2024年10月03日

生成AIの「素の画風」を比較:各モデルの個性を探る

よく利用している生成AIの画風の違いを、イメージで比較してみました。

目的

生成AIの画風はプロンプトで指定すれば変えられますが、あえて指定しない場合、各AIがどのような「本来の画風」を持っているのかを探ってみました。

方法

一般的なモチーフ(例:人物、食べ物)は、先進的なユーザーが大量に描かせてきたため、その影響を強く受けやすいだろうと考え、そうした影響が少ない題材を選びました。(完全に影響がないわけではありません。AIは何かを学習していなければ生成できないためです。)

題材(描かせたもの)

  • 「具体性を表す抽象画」

  • または

  • 「具体性をイメージする抽象的なシンボル」

  • (画像生成専用のAIではないAIは、”ーーを描いて” と続けた)

各社AIの描いたもの

AI_hikaku.png
具体性を表す抽象画

各AIの印象

  • Adobe:さすがにかっこいい。芸術的で現代的な仕上がり。

  • Google:意外にも現代アート的で、悪くない印象。

  • Microsoft:一度に多くの画像を生成する傾向があり、ビジネス向けでコンパクトにまとまっている。

  • OpenAI:ミヒャエル・エンデのような独特なファンタジー文学の挿絵風。

まとめ

各AIが学習しているデータは地下水脈のようなもので、なるべく素直にそこから汲み上げた水を見ることで「素の画風」が見えます。
今回の結果から、それぞれのAIの「地下水脈」の色が垣間見えた気がします。
(ただし、「抽象画」という特定の要素が結果に影響しているため、これが完全にAIの基本的な傾向を示しているとは言い切れません。それでも「なんとなく感じている画風の違い」がだいたい反映されています。)

posted by 石井力重 at 09:51 | 新しい知識を学ぶ

2013年07月04日

チームの成長法則『ジャイアントキリングの流儀』の書評+α

このところ、ブログを書く量がかなり増えています。

いま私は、幾つかのことを学ぶべき時期にあります。

そんなおり、幸運なことにその分野で魅力的な本を書いている著者さんに出会える機会が連続してやってきました。

そこで、直接お会いした感覚が消えないうちに、深く学習することにしました。

他に急ぐ仕事も諸々あったのですが、2,3日かけて、一冊の本を読み込み、関連する情報を調べたことを、ブログにまとめてみます。


楽天大学・学長、仲山進也さん

今回学んだ知識は、仲山進也さんのチームビルディングの本+αからのものです。


(以下、ジャイアントキリングの流儀と記します。)

リンクは、楽天、と、Amazonに張っています)

GK_ryugi_と_はちのすノート.jpg

先日の東京滞在のおり、恩師が、ふと、「石井君、君は仲山さんに会っておいた方がいい。後で会うから君も来なさい。」と、告げてくださったのが、きっかけです。その晩には、すでに赤坂でお引き合わせをしていただき、さっそく本を読み始めました。

仲山さんは楽天大学の学長をされている方です。気さくで楽しいしゃべりがそのまま文体に封じ込められているような、読みやすい、そして、記憶に残る知識を教えてくれる本でした。


ジャイアントキリング

本の内容の学習を助けるケース(事例)がまた優れています。サッカー”監督”の漫画 『 GIANT KILLING 』 をケースに取り上げています。

GIANT KILLINGは、ジャイアントキリングと読みます。通称、ジャイキリ。ツジトモ氏、綱本将也氏がモーニングで2007年から連載している人気作品です。27巻まで出ています(2013年春時点で)。

漫画作品単体としてみても、良い作品で、豊富な取材を感じさせるの設定の自然さ、心理描写、魅力的なキャラクター、引き込むストーリー展開、スラムダンクの系譜といったら失礼かもしれませんが、心身の制動を読み手にぐっと伝える絵、読む人にエネルギーと良い読後感を与える良作です。

漫画の学校で、ゼミの題材として取り上げられたりすることもあります。

普段、漫画作品を読まないビジネスマンにとっては、”漫画が、ビジネス書のケースになるのか”、”上手く読めるかな(そういうの俺に合うかな)”と、思われる方もおられるかもしれませんが、心配ありません。漫画の中身を知らない人でも問題なく成り立つようになっていますし、普段漫画を読まない大人の男性が読んでも、抵抗のない紙面になっています。

私は仕事の資料(漫画のブレストのための資料)として、読んでから二年たって中身を少し忘れている状態でこの、仲山さんの本を拝読しましたが、ストーリーを忘れていても問題がありませんでした。

(ところで、いまこの時期だと、GIANT=巨人。KILLING=殺す。というタイトルを見ると、『進撃の巨人』の英語タイトルかしら、と、間違えられそうな気がしますが、もちろん違います。巨人も刀も出てきません。要らぬ余談でした。)


Tackman model

さて、学びに話を進めます。

現代のチームビルディングの理論として、ビジネス界隈でよく言及されるのは、group-developementを4~5つのstageであらわした、Bruce Tackmanの「タックマン・モデル」です。

グループが形成されると、4〜5つのステージをグループは進んでいきます。グループが発展すると、パフォーマンスの低下を伴う混乱期が起こるが、これを避けることは出来ず、むしろいかに早くここを渡りきるか。Tackmanモデルはそういう所を行く人の知恵となります。

一方、理論は実践の中で発展します。仲山さんらの展開してきたチームビルディングプログラムの実践体系がこの本で展開されているのですが、少しステージ名の表現が違います。今回は、この本をもとに深く学んだので、言及するモデル名として、「タックマンモデル」と呼ぶには齟齬があります。そこで、独自のネーミングですが「Tackman-Nakayamaモデル」とここでは呼ぶことにします。

