスライド」をエクストラでつけます。頂いた資料の利用法としてはNGの可能性があります。もしNGのときには速やかに削除したいと思いますのでご指摘ください。

以上です。

(本当は午後もあります。午後はIDEO ブライアン・リンク氏からのお話もあり、大変興味深かったです。これはまた、別途報告します)


紺野登先生の著書『知識デザイン企業』は、お勧めです。経営学系の本としても十分な構成になっていますが、経営者がよむ本としても有効な示唆に富みます。大量生産、オペレイティブな経営、といったものばかりじゃない、やわらかい感性、明確な言葉をまだみつけられないでいる新しい価値、を重視する人にとっては、示唆がたくさんあるとおもいます。



keyword:ビジネスエスノグラフィー

⇒ ビジネス・エスノグラフィー【まとめ】
posted by 石井力重 at 01:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2009年06月19日

ビジネス・エスノグラフィー【まとめ】

http://method-and-howto.sblo.jp/article/31942509.html

へ移設しました。
posted by 石井力重 at 23:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2009年06月13日

初期の正しさ→モデルの限界

「モデルの限界」ということについて、考えてみています。

経済や組織や生き方。そういうものにはある種の「これが正しい」と思っている事柄があります。思いこみ、というには、余りに確からしくて、それが「真実」に近いようにさえ思える、そんなことについて、ちょっと考えてみたいと思います。


初期の正しさ

初期の段階で、”最もだ”と皆から指示される傾向や法則的ことがらがみつかります。

初期段階は、大抵は、分かりやすい何か(量X)が増えれば増えるほど、成功していると感じる度合い(量Y)が増える。そういうシンプルな社会になっています。これはなぜなのかは、分かりません。そういうことが多いな、といういわば、それが成り立つ上での議論に限定する、ということで話を進めてみます。

たとえば、組織の立ち上がり期にはXは「効率的分担の進行度」でありYは「生み出す価値」でありそうです。
たとえば、経済の立ち上がり期にはXは「可処分所得」でありYは「幸せ」でありそうです。


モデルの限界

ところが、初期の段階ではほぼ反例のあげられないそうした「確からしさ」をXが非常に増えた領域でも「正しいと仮定したままにする」ことが、多くの問題を引き起こします。

もっとも、身近なのは、人生の問題で「可処分所得」が増えれば増えただけ人は幸せか?といえば、「はい、100%そうです」とはいえなくなります。所得を増やす方法がいろいろありますが、単純に労働量の増加で所得増をゆくような路線の場合、高い確率で健康上の大きな代償を得るか、家庭という一番小さな社会を故障にみちびくことが起こります。もちろん、お金なんてたくさんあると不幸になる、という議論とは全く違います。

組織でも、同様です。
「効率的分担の進行度」の大きくなった組織ほど「生み出す価値」が増大するか、といえば、組織としての老化〜死に近づくような道も生まれてしまい、行きすぎた効率性の結果、創出する価値が変質してしまう、ということも往々にあります。経営学の世界ではミンツバーグの「人間感覚のマネージメント」で言っています。

初期の正しさは、一定量を超えたらば、モデルの限界を考えなければなりません。難しいのは、初期段階で植えつけられた「この法則は正しいのである、ただの一つの反例もなく」という心理が判断を誤らせています。

経済、資本主義という経済モデルについての私見

資本主義の経済というものがどこまで行くのか。経済の貨幣流通の速度が人間の手の上で、人間の判断の速度で、動いていたうちは、この資本主義の経済原則で、社会はまわせばまわすほど、よいというモデルだったかもしれません。しかし、今日のように金融工学が発達して、可能性上の選択肢を実際に実行できる取引インフラや計算速度、膨大な取引実施を可能にできるコンピュータシステムが、できた状況では、このモデルを極端な取引についても「正しい」とおもい実施する結果、経済的な「おかしいな、やっぱり、でも、どうしてだろう」という社会的総意に至るのかもしれません。

モデルというのは、ある物事の本質を単純に切り出してきて、少ない登場物で、その場の現象を説明する・未来を予測できることに価値があります。しかしそのモデルは、やっぱりモデルであり、そのモデルを描き出した物理量をはるかに超える量な物理量の段階でも、そのモデルを適用すると奇妙な回答を引き起こしてしまします。

現在の経済が、「無限の資源」「無限の廃棄スペース」「早くて細かい経済的判断は、どのレベルでも消費者が可能」といった、近似的に正しいとみなされるものごとが、もう正しくないレベルに社会が到達していること、それが、どうも問題ではないか、と思います。


このエントリーで表現したかったこと

経済や組織について、というよりは、一般の物事について、こうかんがえています、ということを言いたかったのです。つまり

「初期の正しさ、を無限に外挿して、正しいと適用してはならない。モデルには限界があり、大きな量で検討する時のモデルは、また別であるはずだ。」

ということです。

理論物理学で修士まで量子力学について研究したモノとしては、あらゆるものとに古典物理学的な確定的な軌道演算が可能であるという考えには必ず限界があり、量子揺らぎ、があるかぎり、不確定性はあるし、古典的な物理的なモデルは所詮ある種の領域での確からしさにすぎない、という客観視をしています。あるいは人間という存在か価値を決めるわけで、経済については人間のようなゆれる尺度を基準に回る世界においては、非常に移ろいやすい土台の上にたてられている営み、それも巨大な営み、と思っています。

京都である業界のリーダさんと会食した時に「石井さんはとても慎重で、話しの論理展開に可能性と選択を明示的に指摘しますね」といわれたことがあります。なんだか懐疑的な人っぽいなぁとすこし気おくれしたのですが、たぶん、そういう「初期の正しさは、必ずモデルの限界領域があり、それはどこまでなのかを見定めようとする意識」がそうさせているのだろうと思います。
posted by 石井力重 at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー



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