アルコール・ブレスト会議、パート3の後編が掲載されました。
アサヒビールの精鋭メンバーと、定時後の会社のコミュニケーションをもっと引き出すアイデアをブレストしています。後編になりいよいよ加速していきます。
この時点でアルコールもかなり入っています。皆さん、お酒が強く、かつ、佇まいも崩れず自然に飲むので、そんなに飲んでいないように見えますが、結構飲んでいます。僕がたぶんこの集団の平均ぐらいの良貨と思いますが、この時点でジョッキ4~5杯ぐらいだったかと思います。
壁に模造紙を貼って、アイデアを貼りつつ紹介してもらっています。
居酒屋でただ飲んでワハハっとなっていくのとがうのは、アイデアを紙に落として、そして場に視覚的に蓄積するところです。張り出しに行動は繰りかえすうちに、その前に皆が立って、わいわい、言い始める行動を促しがちです。AB会議でも、そう、なりました。
アルコールブレスト会議が、しらふの会議違うなぁと、特に印象に残っているのは、アイデアの先鋭化、です。普段の会議だと、ひとつのアイデアが伸び始めてもそんなにそれをみんなでワイワイ乗り合って突き抜けていく、という会議展開はあまりありません。
(ドラマやビジネス漫画で描かれる企画会議シーンでは、どんどんブレストでひとつのアイデアが伸びて、鋭く突き抜けていく、というシーンはありますよね。それを大手企業の普段のブレストでできるかというと、現代の日本人の集団では少なくとも難しいところ。ベンチャーだったころのモノづくり企業HやSだったりしたら、違うのでしょうが、そういう企業さんの現代の現場に入ることもありますが、やっぱり難しいのが実情です。)
それに対して、アルコールの入ったこのAB会議では、ひとつの原石が見出されたときにそれをどんどん光らせていくことができます。アイデアと言うのは生まれたての時にはとても未成熟な存在です。それの良い面に光を当ててどこまで引き出していけるかが、創造的プロジェクトの初期段階に必要ですが、そういう部分には、とてもいい突破力をもっている会議方法だと、個人的には感じました。
良い面ばかりを書いては、活用しにくいと思いますので、気をつけていた点や、この後の記事に語られる「出来ないこと」についても言及しておきます。
ブレストもこのあたりになって、彼らの本当に企画の主戦場に入ってきました。かなり真剣みのあるトーンになります。このとき、まずみんなが、結構の出いるけれど、かなり真剣に話し合えるぐらいの酒量レベルにキープしていることが特筆すべきこととしてあげられます。
良い気分になってがんがん飲む---というのも、もちろん、酒好きには楽しい、いい時間なのですが、AB会議としての機能を発揮するには、そういう「ほろ酔い+α」水準に保って飲む、という技量は、必要だと思います。
難しいのは、人によって、その量が違う点です。ビール半分でそうなる人もいれば、かなり杯を空けても大丈夫な人もいます。
ちなみに、石井はメンバーには見えないところで、時々、アルコールチェッカーで呼気のアルコール濃度を測って、その数値を目安として使って、急激に上がらないようにしながら、結構、飲みたいだけ飲んでいました。これは、お酒好きには結構大事なコツかもしれません。酔わない程度に飲む、というのは、酒好きには結構難しいものです。私は計ることで、結構、安心して、ごくごく飲めて、かえってリラックスできていた気がします。
このアルコールチェッカーでのセルフチェックは、AB会議の進行役(ファシリテータ)をする人は、もしかしたら、オススメしてもいいかもしれません。タニタのスティック型のチェッカーを使っていましたが使い方はとても簡単です。
この後は、ハイライト法を行いました。魅力度の高いものにめいめいに星をつけてもらい、その集中したものを最後にレビューしていきます。この作業は直感的であり、酔っていても問題なく出来ます。
さて、いよいよ、ここからは、注意して読んでもらいたいところです。
酔っていると、出来ないこと、もあります。当然ながら。 ここを良く認識しておいて「AB会議が得意なこと。苦手なこと」を知ってもらいたいとおもいます。
仲さんのコメントを引用します。
仲:ちょっと酔っぱらってますけど、実行したいアイデアが出てきたのでみんなの力で実践までもっていきたいです。お酒を飲むとこんなに楽しくいろいろとアイデアが出るんやなと思いました。でも最後にまとめることがすごく難しくなっていた。次回はしらふでまとめます!
そう、そうなんです。
お酒が入ると「想像の翼」はエネルギーを得て、ぐんぐんと舞い上がるわけで、それに依拠した部分はどんどん進むわけです。
一方で、普通、会議室でやっているブレストだったら「発散だけで終わり」というのはあまりありません。「次に収束させていく」こともやるでしょう。そこで、AB会議の場でも、ついそこをやらねば、と思ってしまいがちですが、それは、別の場(翌日とかしらふになった段階)でやればいいんです。
しらふの時には、「発散思考」と「収束思考」は意図して切り替えることができます。それこそ、ブレスト中でもすきあらば出現させてしまおうというぐらい、収束的な思考モード(批判力)は常に出番をうかがっています。
しかし、です。
飲んでいるときには、このでしゃばりな批判力は、お酒の力で幾分緩和しているわけで、想像の翼にのびのびとしてもらえます。お酒は突然消えてくれたりはしません。いざ、批判力が必要だとして、意識の力でそれを引き出そうとしても、うまく作動しません。
この辺が、チャプタータイトルにもなっている「アルコールブレストの限界」です。
思考活動において、お酒は、なんでもうまくいかせる魔法の杖ではありません。、創造的な活動のある部分を思い切り円滑にしますし(正確には、その可能性がありますし)、打ち解けにはかなり力強い道具なのですが、巧緻性を上げたり判断を伴う知的作業には向きません。
さて、そうした部分は、AB会議(酒場の発想、しらふで揉んでいく編)に任せてしまうのが良いでしょう。
記事のように、アイデアを出し、張り出し、魅力度で星をつけて、全体をザーッとレビューしたら、さあ!ここからはコレをしまって、宴会に突入〜、という感じに楽しく飲んでしまうのが良い、と個人的には思います。
この記事の中で、50分、こうしたAB会議をしていますが、その後は、2時間枠の残り時間で、ワイワイ飲み会をしていますが、一仕事やりきってからのお酒は格別にうまかったです。
これが最後のスナップショットですが、企画の始まった時点より、かなりグループの凝集性が高まっています。比較的、対人関係においてあうとスタンスの石井ですが、こういう展開だと、結構、リラックスして、距離感が近くなっていたように思います。(酒好きなだけだろ!という突っ込みもありそうですが、まあ、それを差し引いても、残るものはありそうです。)