2008年02月18日

動機づけのヒント(6)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


人は自己決定できないと感じたり、仕事の目的や方針がわからないとやる気を失ってしまう。

『日経ビジネス』誌。仕事や会社の満足度調査。上司に不満を感じる理由として、最も多くの人(58.9%)が挙げているのが、「ビジョンが曖昧だから」である。同様に仕事に対する不満の理由として、4割近くの人が「仕事の目的や目標が曖昧だから」をあげている。このようにやる気の低下には、自己効力や能力観、目標観だけでなく、実際の目標の明確さも大きく影響している。

経営学者の高橋伸夫は、こうした会社のビジョンや、自分の仕事の目標や長期的展望、社内での転職可能性などを「見通し」とよび、社員の働く動機づけには、長期的な見通しこそが重要であると。

(補足:同書で、この高橋伸夫氏の箇所につけられた引用文献「できる社員は「やり過ごす」 (日経ビジネス人文庫)」はとても興味深い本です。タイトルは、できる社員ハウツー的に見えますが、深い洞察を持った経営学書。amazonの読者レビューにそれが垣間見えます。)
posted by 石井力重 at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月16日

動機づけのヒント(4)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


■やる気を高める方法

人のやる気には、自分の行動がある結果をもたらす「結果期待(outcome expectation)」だけでなく、その行動をうまく行うことができるという「効用期待(efficacy expectation)」を持つことが大切。

自分はある行動をとれるはずだという自信(効力期待)があるときに、人間のやる気(結果期待)は高まる。個人によって知覚された効力期待を「自己効力(seif efficacy)」とよび、個の自己効力の高低が動機づけに大きく影響する。

自己効力を高める4つの情報:
1行為的情報…実際に自分でやってみることで得られる情報
2代理的情報…他者が成功したり失敗するのを見ることによって得られる情報
3言語的説得の情報…言葉による説得によって得られる情報
4生理的喚起の情報…声が震える、赤面するといった生理的反応に関わる情報

実際にやってみて成功体験が得られれば、自信がついて自己効力は高まる。成功体験、失敗体験をお互い語り合うことで、失敗したのは自分だけではない、と励まされたり、次はこうすれば成功する、とヒントを得ることで、失っていた自信を取り戻すことができるかもしれない。3,4に比べ1,2は大きい。



■能力観の重要性

やる気には能力に対する考え方(能力観)が影響している。同じくらいの能力を持っていても、問題があるとすぐにあきらめてしまう子どもと、最後まで粘り強く挑戦し続ける子どもがいる。なぜ違う?実験で明らかに。無気力状態の子どもの集団。2つに分けた。

成功経験群:一方のグループにはやさしい問題を多く与え、自信をつけさせた。
努力帰属群:もう一方のグループには、やさしい問題と難しい問題とを与え、難しい問題ができなかったときには、それが努力が足りなかったためであることを繰り返し話した。

成功経験群の子どもたちに比べ、努力帰属群の子どものほうが、難しい問題で失敗してもやる気を失わず、根気よく学習を続けた。このことから、能力は努力次第で変えられるという考え(能力変化観)を持つ人は、能力は固定的でコントロールできないものだという考え(能力固定観)をもつ人に比べ、内発的に動機づけられやすいことが、明らかになった。

また、達成しようする目標の違いが、内発的な動機づけや持続的に努力する姿勢に関係する。能力固定観のように、他者から評価されることに関心をもち、成功したり、他者に勝ちたいという「パフォーマンス目標」をもつ場合、他者から思うような評価が得られなかったり、一度失敗すると、目標達成に対するやる気を失いやすい。


アイデア:カードゲームで、プレイヤーごとに、達成しようとする目標が違う、という設定は面白いかもしれない。お互いの行動スタイルの違い、秘められた達成目標の違い。それが織り成す多様性を楽しむ、といった感じ。


