2016年12月19日

「ペルソナ」の奥にあるモノへの視力を与える”Jobs to be Done”

旅先でした打合せメモを整理していて、ある領域の言葉に輪郭が立ち上がり始めました。ここにメモします。

Jobs to be Done(ジョブズ・トゥー・ビー・ダン)

クリステンセン教授の著書『イノベーションの解』によれば、「(顧客が)片付けようとする用事」とあります。

英語サイトでは、以下のサイトが明瞭に記しています。

同著の3章で、ミルクシェークの逸話が出てきます。属性で定義する人物としては同じ人物でも、状況によりインサイトについて語れば相当違い、シェークの固さへの要望が大きく違う、という例です。(早朝の車通勤時には長く持つ固いシェークがいい。親子ずれで子供にそれなりに早く飲ませるにはドロッとしたシェークがいい。)

前後して、こう綴られています。

「分析単位は、顧客ではなく状況なのだ」

「顧客が製品を購入する状況を構成するのは、
顧客が片付けなくてはならない用事の
機能的、感情的、社会的な側面である。」

・・・

ペルソナ、という言葉がもつ吟味の力は結構深いものがあるし、属性的な定義だけをペルソナの使い手がしているわけじゃないのは、よくよく見てきましたが、薄い理解でペルソナを捉えている多くの場合においては、属性で誰が顧客化を定義する方法として使われています。(石井の見た範囲では。)
そうした中で、ペルソナではどうも、具象にとらわれていて本質が見えない、と人々が言い出すシーンも良く見てきました。

そうした時には、JTBD、が、次の視点になるでしょう。
専門のページが沢山あります。(日本語でも。)
ので、ここではこれ以上は避けておきます。

もう一つ、心に浮かぶのは、

Jobs to be Doneがユーザの核だとしたら、
Value proposithioが製品の核であり、
(※核、はコンセプトとか、魂、というべきかもしれませんが、)
ユーザと製品の中にある核が磁石のように引き合うんだろうなぁと。

それらの外にある具象は、分かりやすい典型セットはあるけれど、本当はそうじゃないのだ。と。
posted by 石井力重 at 12:32 | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2014年05月07日

製品構想の観点「大企業が早期撤退した新製品に着目せよ」

連休が終わって、新緑を吹き抜ける風と日差しが気持ちいい午後です。日本でも、今日みたいな、地中海性気候のような日がもっとあればいいのになぁと思います。

さて、本題です。

仕事がら、ベンチャーや中小企業の新製品ブレストの場面によく同席します。オフィシャルにあるいは飲み会の席で。

アイデアは思いつくけれど、売れるかどうかは別問題。・・・創造的な話し合いが出来ると、その先に、この壁に良く当たります。

そういうときに、かつて、大学院で新事業創造やハイテクベンチャー論を学んでいたときに、得た一つの観点があり、そういう場で伝えています。

それは「業界内の大企業がかつて、新製品として参入したものの、ほどなく撤退したものには、小さい市場がある」と言うものです。

大企業が製品化まで行くときには、市場として、例えば年間30億円ぐらいある、あるいは一桁小さいぐらいの市場がある、という事前市場調査や分析的算出があって、Goがかかります。

そして、実際にやってみると、そんなには行かなかった。
そこにはある程度のサイズの市場があることは分かっているわけです。

なので、例えば、3億円の市場には満たないけれど、数千万円の規模のサイズの市場がそこには潜在的にあることが分かります。

大企業の量産によるコスト競争力には、中小の生産量では太刀打ちが出来ないので、そこにある「大きくは無いけれど、全くないわけじゃない市場」に対して全部をとりに行くことはできませんが、市場の中には非常に高い値段でもそれを求めるようなエクストリームな顧客がいます。そそこに標準をあわせれば、ある程度の高い価格の製品でも初期の市場が望めます。市場の1割と見て、数百万円。

そのサイズであっても、(そのサイズの顧客群だからこそ)、高収益の見込める製品にはなります。

ということで、この話の最後にいうのは「同業界の大企業が、かつて取り組んでやめた事業/製品を大量に調べる。そしてそこに新しい可能性を見出せないか、ブレストしてみる。すると、中には結構、自社ならちょうど良いサイズの市場をもったものが、発想できるでしょう。」と。


・・・ 執筆余話 ・・・

古いアイデアも、現代の技術や社会インフラで、命を与えなおせば、結構な可能性を持っています。

最近私が経験したを少しつづって終わります。

「大学院に戻った10年前の当時、技術的には到底無理だと判断した企画製品」があります。

その際には極簡単なコンセプトテストもしました。
そして、割り出した、仕様と販売価格。

10年たった今、その仕様と価格と非常に近い製品が、市場に登場しています。

もっといえば、実は5年前ぐらいから、非常に無骨ででかくて使い物にはならない製品は、登場していました。
なので、アイデアが現実の射程に入り始めていることは感じていました。

