2018年03月31日

事業9年目最後の日の報告は、『石井の発想法が、他の書籍に載りました』

3月31日。アイデアプラントの創業から丸9年目が、今日で終わります。

さて、献本していただいた本を紹介します。


書籍名:『アイデア発想法16 どんなとき、どの方法を使うか』
著者:矢野経済研究所 未来企画室
出版社:CCCメディアハウス

アイデア発想法を、手堅い企業さんが使う場合に、コンパクトで明快、かつ、手堅い組織風土にもなじむような、適度なバランスで、多様なアイデア発想法が記されています。

技法としては、オーソドックスなものが多く、それらを吸収しやすいように、ライトなテイストに編集されています。

私がお付き合いのある企業・機関の中で言えば、行政系や、手堅いパブリックサービスを行う組織、に相性がよさそうに思います。

さて、このブログは、石井の活動報告であり、その点から、この本については報告したいことがあります。

それは、石井の作った技法(の一つ)が、初めて、他の書籍に引用された、という点です。

書籍の文中で言及していただいたことは、ありますが、今回は、技法集の中に1技法として、採録されています。

【はちのすノート】

アイデア発想法16_03.jpg


拙著『アイデア・スイッチ』のデザインとはまた違ったテイストです。デザインが変わると、思考の促されも変わるなぁと、思いまして、それもまた私にとって興味深いです。

アイデア発想法16_02.jpg


この本の中で、「はちのすノート」だけ、挿絵のトーンが、ぴょーん、とした感じです。多くの挿絵は、抑えの利いた手堅いトーンです。

アイデア発想法16_01.jpg

他の書籍に採録された記念すべき一号です。


アイデア発想法16_00.JPG

この本のタイトルの「どんなとき、どの方法を使うか」は、他のアイデア発想法の本があいまいにしているところで、この本の特徴といえます。

かなり、読者の利用シーンが明確にあって、この時はこれ、と解いてくれていますので、ターゲット層の読者さんには「おお、これは助かる」となるでしょう。

そうでない読者にも、一定の示唆はあるかもしれません。


最後に、はちのすノートを離れて、もう一枚。
このページは、矢野経済研究所の水越社長によるあとがきです。

アイデア発想法16_a.JPG

引用「成果を生むためには真に創造的なビジョンが必要です」
引用「2つのギャップを埋めることがまさにビジョンであり、ビジョンを実現するための創造的な戦略となります。」

この言葉に力を借りて、すこし、つづります。

石井は思うのです。

堅実性と創造性。この2つが車の両輪だ、と。
この二つはともに必要、社会的価値を生み(貨幣価値も副産物として生み出す)ために。

手堅さの中でも、創造がいつもいる。
それは、クライアントを全国訪問して歩いていて、何度も目にする課題です。

創造的資質は、日本人はもともと高いのだと思うのですが、現代の大企業の中ではそれを日々発露させにくい。そういう状況を乗り越えてイノベーションの軌道を力強く駆け上がっていくには、時には手堅い組織にすっと受け入れられやすい書籍や、時には思いっきり創造的相互刺激を与えあうようなワークをしたりして、今背負っている組織と折り合いをつけながら、愚直に進み続けることが、日本式イノベーションに大事だと感じます。


石井が作り出すものには、『技法』『本』『ツール』『ワークショップ』などがあります。

9年目の最後に手にしたこの本を見ながら、思いました。

『本』は、時間を越えて、次の人たちへ届き、創造への礎となりうる。

本を書くのは苦手だ、といって書籍執筆には、目を背けていたのですが、創業10年で、人々から育ててもらった知見と経験を、そろそろ、本という形で、この時代に置いていくようにしたいと、思い始めました。


posted by 石井力重 at 23:58 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2018年02月24日

台湾からの入金、二重課税の回避の処理(居住者証明書の請求など、実際にしたことのメモ)

昨年(2017年の10月)に、台北と新竹で講演&ワークショップをしまして、その入金がありました。

経験をメモしておきます。
記憶をもとに書きますので、用語や処理が正確ではないので、検索でここにたどり着いた方は、「そういう感じらしい」程度に、見てもらえれば幸いです。