これに対し、能力変化観のように、自分の有能さを他者に示すことよりも、自分の能力をどのくらい自分で高めることができるかという「ラーニング目標」をもつ場合には、目標達成のプロセスに関心があり、他者の評価や成功・失敗に関わりなく、目標達成に向けて持続的に努力していこうとする姿勢につながる。
posted by 石井力重 at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月15日

動機づけのヒント(3)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


■無気力は性格ではない

人は、自分が環境を変えたり、自分でやり方を自由に決めたりできない状況が長く続くと、もともともっていた意欲を失い無気力になってしまいがち。無気力もまた学習されるもの。

セリグマンとメイヤー:犬を使った実験。電気ショックを与えても逃れらない状況に置かれた犬は、電気ショックから逃れられる状況になってもじっと電気ショックを受け続けるだけ。はじめから自分で脱出できる条件になった犬には、このような現象は見られなかった。自分がコントロールできない状況に長く置かれると、受動的で無気力になってしまうことを発見。「学習性無力感(learned helplessness)」。無気力とは後天的に学習されるもの。人間についてもある程度言えることが明らかとなった。すなわち人もまた、自らの力でコントロールできない状況に長くおかれると、やる気を失ってしまうのである。


アイデア:
カードゲームで、場をコントロールできる役割の人と、抗うことがほとんどできない役割の人を作る。これによって何を感じたか、体験するロールプレイ。人はそこから何かを学ぶ。興味深い。


コントロールできない状況は、不快な状況だけに限らない。一定の給与が支給されるといった一見良い状況であっても、それが自分の働きぶりに関わりなくいつでも支払われるような場合には、人はやはりやる気を失ってしまう。



■結果をコントロールできることを認知させる

学習意欲は、私たちが環境をコントロールできる存在であると感じられるかどうかによって左右される。「統制の所在(locus of control)」(ロッター)。

外的な統制:成功や失敗が、自らの能力や行動に関係なく、環境による結果であると感じている場合

内的な統制:自らの行動による結果であると感じている場合

(ド・シャーム、「オリジン(origin)」と「ポーン(pawn)」。オリジンとは、自分が自分の行為を引き起こす原因であると感じる状態。ポーンは誰かに動かされていると感じている状態)


アイデア:カードゲームで、オリジン役の人、ポーン役の人がいて、イベントを起こしたり起こされたりする。いろんなことを感じるためのゲーム


自分自身に状況を変える力があり、主体的に行動していると感じるとき、人間の内発的動機づけは高まる。

デシは、これらの研究から、内発的動機づけの源として、自己の有能さ、と、自己決定、という概念を導き出した。


評価制度において、評価基準や評価の過程が明らかにされず、上司の主観によって一方的に評価が決まるような場合、部下は自分自身では状況を変えられないと漢字、やる気を失う。どのような能力や行動が求められているのか、どのようなプロセスで評価されるのかが明らかである場合には、部下は自分自身の働きぶりによって状況を変えられると感じ、主体的に行動する。評価プロセスや評価基準を明確にしたうえで、上司が適切に評価し育成することは、社員の不公平感を減らすだけでなく、仕事への動機づけにおいても重要。


帰属理論:学習意欲は学習結果の原因を自分の中にあると考えるか、自分の外にあると考えるかという「原因の所在」と、その原因が容易に変化しうるものか否かという「安定感(可変性)」という2つの次元の組み合わせによって異なる

(安定性):    安定     不安定
(原因の所在):
内的        能力     努力
外的        課題の難しさ 運

学習の結果をもたらす原因が、外部にではなく自分の内部にあると考える(内的)ほうが、学習者のの意欲は高まる。その原因は変えられないものではなく(安定)、容易に変えられる(不安定)と考えているほうが、さらに学習の意欲は高まる。表中で学習者の意欲がもっとも高まるのは、学習結果をもたら原因を「努力」に求めるとき。結果が成功であれ失敗であれ、最も学習意欲は高まる。

成果を自分の力ではどうすることもできないと考え、学習に対して意欲を失っている子ども(無力感群)は、自分の力で変えることができる感じている子ども(熟達志向群)と比べ、難しい課題を与えられたときに最後までやり遂げず、あきらめてしまうものの割合が高かった。