10年後の今、ぴったり同じ物が形になり出現したのを見て、思いは複雑です。

先に述べたことに関係することから書けば、

当時は不可能だったアイデアが、可能な仕様になった

ということ。そして、多くの人がかつて思いついていたアイデアが、充分な機能&リーズナブルな価格として、世に出現するのは、ずいぶん後のことであり、

古びたアイデアの、製品としての新しさ

とでもいうものが、常にあるのだ、ということ。


それから、本論には関係の無い、思いとして湧き上がったことは、”当時、そのアイデアを評価した審査員が「良いアイデアではない」と評価し、自分もそういうもんだと思い込んだ”ことに気がつきました。

いま、そこから思うのは

評価者の評価(--それが、Goodであれ、Badであれ--)その評価の正しさには賞味期限がある。

ということ。

いいね、も、駄目だね、も、人間の下した判断は、10年たてばゼロ・リセット。

そんなことを、五月晴れの中、仕事の休憩中コーヒーを飲みながら、思っていました。

posted by 石井力重 at 14:21 | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2010年02月13日

『日本の優秀企業研究』日本経済新聞社

2005年頃の私が書いたメモが出てきました。当時私はMOT(技術経営)の博士課程で、技術経営戦略論を研究していました。学術書の中には、人生を生き、仕事を進める上での示唆に満ちたものも、時折あります。『日本の優秀企業研究―企業経営の原点 6つの条件』も、私にとってはその一つです。

当時、私が読んだ本は上記のリンクの本の前身、ハードカバー時代のものです。(日本経済新聞社、から発行されていました)。この本が執筆された時期、著者、新原浩朗氏は、経産省系のシンクタンク、RIETIのコンサルティングフェローをしていた方のようです。(ハードカバーの本が手元に無いので当時の著者欄を確認出来ませんが、2010年現在、WEBで見てみると。)

<以下は、2005年当時、私の書いたメモをそのまま編集せずにのせます>


日本の優秀企業研究。サブタイトルが『企業経営の原点−6つの条件』でありその名の示すと押し、6つの条件が論じられています。

中表紙をめくったページに、一言こう記されています。

「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、
 愚直に、真面目に
 自分たちの頭できちんと考え抜き、
 情熱をもって取り組んでいる企業」


ここに、さまざまなことを感じます。
目次に、その6つの条件がヘッドライン化されています。

目次
序章    優秀企業はいかなる特質を有しているのか
       優秀企業の「形」と「本質」
第一の条件 分からないことは分けること
第二の条件 自分の頭で考えて考えて考え抜くこと
第三の条件 客観的に眺め不合理な点を見つけられること
第四の条件 危機を持って企業のチャンスに転化すること
第五の条件 身の丈に合った成長を図り、事業リスクを直視すること
第六の条件 世のため、人のためという自発性の企業文化を埋め込んでいる
終章    私たちが輝いていた原点へ


この目次だけでも、ビジネスをする上での聡明な判断を助けるツールになります。

「リサーチ・クエスション」と「アプローチ方法」も、シンプルで力強いものです。特に、「対象選定における工夫」も参考になります。


P14「本当に優良な成果を上げている企業は、どのような特質を持っているのか。うまくいっていない企業との違いは何か。こういった点を明らかにすれば、閉塞感に包まれた日本企業の新たな発展の道筋もおのずと見出せるのではないか」

P16調査方法と留意点「優秀企業を抽出して、そこに共通的に見出せて、しかも、そうでない企業に見出せない特徴を探したい。」

P16「中長期で見ると、一貫して波のない状態でよい成果が持続する企業はほとんどない。そこで、同業種の平均的な企業と比較して、相対的に、良い時期には良い成果をしめし、悪い時期にもさほどデータが悪くならない企業を探した」




・・・ここまでが、当時の私のメモです。

私はいまは、ビジネスサイドにいますが、視座としては、アカデミアとビジネスセクターの中間ぐらいに私の視座があるのだと思います。既存の枠組みからいえば、「ハンパな位置」と表現される視座ですが、私の提供するものにとっては、「必要な位置」なんだろう、とおもいます。

思えば、この本を読んでいた当時、私は、技術経営戦略の研究者(博士課程の学生)でしたが、「アカデミア」の位置にありながらも、視座は「アカデミア」と「ビジネスセクター」の中間的な視座でした。当時の学会発表資料などに、その痕跡が見られます。博士コースの前に、商社に務めていた、というのも視座の醸成に大きく影響しているとおもいます。