◎制度が始まったばかり

2017年1月1日に、日本と台湾の間では、二重課税を回避できるようになりました。「日台租税協定」。

私は、顧問税理士に「台湾側から入金が予定されています。」と事前報告していたところ、「2017年から二重課税の回避の協定ができたので、先方に依頼して、台湾側の税金免除を行ってほしい」と言われました。

私は内心『んん”?めんどくさいなぁ、それ。先方(台湾の方)にも手間をかけてもらう必要があるし。。。』と思いました。

ただ、税理士さんが言うには、
「従来は、二重課税だった。なので、台湾が日本に払う金額がA、税金がYだとして、支払われた金額Aに対して日本国で所得に課税する。そういう処理だった。」
「しかし、協定ができた。今度は、本来二重課税の回避ができる状態なので、台湾側が払う金額「A+Y」に対して、所得税が日本でかかる。石井さんのいうように、面倒なので二重課税になってもいいや、という場合には、従来よりも大きな税金を払う。」
「なので、二重課税の回避の処理を、先方に依頼してほしい。」
と。

理屈はよくわかりまして、『おおお、、、先方の皆さん、手間をかけてごめんよ。。。』と思いつつも、その処理を依頼することにしました。

◎地域の税務署にゆこう

さてまず、日本側でしたこと。

地元の税務署に行き、『居住者証明書交付請求書』なるものを発行してもらいます。(私は仙台市太白区に住んでいまして、訪問したのは仙台南税務署、です。)

ネットでググれば国税局のPDFが見えます。
めんどくさそうに見えますが、記入してみればかなり簡単で、住所氏名、相手先の国、対象期間、あとは、チェックボックスに全部チェックして、必要部数を書くだけ。

台湾に出す分は1枚でいいのですが、書くのは「二枚」です。(顧問税理士さんが教えてくれました。税務署に保管される分があるから、と。)

難儀なのは、住所を記入する右上の欄が小さい。日本語とローマ字でつづるといっぱいいっぱいになるので、できるだけ小さい文字で記入します。

「対象期間」は、当初は何を書いていいのかわからず、ブランクのままで(そのままで受理されて)発行されました。
これは、台湾側からのちに(4か月たってから)、「記入してほしい」と依頼されて、再発行してもらうことになりました。
要は、私の場合は、講演とワークショップを行った4日間が10月の下旬にありまして、それを書くべきだったのです。

(ただ、もしかしたら、2017年、とか、長い期間に当たる表現で記入してもいいのかもしれません。厳密には、わかりません。)

なお、この書類は何のためのものか?というと「私は日本に居住しているので、台湾に住んでいるわけじゃなく、台湾にオフィスがあるわけでもないので、二重課税の回避の対象者です」というのを、日本の税務署に証明してもらう書類なんです。

発行にかかる時間は、当日もしくは1週間くらいです。

まず9月に、顧問税理士さんに代理で申請してもらった時は、当日発行をしてもらったそうです。
私は、2018年の2月中旬に、台湾側からの再発行依頼をうけて、申請にいきましたところ、1週間(4日間ぐらいかな)で発行されました。なんと自宅に、簡易書留で郵送してくださいました。ありがとうございます。

この違いは多分、「税務署の繁忙期(確定申告=2月中旬〜1か月)」に、申請に行ったことに起因していると思われます。

日本側で行う処理は、これだけです。

さて、これを、台湾側に提出します。(国際郵便で、90円で届きます。)

◎台湾側は大変そう

台湾側は、2017年から始まった新制度で、実際のところ、どうするのかを現地の税務署的な組織も、手探りで進めているようで、大変そうでした。

「この書類を送ってください。」
「この書類も、必要になった。」
「やっぱり、見積書に税金も入れてください。」
「パスポートをスキャンして送ってください。入国日、出国日もわかるように。」

という感じの依頼が、2週間おきに、ぽつ、ぽつ、と、やってきました。
担当者の方が、台湾の弁護士的な専門家や税務署的なところとやりとりされて進めているような感じで、そのお手間をおかけして申し訳ないなぁとおもい、それらのオーダーに粛々と答えていきました。