このことは仕事にも当てはまる。上司から仕事の成果が上がらない原因を、いつも自分の能力や運のせいにされつづけたらどうだろうか。部下のやる気にとって職場の上司の振る舞いは大きな影響力を持っている。

やる気とは、本人が、自分を取り巻く環境や学習成果をどの程度自分がコントロールできると感じているかによって異なる。環境や学習成果に対してコントロールが可能であると認識することを「随伴性の認知」とよぶ。人は、随伴性を認知しているときほど、内発的に動機付けられ、意欲が高まる。逆に、随伴性が認知できない状況が長く続くと、やる気を失い無気力になってしまう。重要なのは本人に環境や学習成果を自分がコントロールしていると認知させること。

職場の場合、社員の「随伴性の認知」には、職場の上司の振る舞いが重要。身近な上司の振る舞いによって部下の認知は変わる。
posted by 石井力重 at 23:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月14日

動機づけのヒント(2)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。

同書には、基礎心理学、教育心理学からの切り口も展開されています。

■内発的動機づけ、外発的動機づけ

「内発的動機づけ」人が仕事そのものに感じる面白さ、やりがい。「外発的動機づけ」報酬など外部から与えられる動機づけ。内発的動機づけは、今日の組織での動機づけの考え方に大きな影響を与えている。

外発的動機づけ:報酬など、何らかの他の欲求を満たすための手段としてある行動を取ろうとすること。(作業環境や罰則、苦痛などの刺激。生理的動機)評価されたい、出世したい、上司から起こられたくない、という気持ち。(親和的動機は、ちょうど外発的動機づけと内発的動機づけの中間)外発的動機づけでは、金銭的報酬や罰などの外的賞罰にばかり注意が向くため、活動自体へのコミットメントが低くなり、結果として低いパフォーマンスしか発揮できない可能性も。

内発的動機づけ:他の報酬を得るための手段としてではなく、やっていること自体に感じる楽しさ、やりがいによる動機づけ。(達成動機)。一般に、仕事や学習などの高次の活動には、外発的動機づけより内発的動機づけのほうが効果的。




■どのようなときに、人は内発的に動機づけられるのか。

知的好奇心(epistemic curiosity)」
「自立性(autonomy)」
  「自己の有能さ」「自己決定

内発的動機づけとして重要と考えられているのが上記の3つ。

知的好奇心:新しいことを学ぶこと自体に感じる面白みや興味。新しいことに挑戦する面白さ。新しいことや珍しいものに面白さを感じ、探求しようとする知的好奇心を感じるとき、人は内発的に動機づけられる。ブルーナーの「発見学習」。教師が体系化された知識を教えるのではなく、生徒自身が自分で仮説を立て、その仮説を検証することによって主体的に学んでいく学習法。

自己の有能さ:自分が周囲の環境を効果的に処理することが出来る。
自己決定:自己の欲求をどのように充足するかを自由に決定できる。
自分から選択して行っている場合には内発的動機づけは高まる。自分ではどうすることもできず、自己の有能さや自己決定を認識できない状況に置かれると、内発的動機づけは低下する。



■「外発的」と「内発的」の関係

「内発的」は、報酬のような「外発的」を与えることでかえって下がってしまう場合もある。”アンダーマイニング現象”金銭などの外的な報酬が「内発的」を低下させる。(報酬を与えて動機付けさせたグループは、報酬の内ときには、とたんに課題に対する興味を失う)

「外発的」が次第に「内発的」に変わっていくことも有る。上司に命令されていやいや始めた仕事が、いつの間にか楽しくなり、天職と思えるようになることもある。人間が周囲の規範や価値を自分のものとしていくことを、”内在化(internalization)”と読んだ。(デシ)