この本をよんだ2005年の少し後、私は工学部のMOTの博士課程を休学して、産学連携のフェロー(某機関の3年限定の職員)になっています。単位については、博論を除けば、ほぼを取っていたのですが、よりイノベーションの現場で学びたいと思い、休学に踏み切ったのでした。

その後、某期間のフェローを任期満了で終えて、大学に戻るときには、現在の専門分野に近い内容をディスカッション出来る教授のもとに転科(工学部→経済学部)します。その先生がたまたま経済学部にいらしたので、経済学部の博士コースに、といった次第です。)

当時読んだ本で見えていた「世界」に対して、今の私は、まだまだ、ふもとで行ったり来たり、うろうろと、しているんだなぁと、”今”を思うのでした。


本をひらくと目に入るこの言葉は、金言、だとおもいます。

「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、
 愚直に、真面目に
 自分たちの頭できちんと考え抜き、
 情熱をもって取り組んでいる企業」

身の丈に合った挑戦を、ずっと続けていく日々を、これからも
つづけていこう、と、当時のメモを見て思うのでした。
posted by 石井力重 at 13:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2009年07月30日

シーズニーズ変換

【破損して消えていた過去のブログ記事がサルベージできたので、再啓します。MOT大学院時代のモノと思われます】

産学連携コーディネータの研修を受けてきました。シーズとニーズを俯瞰的に分析するツール「SN(シーズニーズ)変換表」の作成をグループワークで体験・習得する、というものです。そのツールの本質は、次の2つに集約できそうです。(1)俯瞰的分析情報をまとめることで戦略的技術開発・事業開発に有効な「地図」を作ること、(2)産と学が一緒にシートを創ることを通じて、効果的なコミュニケーションができること。

具体的な内容は守秘義務があり掲載できませんが、ツールの活用そのものは広く展開してよいということなので、今後、産学連携支援、ベンチャー支援において、活用してゆきたいとおもいます。(ご希望があれば、ツールの説明に出向きますので、仙台のほかのコーディネータの方でも、企業の方でも、ご興味あればお気軽にご連絡ください。)

詳しい受講方向は、「追記」部分に記録しますが、ざっと感想や解釈を以下に書きます。

■■■

そのツールは、シーズ(技術)をニーズ(市場)へとつなぐための体系的なマトリックスの構造をしている。

特徴的なのは、その2つの間に、共通言語となるフィールドを仲介していること。「機能」とよんでいる。

そのフィールドのあることがどれほど本質なのか、みただけでは理解できなかったが、グループワークで実際にやってみて、よく理解できた。異なるセクターの人の間で言葉が通じないことはよくある。お互いに相手よりの視点を持っていくと、次第に共通エリアが、共通の言葉が、できてくる。円が交わる。そこが、仲介する部分であるようだ。

「機能」という部分は、「シーズ」と「ニーズ」の仲介する部分、円のインターセクション(共通部分)である、ようだ。

(湧き上がる、類推)

(日本人同士だけれど)お互いの言葉が通じないようなケースとしては何があげられるだろうか。そしてその人たちがお互いよりの視点を持ち始めたときに、共通フィールド(シーズニーズでは「機能」にあたるもの)はなにになるだろうか。

■■■



(詳細版)出張レポート
posted by 石井力重 at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年07月08日

ソーシャル・アントレプレナーシップ、3つの特徴

社会起業家、という「ソーシャル」な起業家がいます。事業の手法を通じて地域社会の問題を解決する。そういう起業家です。その社会起業家をかたち作る3つの特徴がある、という話を先日、訪問先で聞きました。

1.特異なパーソナリティ
2.ソーシャル・イノベーションの推進者
3.高いマネジメント能力

(参考文献)『概論 ソーシャルベンチャー』


キーワードがいくつかありました。
・強い正義感
・社会問題解決
・社会貢献
・強い達成意欲
・リスク選好型の行動
・ネットワーク構築
・強力なリーダーシップ
・変革に積極的
・既存の方法論・仕組みを捨て去る
・新しい考え方
・別の視点のアプローチを導入する
・革新的なアイデアを創造
・推進者
・管理手法や戦略的思考
・運営効率の飛躍的な改善
・組織のサステナビリティ
・事業環境の把握
・戦略立案
・経営資源の調達
・戦略執行のプロセス管理


通常の、営利法人(≒株式会社)を効果的に成長させる”起業家”という存在としての側面と、ソーシャルなミッションをもった”高い志しある人”としての両面があります。

※もちろん、一般の起業家にも高い志を持っている人はいます。社会起業家、とは言われていなくても、事業の手法を通じて社会をより豊かにしていこう、という人がたくさんいます。念のため。