具体的に必要だった書類を、整理してリストアップします。

0)先に記した「居住者証明書」

※実際は書類の上部に、「居住者証明書交付請求書」というフォームがついていて
そこも切り離さずに提出しています。むしろ、そこに詳細情報が載っている書類です。

1)見積書(講演費用、および、台湾が従来おさめていた税金額)

※私の場合は、講演費用150,000NT$、税金37,500NT$、を明記したものでした。
当初は、講演費用のみを記載したものを提出しましたが、最終的には、記載版が必要になりまして、その段階で、税金額を知りました。25%なんですね。

2)パスポート(顔写真のページ、および、案件で入国・出国した日のスタンプページ)

※パスポートのスキャンは分厚いので、スキャンスナップではできず難儀しました。

3)「POWER OF ATTORNEY」

※これは、現地の弁護士さん(的な人)に、申請を委任します、という書類。英文でした。

4)TRAF(Tax Refund Application Form)

※これは、協定に基づき、税金払い戻し的なことをする書類だと思われます。英語と中国語でした。

そんな感じのやりとりを、2017年の年末までして
終わったかに思いました。

が、2018年の2月、「居住者証明書」の再発行をしてほしい、という依頼がきまして、再び対応。

そんな感じでした。


◎入金は、分割されてきました

まず、案件が終わってすぐ、具体的には11月上旬に、講演費用が台湾の銀行から日本の私の銀行口座に振り込まれました。

税金分は、翌年2月中旬に振り込まれました。

なお、相手側の銀行は「LAND BANK OF TAIWAN」。

私の方は「77銀行」です。南八木山支店、という私の自宅の徒歩5分の支店です。

※先方には、案件の前に、日本の銀行口座を伝える際に、銀行名、支店名の英語表記、およびSWIFTコード(国際の銀行識別コード)などを伝えました。77銀行の場合はこちら

当初は、外国からの入金は、UFJなどのメガバンクしかだめなんじゃないか、と思っていましたが、大丈夫でした。手数料もあまり差はありませんでした。

◎外国からの最初の入金では、銀行窓口で担当者と話す

台湾からの入金が11月にあったことを知ったのは、77銀行の近所の支店からの電話でした。

入金があったので、明細書類を送るけれど、窓口に来てほしい、とのこと。

行くと、確かマイナンバーカードの提出をお願いされたように思います。うろ覚えです。二度目の入金の時は不要でした。
奥まった、いつもと違う窓口で、担当者の方と、どんな仕事をしているのか、ということをしばし会話して、マイナンバーカードを控えてもらって、終了。
外国からの入金があった場合、そういうことを一応確認するもののようです。

なお、金額は、どのように処理されるか(銀行経費を引かれるか)、について。
総額によって変わるだろうとおもいますので、あくまで一例として。

まず、台湾側が、台湾の銀行に振り込みます。多分、NT$立てです。
その時点で、それは日本円で換算されるようです。
(為替の時系列情報をみてみると、入金日の為替レートの最安値と最高値の中間ぐらいのレートでした。)

その金額から、銀行間手数料(1750円)が引かれます。
そして、77銀行の手数料(1500円)が引かれます。(Non ex手数料、と書かれています)
それが、口座に入金されます。

なので、3,250円が、処理で消えるわけです。
今回は、講演費用と税金分と2度の送金がありまして、それぞれにその処理があるので、計6,500円が、処理コストになっています。

銀行間の手数料はかかるのでしょう。それはそれとして、”Non ex手数料”とは「交換手数料じゃない手数料?」とは一体何か?と思っていたのですが、「わざわざ担当者が入金の度に電話して、書留郵便で書類を郵送する」という作業をするわけで、その実経費だけで数百円かかり、人件費を考えると、外国からの入金には、対処コストがかかるんだろうなぁと解釈しました。