デシ:内在化には「取り入れ(introjection)」「統合(integration)」という2つの過程が有る。

取り入れ:規範や価値感をそのまま鵜呑みにして受け入れている状態。言われたとおりにまずはやってみる。

統合:規範や価値を自分なりに噛み砕いて消化している状態。言われた仕事であっても「今、さまざまな分野の仕事をやっておくことがきっと将来の役に立つだろう」というように、その経験を自分なりに意味づけている状態。統合の状態になると、はじめは外から与えられた仕事であっても、自ら進んでやろうという気持ちになる。そうしているうちに、その仕事自体が楽しいという内発的に動機付けられた状態になることも有る。


「内発的」と「外発的」は必ずしも対立するものではない。どちらの動機付けも、使い方によって人をうまく動機付けることもある。

社員の自律性や主体性を尊重すると同時に、ときには外発的な動機づけ(たとえば上司の命令や異動、昇進など)によって社員が自分では気づかないような能力を育成し、仕事の枠を広げていくことも重要。
posted by 石井力重 at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月13日

動機づけのヒント(1)

企業内人材育成入門の動機づけの部分に興味深い記述があります。動機付けのヒントとして、私なりに理解したことをメモしておきます。


■生理的動機、親和的動機、達成動機

「生理的」は飢えや渇き、苦痛など、人間の生存に関わる欲求。労働が何よりも生きるための手段であった時代。人間は動物とそれほど変わらない存在として捉えられる。

「親和的」は仲間に存在を認められ、仲良く行動をともにしたいという欲求。人間は感情を持った社会的生物。良好な人間関係によってもたらされる動機づけ。

「達成」は目標に向かって何かを成し遂げたいという欲求。自分なりの目標を持っているほうが、仕事のやりがいを感じやすい。今日もっとも重視されている。いわゆる”やりがい”や”仕事で自己実現したい”という欲求。


達成動機について

マレー:人間の行動は、人間の内側にある「要求(need)」に方向付けられている。難しい課題に取り組み、目標を達成しようとする達成動機が経済発展を促す。

アトキンソン:達成動機は、「成功への接近傾向」と「失敗回避傾向」との差。「成功への…」=目標達成に成功したいという動機。「失敗回避…」=失敗する恐怖。とても困難な課題や失敗のマイナス面の強調は達成動機を弱める。適度な目標や課題を設定することが大切。


人間の動機づけはどれかひとつだけということではなく、3つが皮見合っている。



■マズローの欲求段階

5:自己実現
4:自我の欲求
3:親和の欲求
2:安全の欲求
1:生理的欲求

(注:段階を端的に示すために、補足的に数字を入れた。)

マズロー:人間の欲求に段階があると考えた。さまざまな欲求を段階的に位置づける「欲求段階説」を唱えた。上記のように階層化し、低次の欲求が満たされるとより高次の欲求が現れる。



■X理論、Y理論

マクレガー:「X理論」「Y理論」。提示の欲求に基づく人間モデルをX理論。高次の欲求に基づく人間モデルをY理論。X理論:人間は生来怠ける。金銭で刺激、厳しく監督しなければ働かなくなる。Y理論:人間は本来進んで働きたがるもの。自己実現のために自ら行動しようとする。
生活水準が向上し、低次の欲求が満たされるにつれ、人はY理論のように高次の欲求を求める。



■動機づけ・衛生理論

ハーズバーグ:人間の欲求には、仕事への不満につながる欲求と、仕事への満足につながる欲求との二種類があることを発見。作業環境など低次の欲求は、それが満たされなければ仕事への不満感を増すが、満たされたからといって仕事へのやる気をかきたてるわけではない。仕事への動機づけを高めていたのは、達成感や人から認められることといった、より高次の欲求。低次の欲求を「衛生要因」。高次の欲求を「動機づけ要因」。




(しかし)人間の欲求は、諸理論が考えるほど段階的だろうか。オフィス環境という生理的欲求を満たすことが、より高次の欲求である仕事のやりがいに通じることも有る。一方、給与などの待遇に関係なく自分の好きな仕事をしたいというように、生理的動機や親和的動機よりも自己の達成動機を第一にする人もいる。人のやる気は実際にはとても複雑。
posted by 石井力重 at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年02月11日