日本において、地域経済は今後、長期的な縮小を経験します。(短期的なアメリカの経済失速はありますが)長期的には世界的人口は拡大基調にあり、世界経済も伸長します。疲弊する日本の地域、というものがほおっておけばそのまま実現してしまいます。しかし、こうした時代背景が、上記のようなソーシャルアントレプレナーの輩出を促進しているのかもしれません。彼らを待望する地域が、彼らを生み出し、光が当たりリソースの流入を助け、地域課題の解決を促進する。そういう一連の流れが21世紀初頭の日本を掘りかえった時に、近代史の教科書に載るのかもしれませんね。

行政も大学も産業界もそうした動きを歓迎し、育てるような動きが、できつつあります。私もその活動の一部を支援することになりそうです。まだ、すこし先の話ではありますが。
posted by 石井力重 at 11:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月20日

動機づけのヒント(7)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


この同書3章「動機づけの理論」は、フロー理論で締めくくられます。異色の動機づけ理論であるフロー理論について述べよう、とあります。

(石井コメント:内的動機づけほど、社会的に広く認知され支持されているものではないと、位置づけをしつつ、これまでの理論では拾え切れないものが、ここでは正面から論じられています。私は、アイデア出しのツール開発チームで、学術メンバーから、フロー理論、を以前来たことがありました。没入感、といった興味深い視点がそこにあります。)


■チクセントミハイ「フロー(flow)」理論

取り組んでいる内容そのものの意義や厳しさとは関係なく、取り組んでいる内容自体に楽しみを見出し、没頭する状態がある。このような状態が「フロー状態」。

従来の外発的動機づけや内発的動機づけ理論では、「遊び」のように、やっていること自体に没頭し楽しさを感じる人々がいるのはなぜかを説明できていない。

外発的動機づけ理論では、仕事とはそもそも苦しくつまらないもとであると考える。一方、自己決定観や有能観、達成感を重視する従来の内発的動機づけ理論では、取り組む内容そのものはあまり注目されない。

ハードであっても、やっている最中は夢中で、終わってみたらとても楽しかったという経験もある。チクセントミハイが注目したのは、このように、人があることに没頭して取り組んでいる状態であり、それがやっていることの苦しさ、難しさに関わらないという点である。チ氏は、インタビューを通じて、フロー体験の要素として次のような状態があることを発見。

1 行為と意識の融合
  (やっていること自体に打ち込み集中している状態)
2 限定された刺激領域への、注意集中
  (目の前のことだけに集中している状態)
3 自我の喪失・忘却、自我意識の喪失
  (やっていることに完全に集中しているため自我が
   なくなっている状態)
4 自分の行為が環境を支配しているという感覚
  (集中し周囲の環境と融合していると同時に、
   それらの環境は自分次第であるという感覚になる状態)
5 首尾一貫した矛盾のない行為を必要とし、フィードバックが明瞭
  (やっていることのステップが正しいかどうかが明瞭にわかり、
   全体のステップが流れるように首尾一貫している状態)
6 「自己目的的」な性質
  (やっていること自体が楽しく、その流れを保ち続けたいという状態) 

このように、楽しみによって動機づけられた自己目的的活動において「全人的に行為に没入しているときに人が感ずる包括的感覚」がフローである。

時間を忘れるほど目の前の作業に集中。仕事においても、やっている最中は辛いが、終わったときには大きな達成感を感じたという経験をも人は多いだろう。フロー状態とは、報酬や評価などの外的な動機づけだけではなく、やっていること自体を楽しみ、そのことに没頭している状態。



■「やる気」のマネジメント。

「モチベーション・マネジメント」「モチベーション・エンジニアリング」

なぜ、人は辛く困難な状況であっても、そこにやりがいを見出すことがあるのだろうか。

第一に、それは、やっていること自体に楽しみを感じるからである。たとえ辛く困難な状況であっても、人は自分が好きなことをしているときには、それらが苦にならない。

第二に、金井と高橋は、「夢」の重要性を挙げる。(組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト (一橋ビジネスレビューブックス))金井らは、プロジェクトXのようにメンバーが失敗や困難を乗り越えて目標を達成することができたのは、彼らが夢を共有していたからだという。

企業のミッションやビジョンは、その企業にとっての夢でもある。そして、社員が「この企業」で働く意味ややりがいを見出すのは、職場環境や報酬、上司のマネジメントが優れていたり、仕事そのものに楽しさや面白さを見出すからだけではない。その企業が掲げるミッションやビジョンに共鳴するからでもある。