◎多分、他の方にとって最大のネックは

多分、台湾側にこの手続きをしてもらううえで最大のネックは、現地の弁護士さん的な人に処理を委任して、やっていただく点だろうと思います。

私は、相手側が、公的研究機関だったので、その辺の体制がしっかりしていたので、ファースト・トライにも関わらず、時間はかかれど、完了できました。

相手側が小規模事業者だったりすると、その辺が大変かもなぁ、と今回の様子を見て、思いました。




以上です。

上記は、下書きなしの一発でかいているメモです。
忘備録なので、他の方が読んで役立つかわかりませんが、書きました。

台湾と日本がビジネス的にもより関係が発展しているからこそ、協定が成立しているわけで、手間はかかりますが、日本と台湾の間の関係がますます良いものになるよう、他にも、こういう情報が必要な方に向けて、知見をシェアさせてもらいました。



謝辞:

今回の案件、および、一連の処理は、台湾の公的研究機関「ITRI」の徐(じょ)さん、に尽力してもらいました。

プロダクトデザイナーであり、講演イベントの運営もされて、そして、日本語堪能者として通訳も、アテンドもこなす、とても優秀な人です。

どうもありがとうございました。

そして。

私の友人・知人の皆様へお願い:

徐さんが、ITRIの研究者を退職し、この春から日本のドクターコースへ留学されます。
千葉大学でデザインやイノベーションについて研究されるそうです。

同大学には過去に留学経験があるので、土地勘もあるそうですが、当時の同級生はほぼいないようですので、また一から人間関係を作っていくようです。

イノベーション研究の過程で、インタビュー調査に企業さんへアポを取ったりすることになるでしょう。

その際に、ぜひご縁があれば、協力していただければ幸いです。

台湾のデザイン、テクノロジー、イノベーション、文化やトレンドについて、興味深い話を聞くこともできるでしょう。
台湾側のネットワークが広いので、今回のようにきっと台湾と日本の架け橋にもなってくれるでしょうから。




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posted by 石井力重 at 02:57 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2018年01月01日

2018年の抱負「一日1クリエイション」

「創造すらも習慣となる。」

これは、創造性のある文献に出てくるフレーズなのですが、創造する人々を見ていると実際にその通りだと感じられます。

さて「習慣にするには何日かかるのか?」ですが、「66日」が一つの目安となるそうです。

補足
(ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの研究者による有名な論文があります。
90余名の被験者らによる実験結果は、18日〜254日。
その平均値が66日。

各人の取り組んだ習慣化の課題は「飲むこと」あるいは「食べること」あるいは「運動」など。知的な作業の習慣化については、その結果をそこ(知的な作業)にも援用できるならば、という仮説のもとに適用する慎重さが要るでしょう。

被験者の中には、長い人で254日かかっていました。それは1月1日に初めたならば9月11日に当たる期間です。長いですね。
取り組む課題と個人差があることを考慮してこの「66日」という特性数字をとらえるべだと思いますが、それでも、66日、という数字は一定の有効な知見だと思います。

論文タイトル「How are habits formed: Modelling habit formation in the real world」)

話を一度大きくしますが、経営学の文献にある有名な起業家の創業前夜のことがつづられています。

起業前のあるひとは自身に「一日一発明」という高いハードルを課しそれに取り組んでいったそうです。

これはソフトバンクの孫さんの話です。
(大学院生の時代の記憶でややおぼろですが、文献は確か、金井先生の『ベンチャー企業経営論』だったかと思います。)

そんな3つのことが、今年の年頭に頭に浮かんでいて、次のように今年の抱負(目標)を決めました。

「一日一クリエイション」

孫さんに並ぶ「発明」レベルの目標は恐れ多いので、ちょっとしたことでも「創造」することを毎日の目標にします。
何か困ったことを見つけてそれを改良する。
面白い技術やノウハウを見つけてそのエッセンスを別の活かし方に展開する。
ちょっとした道具を考案してみる。
そんなことで、良い、としました。

なお、それが難しい日のために、習慣を途切れさせないための「次善の策」として

「創造性の文献を8分間読む」

も設けました。

(いきなり逃げ道を用意する感じですが、どうしてもやれない日があります。8時間講演で終わったら倒れるように寝る日とか、仙台来客フルアテンドの日など。その中で8分間、読むための資料を常に持っておいて、それで習慣の継続とすることにしました。)