Tackmanモデルでは、4つのステージを「Forming/Storming/Norming/Performing」としています。

Tackmanは1977年に第5ステージで「Adjourning and transforming」を加えています。

それに対して「Tackman-Nakayamaモデル」では、第1,2,3ステージは同じ表記でも、第4ステージはTransformingとしています。この点が違います。もちろん、全くの別物ではなく、Tackmanモデルの第4ステージと第5ステージを横断した領域に相当するものが、Tackman-Nakayamaモデルの第4ステージです。Perform,Adjourn,Transformの3つを混ぜてステップを簡素化しより中心的概念であるとして、ステージ名をTransformにしたのだろうと、解釈できます。




# 細かい話はどうでもよいから、とっとと具体的な所に話をはじめよ、という方は、ここからお読みください。#



学びの要約

学びを一枚にまとめました。

(クリックで大きくなります)

Teambuilding_Tackman-Nakamura_model.png

まず上エリア。

  • チームは形成段階(Formingステージ)では、70点の力を発揮します。
  • 次の、混乱段階(Stormingステージ)では、赤点になります。図では30点をちょっと割るぐらいの曲線にしています。
  • そして次の、規範段階(Normingステージ)、変態段階(Transformingステージ)では、120点になります。

いったん沈み込む「ストーミング(嵐)、混乱」の時期がなければ100点を超えるステージにはいきません。

今度は、図の中エリア。

これは、石井の仮説モデルです。ミクロの(個々人)のパフォーマンスが、チームのパフォーマンスの値になるようなモデルを考案してみました。

サッカーに限りませんが、1人のリーダと10人のメンバーで構成している組織で考えて計算しています。

  • 形成段階は、リーダ以外は皆、指示待ちです。出足が遅くなるので、勝負時の能力30%ダウン。リーダも采配を振るう負担が結構あって50%ダウンなるものの、他のメンバーを駆使して協力的な仕事ができるので、少しアップして、合計としては30%ダウン。このチームは本来の力の0.7の出力になります。
  • 混乱段階は、メンバーがバラバラで、殆ど逆になるベクトルが出てきて打ち消しあい、有効出力は30%といったところ。図の三角形ですが、正面に向かって72°に開いたベクトルを左右に展開すると打ち消し合って、正面向きに0.3の力になります。前に進むにしても、チームの内で方向性が大きく反対に分かれているとこうなります。リーダは混乱を収拾するべく、混乱に対応するために、ほとんど動けない状態に。実働としては0.2に。このチームは本来の力の0.29の出力になります。
  • 規範変態段階は、リーダからの指示がなくても動け100%をパフォーマンスにできます。また他者がアシストをしてくれることで20%プラスで仕事ができます。リーダは、指示を、ある程度はしますが以前ほどそこに労力をかけなくてよくなります。また、他者のアシストの力が伸びているので、1.5人分ぐらいのパフォーマンスが発揮できます。このチームは本来の1.2の出力になります。

こういうモデルは、図の上エリアに合うように、パラメータをいじって合わせているので、本当に仮の、説明的なモデルですが、ステージごとの個々の動きの理解を助けます。それが、図の下エリアの「グループダイナミクス」です。『ジャイアントキリングの流儀』をつぶさに読んでいくと、この辺まで、独力で理解できるようになりました。


長い蛇足1(手書きの読書メモ)

この調子で書いていこうとすると、本の中身をほとんど、ほとんど書いてしまいますが、それはあまりに著作物に対して無配慮なことなので、本に書かれていることの具体的なところを、なんとか雰囲気として伝えたい、かつ、未来の自分の忘備録として残したい、ということで、読書メモ(手書き)とその説明動画を付けて置くことにしました。(本当に自己満足の内容なのですが、誰かに説明するつもりでまとめ、しゃべらないと、真剣に学べないもので。。)

手書きの読書メモ

GK_ryugi_はちのすノート(メモ完了後1)_.jpg

手書きの読書メモに収まりきれずに書いた六角付箋、3枚

GK_ryugi_はちのすノート(メモ完了後+α)_.jpg

読書メモを、切り離したもの(動画説明にNuboardに張ったもの)

GK_ryugi_はちのすノート(分割_統合版)_.jpg

書いているシートは、拙著『アイデア・スイッチ』に出てくる、ダウンロードしシート「はちのすノート」の別バージョンです。


長い蛇足2(ゼミの当番のつもりで説明してみた動画)


1 概要プレビュー


2 ジャイキリについて


3 Tackmanモデルについて、おさらい


4 Formingについて書かれている大事な事


5 Stormingについて書かれている大事な事


6 Normingについて書かれている大事な事(1/2)


7 Normingについて書かれている大事な事(2/2)


8 Transformingについて書かれている大事な事


9 この本から、思い付くいろいろやってみたいワークのアイデア

※この動画の頭でしゃべっているモデルは、このブログの真ん中らへんで既に書いています。


以上です。

これらの説明は、石井なりに理解したことを整理して、ゼミのつもりで話してみたのですが、解釈の間違い、書き間違え、言い間違え、など様々な間違いがある可能性があります。

そろそろチーム作りに本格的に力を入れたい、という方や、「いっつもリーダの指示待ちで困っちゃうなぁ」という方なら、、一読して損はない内容かもしれません。
 




Infomaiton


著者・仲山進也さんのグロービスでの講義ビデオ 前編 後編

Wikipedia Tuckman's stages of group development

コトバンク タックマンモデル

posted by 石井力重 at 23:17 | 新しい知識を学ぶ



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