参考文献には小笹社長(リンクアンドモチベーション)の書籍が2つほどあるのも、この章の守備範囲の広さとして感じ取れる。

モチベーション・マネジメント ― 最強の組織を創り出す、戦略的「やる気」の高め方 (PHPビジネス選書)
モチベーションカンパニー―組織と個人の再生をめざすモチベーションエンジニアリングのすべて
posted by 石井力重 at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月18日

動機づけのヒント(6)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


人は自己決定できないと感じたり、仕事の目的や方針がわからないとやる気を失ってしまう。

『日経ビジネス』誌。仕事や会社の満足度調査。上司に不満を感じる理由として、最も多くの人(58.9%)が挙げているのが、「ビジョンが曖昧だから」である。同様に仕事に対する不満の理由として、4割近くの人が「仕事の目的や目標が曖昧だから」をあげている。このようにやる気の低下には、自己効力や能力観、目標観だけでなく、実際の目標の明確さも大きく影響している。

経営学者の高橋伸夫は、こうした会社のビジョンや、自分の仕事の目標や長期的展望、社内での転職可能性などを「見通し」とよび、社員の働く動機づけには、長期的な見通しこそが重要であると。

(補足:同書で、この高橋伸夫氏の箇所につけられた引用文献「できる社員は「やり過ごす」 (日経ビジネス人文庫)」はとても興味深い本です。タイトルは、できる社員ハウツー的に見えますが、深い洞察を持った経営学書。amazonの読者レビューにそれが垣間見えます。)
posted by 石井力重 at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月16日

動機づけのヒント(4)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


■やる気を高める方法

人のやる気には、自分の行動がある結果をもたらす「結果期待(outcome expectation)」だけでなく、その行動をうまく行うことができるという「効用期待(efficacy expectation)」を持つことが大切。

自分はある行動をとれるはずだという自信(効力期待)があるときに、人間のやる気(結果期待)は高まる。個人によって知覚された効力期待を「自己効力(seif efficacy)」とよび、個の自己効力の高低が動機づけに大きく影響する。

自己効力を高める4つの情報:
1行為的情報…実際に自分でやってみることで得られる情報
2代理的情報…他者が成功したり失敗するのを見ることによって得られる情報
3言語的説得の情報…言葉による説得によって得られる情報
4生理的喚起の情報…声が震える、赤面するといった生理的反応に関わる情報

実際にやってみて成功体験が得られれば、自信がついて自己効力は高まる。成功体験、失敗体験をお互い語り合うことで、失敗したのは自分だけではない、と励まされたり、次はこうすれば成功する、とヒントを得ることで、失っていた自信を取り戻すことができるかもしれない。3,4に比べ1,2は大きい。



■能力観の重要性

やる気には能力に対する考え方(能力観)が影響している。同じくらいの能力を持っていても、問題があるとすぐにあきらめてしまう子どもと、最後まで粘り強く挑戦し続ける子どもがいる。なぜ違う?実験で明らかに。無気力状態の子どもの集団。2つに分けた。

成功経験群:一方のグループにはやさしい問題を多く与え、自信をつけさせた。
努力帰属群:もう一方のグループには、やさしい問題と難しい問題とを与え、難しい問題ができなかったときには、それが努力が足りなかったためであることを繰り返し話した。

成功経験群の子どもたちに比べ、努力帰属群の子どものほうが、難しい問題で失敗してもやる気を失わず、根気よく学習を続けた。このことから、能力は努力次第で変えられるという考え(能力変化観)を持つ人は、能力は固定的でコントロールできないものだという考え(能力固定観)をもつ人に比べ、内発的に動機づけられやすいことが、明らかになった。

また、達成しようする目標の違いが、内発的な動機づけや持続的に努力する姿勢に関係する。能力固定観のように、他者から評価されることに関心をもち、成功したり、他者に勝ちたいという「パフォーマンス目標」をもつ場合、他者から思うような評価が得られなかったり、一度失敗すると、目標達成に対するやる気を失いやすい。


アイデア:カードゲームで、プレイヤーごとに、達成しようとする目標が違う、という設定は面白いかもしれない。お互いの行動スタイルの違い、秘められた達成目標の違い。それが織り成す多様性を楽しむ、といった感じ。


これに対し、能力変化観のように、自分の有能さを他者に示すことよりも、自分の能力をどのくらい自分で高めることができるかという「ラーニング目標」をもつ場合には、目標達成のプロセスに関心があり、他者の評価や成功・失敗に関わりなく、目標達成に向けて持続的に努力していこうとする姿勢につながる。
posted by 石井力重 at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料



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