ここは努力、努力努力。

2月11日。初詣にいってきました。仙台市の来た、塩釜市にある塩釜神社です。おみくじにはこうありました。



じっくりと腰をすえてひたすら実力を蓄えるべきです。
足元の小さな事柄から一つ一つ片付けていくこと。
交渉事は時間をかけて当たること。
相手を良く見極めることが必要。
ここは、努力、努力努力。




なるほど・・・。としばし思いをめぐらせていました。努力に努力を重ねる。力重(力を重ねる)の私の名前どおり、この一年は、じっくりと一層の努力を続けてゆこうとおもいました。ただ、体調に事も充分に考えて。



努力、努力努力


下の娘は1歳二ヶ月。家の中では歩いていますが靴を履いて外を歩くのはまだまだ。一人で神社を歩きたがったので、あるかせてみました。石段を登る、という顔で意気込んでいるので、独力で上がらせてみました。泥だらけ。それでも必死に転びながらのぼっていました。大人になればなんてことのない石段。1歳の彼女にとっては大きな取り組み課題です。母親と姉がすいすい上っていくのを見て、なくことなく、自分の最善の速度で石段をよじ登っていました。

おみじくにあった努力、その大切さ。今一度、じっくりと受け止めて、歩を進めてゆきたいと思いました。
posted by 石井力重 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年01月24日

経済学研究科でのディスカッション第一回。

今日は休暇を取って東北大にいっていました。創造工学についてまとめてみよう、と思っていたので博士課程での研究テーマに出来る可能性を模索しています。それにふさわしい先生がいらっしゃったので、今日はその第一回ディスカッション。

私が想定していたよりもアカデミアの視点は専門的先端さがいるとわかりました。しかし手が届かないレベルではないようです。

『創造のプロセスの博士、石井力重』
と称されるのが大学における研究のゴール。

しばらくは、複数の活動に加えて、研究活動も本格的に行うことになりそうです。面白くなってきました。

ただ、そのために、その前の晩は徹夜で仕事を仕上げて、研究ディスカッション資料をつくり、という作業。ここは覚悟していくしかないかもしれません。楽しければ苦ではありませんから。
posted by 石井力重 at 23:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2008年01月22日

等価変換理論

いま、ずっと読んでいる本があります。『図解でわかる 等価変換理論 技術開発に役立つ70のポイント』という本です。

等価変換理論を学びたいと思い、この本をじっくり読んでいました。まえまえから発想支援関係者のスライドに見ていた「等価方程式」に苦手意識があったのですが、表現はとっつきにくいですが、表現するところは分かりやすいものでした。そして私が最近気づきつつあるあることに大きな示唆を与えてくれました。




  等価方程式
  
     Σa
     ↑  cε  
  Aο     =    Bτ
vi→         ↑
            Σb


これだけ見ると、なにやら難しい分けですが、意味はとてもシンプルです。

Aοから特有の条件群Σaを取り去ると、本質cεが抽出され、これに特殊な条件群Σbを加えるとBτが出来上がる。

つまり、
Aο−Σa=cε
cε+Σb=Bτ

(viは、観点(ものを見るときの角度や立場、考え方の方向性:開発目的にあった観点を1つ選ぶ))



なるほど…。
ある観点で、事象をみると、本質と副次的なものにわかれます。
その副次的なものを取り去り、こんどは、別の副次的な衣を本質に組み込みます。そうすることで、別のある事象になる、と。ここが基本ですね。

なお、それはある観点で、という部分がとても重要だと思います。ある観点で事象をみたときに、その事象の「要素」となるものが見出されます。そしてそれらの関係性がついで見出されます。つまり「構造」ですね。この用途と構造が本質となり、新しい衣を着せればまた別の事象になる。

しかし、別の観点で見れば、最初に抽出された「要素」は必ずしも要素化されはしません。観点が変われば要素となるべきモノが変わって然りです。そうすると構造も変わります。つまり抽出される本質が変わる、ということですね。どの観点で見るのか、あるいは見れるのか、が大切ですね。
posted by 石井力重 at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究(MOT)/検討メモ&資料



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