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posted by 石井力重 at 14:57 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

新年のご挨拶(2018年元旦)

昨年お世話になりました多くのパートナ企業の皆様、助けていただいた多くの方々(友人、知人、先生方)に、略儀ながらビデオにて御礼申し上げます。

(冒頭から、大きな声でしゃべっています。音量にご注意ください。)


ビデオで述べました昨年の3つのことは、どれも自分一人では絶対にできないことでした。

皆さんにいただいたものについて、貨幣的価値としての報酬をお返しする形だけでなく、(貨幣的な報酬を受け取られない方もおられますので)、私たちの事業を通じて広く社会に恩返してゆきます。

2018年4月1日〜2019年3月31日は、いよいよアイデアプラント創業10年目です。
創造的社会への礎とならん、という気概で、今年も仕事に邁進してまいります。

皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2018年1月1日
石井力重
posted by 石井力重 at 13:39 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2017年12月11日

今年三か国目のアイデアプラント海外渡航(タイ)へ

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夜のワットポーに来ています。滞在している川辺の宿から徒歩2分のところにあります。

さて、アイデアプラントの海外渡航、と銘打って、感性の仕入れのために、空き時間を見つけては、知らない世界を見に行くことをここ数年しています。

今年は、3月のオーストラリア、夏と秋の3度の台湾、と展開しまして、今日からは、タイ(のバンコク)に来ています。

王宮といわれる中心地からは遠い川の近くの宿に滞在しはじめました。このブログを書いている部屋の窓からは、川の向かいのワット・アルンがライトアップされて見えています。

昨日の東京の仕事を終え、次の仕事が京都なんですが、その移動の間の5日で別の街に寄ろう、という感じで来たのでした。その5日間、東京での仕事の予定が3カ月前からあったのですが急遽すっぽりなくなったので。(こういうタイミングをどん欲に拾っていかないと、海外の街へいきづつけるのは難しいのです。二週間前に渡航を決めたのですが、けっこう何とかなります。)

さて、海外レポなんて報告しても、もっといいブログが旅人界隈にはありますので、やめておいて、石井なりの気づきを。

刺激を入れるための海外渡航、です。
世界遺産を見ることよりも、「何を感じたか」が旅費で買っているものなんです。

新しい国に入ったとき独特の「もどかしさ、うまくいかない体験」を、今日は、思い出せました。

このところ、台湾が連続したので、初めての国へ行くときの心の動きを忘れていたな、と。

まず、つい、ニイハオ、謝謝、と、中国語の挨拶が出てしまう、ということ。
これは、前にヨーロッパの各国を3日づつ移動した時に良くおこりました。
覚えてしまった外国語が、新しい国に入ってしばらくは、口をついて出てしまいます。

次に、「その国独特の英語が、ほとんど聞き取れない」現象です。
英語でしゃべっているはずなんですが、タイ語っぽい”にゃむにゃむ”とした英語で、全然ききとれず「え?え?」を繰り返すことに。
これは、今年の3月、オーストラリアでも強く感じました。
初めに降り立った街、ホバート(タスマニア)で、タクシードライバーが、明瞭にしゃべる言葉がなにも一つもわからず脳出血で脳の異常でも起こしてもしてるのか?と不安になったほどです。
そんな試練で始まったオーストラリア旅も2週間が終わるころはかなり聞き取れて、少し会話ができていました。
英語といっても、どの国も母国語なまりがきつい。
この国では英語の発音がこうなる、という傾向がしみ込むまでは、聞けなくなるわけです。
しみ込みさえすれば、「英語」を「その国の母国語側に補正して聞く」ようになって、わかり始めます。
今日降り立ったドンムアン空港では、SIM屋のねえさんたちの言うこと全然わからなかったけれど、夜には2割ぐらい、単語が聞こえるようになりました。(英語が、です。)

