アイデア創出の仕事には、新しい知識との継続的な接触が重要です。特に、感性の仕入れ、と言う部分は、いきなり短時間で効率的に出来るわけじゃありませんで、面白い企画があればその時期に体験するようにしています。
今、お盆最後の日でようやく時間が取れまして、すでに期間限定を終えてしまって、やっていないイベントのことなんですが、紹介します。
店内はラクガキOKで、昼ランチと夜バーのお客さん(予約制)は、ぺんてるさんのペンで店内好きなところに落書きができる、という趣向です。
お酒飲みながら、ブレストするときには、こういう空間ってあったらいいよなぁと、夢想していた状況に近いので、早速予約をとって体験に。
場所は銀座駅から徒歩1分。予約制なので、ほとんど誘導物が見えません。
来年もあるのか分かりませんが、あったとしてもここじゃない可能性も。
奥まったところにちょっと看板が。一件、ポップなバーかな、と言う感じで、ラクガキだけのコンセプト店って感じにしていません。
エレベータには期間限定でも表示が。
期間限定の終わりごろにいったので、壁、床、トイレ、にカラフルなラクガキが何重にも。
カウンターに座りましたが、カウンターの上は絶好のラクガキスペースで、耳無しホウイチ状態。かわいい落書きが多い印象。
カウンターの椅子の上にもラクガキが。頼めばカバーをかしてくれますが、気にせず座ってしまいたいところ。
店中央には、さまざまなぺんてるさんのペン。いろんなペンの書き味をいろんなところへ試せるのもこういう空間ならでは。ちなみに、色味のペンがすでに書かれているところには、ホワイトが一番描き易い、見やすい色でした。
珍しいメニューとして、カラフルなソースの付いたポテト。味はそれぞれ違います。色で楽しく、味の違いも楽しめて。
で、こうなります。ひととおり、色を試してみると、明太子とかマヨネーズとか、暖色系のソースは、おいしくて何度も食べたいあじで、寒色系は、一番目立つ、ブルーはなんとも、まずく、、、はないのですが、そう、、、ブルーハワイの生クリーム和え、みたいな、しょっぱくないものに付けたい味でした。右端の黒っぽいのはチョコ風味。意外といけました。ということで、食後はこうなりました。
この色ソースとポテトで、お皿に絵を描いてみるのも、シチュエーションによってはありだなぁと。たべもので遊ぶのはちょっと、、、という向きでも、最後に全部食べてしまえば、ありかなと。
それから店内の空間で、普通のカフェと違うのは、だれかれ皆うろうろしていてOKな空気、です。普通カフェで自分の後ろあたりにずっと他のお客さんが立って何かをしていたら気になります。でもここは、鑑賞したり、ラクガキしたり。そういうことが、普通の空間なので、オトナも気兼ねなくたってうろうろ、筆を持ち替えてラクガキに興じます。
(ある種、ブレスト用の居酒屋みたいなものがあったら、こういう、場の空気〜立ってうろうろが当然!という場のルールが、大事なんだろうなぁと思いました。)
同行した方にとって貰った写真です。石井の背中。他のお客さん(子どもさん達)が、わーうまいーといってくれていたとか。僕は没頭してしまうと、すごく前に集中してしまうので、声を掛けられていてもちょっと気がつきにくいので、分かりませんでした。ごめんよどこかのお子さんたち。
書きあがったのはこれ。左の植物造形アートです。単純な植物の造形パターンを周期的に並べていくだけのもので、どこかで誰かが描いていた描き方を援用して描いてみました。大体10分ぐらいでしょうかね。それぐらいの間、ずっと立ってうろうろラクガキしていられる雰囲気がここにはありました。
低いところはラクガキの重ねがきでいっぱいでしたが、爪先立ちしてかけば、上の広大なスペースが。アイデアプラントのロゴも描いておきました。
右手にあるのは、カラフルな氷のあるソーダ水。これも、趣向が請っていていいですね。ぺんてるソーダとかそんな名前だったような。
それから、フィッシュサラダ&パンを頼んだのですがこれがなかなかのおいしさ。本来このカフェの運営が本物があって、改装前の一ヶ月だけこういうことをしているのかな、と思うほど、カフェとしての料理の質がきちんとしていました。これが残念だと、やっぱりなんか違うーとなるのですがここは、すばらしい運営だと思いました。
最後に一本、好きなペンをもらえます。新品。僕はアイデアプラントのグリーンを貰いました。
体験してみて思ったのは、とても面白く、ブレストにむくカフェやバーをもし出現させるなら、ということへのヒントがたくさんえられました。テーブルマットになっている紙自体に、ラクガキを誘うプリントがあり、オトナでも自然にラクガキに入れるようになっていました。また、来場者を予約制にすることで、やたら込まないため、うろうろしていても、ストレスがありませんでした。食事自体がカラフルになっていて楽しい点も、食事のソースで遊べたりすることに可能性があると感じました。
これを常設にするとなると、浮上する新しい問題もあるんだろうとおもいました。ラクガキのうち何を消すか、や、きれいに消すコストや、消えやすいペン(たとえばホワイトボードマーカー)特有の消しかすの問題(これは食事の場ではとても困る)、といったあたりだと思いました。また、採算ベースで人が入れば当然混み合いますが、マーカーを持ったペン先が人に当たる可能性が高くなりトラブル回避が少し難しくなるでしょう。(このときも、すごく小さいお子さん達が、僕のチノパンにかきそうなそぶりをして、ひやひやしていました。)
自分ごと化しての細かい検討はさておき、ラクガキOKのカフェがあったら楽しいだろうなぁと言う、ブレスト中に出がちな夢の空間を実際に、本気でやってみているあたり、文具メーカとして夢があって良いなぁとおもいます。
執筆余話:
忙しいさなかにも、新しいものを体験していくってのは、やってみると実は結構大変です。でも、忙しい時ほど、旅仕事でついでに、感性の仕入れ、をしています。
あくまでもスタンスは、楽しむ、ということを前提にしてるので、「いいなー、楽しい場所ばっかりいけて〜」と言われますが、「楽しいのはその通りなんですが、その3時間で出来る別の案件を、夜中までになんとかやるんだ、という部分もあっての、感性の仕入れなんんですよ」とお答えしています。
「何かを見る、食べる、体験するって、暇なときじゃなきゃできないよー」というのは、実は違っているんだと師事する方から昔いわれました。
『忙しい人ほど、毎日の体力づくりをかかさず「健康でいることは仕事の一つだ」という。毎日食事をするように、毎日、知識や体験を仕入れるんだ。それは仕事。忙しいから後回し、にしていいものじゃないんだ。』、と。
実に次々面白いことをする忙しい人ほど、遊んでいるように見えますが、明文化していなくても、「遊ぶのも仕事」という姿勢があるんだろうなぁとおもいます。