三つめは、「いい人もいるし、悪い人もいる。相手にとって面倒な外人であるが故に、雑に扱われることはままあるさ。言葉の通じない最初のころに、その国の人の人当たりを決め手はいけない」という気づきをまた思い出しました。
初めての国に着いたら、まず、その国の人たちに弟子入りしたような心持ちで、学ぼう、としなくては、言葉の吸収補正が遅くなります。そんなことも思い出しました。

四つ目は、「新しい国には、田舎から入るべし」という自分の中の経験則を思い出しました。
どの国も都会は忙しい。基礎すらわからぬ外人に付き合う時間があまりない。
その点、田舎だと相対的に時間がゆっくりで、人々が外人のもたつきに対応してくれる傾向にあります。
なので、ヨーロッパにしろアジアににしろ、旅程を首都だけにせず、その国の地方も旅程に入れておくといいんだ、と。
(今回は滞在時間が限られていて、バンコクのみになってしまいましたが)

他にもありますが、長くなるのでこの辺で。

海外渡航、いいですね、とよく言われるのですが、もちろんその通りなんですがそれだけでもないんです。

「地縁も知人もいない環境に一人ぼっちで、言葉もろくにできない。名もなき一人の異邦人になる。母国のようにはものごとがはかどらない辛さ・さみしさ。」

そういう「ガイジンの苦しさ」を味わうことも、じつは多くて、それも大事な「何を感じたか」なんです。これを買いに旅費を出している側面もあります。

起き上がりこぼしを立てる重し石のような「にがさ・辛さ」。

そんな時間も、大事に味わいたいです。
経験的に知っています、数日でその国に対する辛さの瓦解が起きてしまうことを。
そうして、二度目以降のその国の渡航では、もう、わかんなくなっちゃうんですよね。

そんなわけで(多分)今年の最後の海外渡航、頑張って、感性の仕入れをしてきます。

いろんなものを見て、物を食べ、人に会い、さらにアイデアプラントの事業を発展させる力にしてゆきます。


追記:

12月15日の夜、帰国しました。関空について、次の仕事の京都へ。

タイに滞在した最初の夜にこのブログをかいています。
その後24時間が過ぎた時点、48時間が過ぎた時点での心理変化もメモしています。紹介します。

(追記1:タイ入り24時間を過ぎた今は、もう、ここに書いた気待ちが薄れてわからなくなりつつあります。)

(追記2:タイ入り48時間を過ぎた今は、最初に無意識に出てくる言葉は、「ニイハオ、シェシェ」から「サワディカッp、コープンカッp」になった。宿の近所のセブンイレブンで店員に顔を覚えられて、バイトリーダー風の兄さんに「どこからきたの?」と声をかけられるようになった。(初日はものすごく無愛想だった女の子も挨拶してくれるようになった。)もう「初めて行った国で感じる孤独」は、タイについては消えてしまった。)


この2つのメモは「始めていく国で感じる強いストレスのその後の急速な馴化」を示しています。

多くの場合、こういう見知らぬ土地で一人ぼっちに感じることは、後になってしまうと思い出せないものなんだ。と、今回気付きました。

いろんなものを感じることのできる、良い海外渡航でした。
posted by 石井力重 at 23:49 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2017年11月24日

【ご案内】12月の講座・ワークショップ

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石井が講師やファシリテータを担当する講演・講義・ワークショップのうち、一般の方が参加が可能な公開型のものを紹介します。
(一部、参加に一定の制約があるものも含みます)


◎ 12月9日(六本木)

”第192回 SMIPS”

主催者さんは、SMIPS( http://www.smips.jp/ )さん。
日本国内の知財人材のコミュニティーです。
NEDOフェロー時代の同僚たちも多く所属する学会に近い性格をもった専門家コミュニティーです。
参加費無料で事前登録も不要のようです。
ご興味ばあればお気軽においでください。

石井さんからも告知をー、との連絡がありました。
その案内文章が、MLかFacebookページしかないようですので、
石井なりに情報を抜粋と統合してみました。



◎ 12月10日(日本橋茅場町)

”中国留日同学総会のアイデア創出のセミナー”

主催者さんは、来日中の中国人留学生、社会人をサポートする団体さんです。その団体さんがサポートする方々向けに向けたアイデア創出のテクニックを学ぶセミナーを東京駅からほど近いところで行います。
参加者対象者さんが日本にいる中国の方なので限定的ですが、留学中や留学を終えて日本で働かている方は多分、受講資格があるかとおもいます。ご興味あれば、コンタクトしてみてください。

中国留日同学総会さん(中国留日同学总会さん)の公式サイト


◎ 12月13日&14日(千代田区)

”アイデアワークショップデザイン講座”

主催者は、クリエイティブ教育のNPO法人「iCON(アイコン)」です。
私も理事の一人として参画しています。
アイデアの講座は、石井が2日間、フルに講師を担当します。

もし、職場でイノベーション活動の担当者になって、アイデアソンやブレストのデザインの仕方を学びたい、という方がいらしたら、ぜひ、「こんな講座があるよ」とシェアしていただければ幸いです。

ブレインストーミングを思いっきりできる環境で、創造的トレーニングをすることや、そこで出会える創造的な対話のできる友人が得られることが、この講座は、毎回、効能として大きい、と思います。

もちろん、提供する知見を一つでも多く持って帰ってもらえるように、石井も全力で講義します。


詳細と申し込みは、こちら


◎ 12月16日(京都)

”京都ビジネス・デザイン・スクール”

京都のイノベーション教育の中心的な機関の一つつなりつつあるASTEM(京都高度技術研究所)の主催する、長期型の企業人向けスクールです。
これは、参加者は一般公募している日もあります(スタートの日など)が、石井の担当する「アイデア創出2」は、残念ながらその日ではありません。ただ、スポンサードしている企業さんの「招待する聴講者」も可能性が少しあるように思いますので、もしご興味があって参加したい、という方がいらしたら、関西のイノベーションのコミュニティーの知人のつてを探してみてください。




追記:<<アイデアプラントのお手伝い係>>

アイデアプラントには、アイデアプラントのお手伝い係、というオブザーバ制度があります。

一般参加者さんの枠がいっぱいでも、アイデアプラントのメンバー(お手伝い)として、場に入ることができますので、それが必要な場合は、石井までご連絡ください。

基本的には、配布物の配布を手伝ってもらったり、ワーク時の人数調整のために場に入っていただくなどのことがありますが、オブザーバに近い形で、すべてを見ていただくことができます。

なお、同一イベントに多数の方からの希望があった場合には、オブザーバ係をやたら増やすわけにはいかないので、やむなくお断りすることもありますが、ご了承ください。



上記4件のほかにも、各地の企業さんの中での非公開ワークショップもあります。
それもあり、12月の2~3週間は、日本中を旅仕事で回っているとおもいます。

各地で、またいろんな方とお会いできるのを楽しみにしています。

創造的な人や組織が次々と生まれてくる社会を作りたい、そう強く願って、今回も全力で講義を提供します。

posted by 石井力重 at 21:19 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2017年11月15日

アメリカでの販売がスタートしました【TRIZ BRAINSTORMING CARDS】

本日、智慧カード(の国際版)の、アメリカ販売が始まりました。

TRIZ_Brainstorming_Cards.png

アイデアプラントのオンラインショップの店長のコメントを引用します。


Our new product, “TRIZ BRAINSTORMING CARDS” is released in the United States TODAY! You can buy it from Amazon.com.
新製品「TRIZ BRAINSTORMING CARDS(トゥリーズ・ブレインストーミング・カード)」は本日発売です。amazon.comにてお買い求め頂けます。

You can buy it from the following URL.
こちらのページから直接お買い求めいただけます。


アイデアプラントのアメリカ販売は、nekonoteに続き、2製品目となりました。

日本生まれの発想支援ツールが、他の国の人たちの創造仕事にも役立てば幸甚です。

posted by 石井力重 at 23:35 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2017年11月14日

外国からの講演費を七十七銀行で受け取る

今日は、個人事業主として、初めての経験をしました。

台湾の銀行から、講演費が七十七銀行に振り込まれ、そのためのマイナンバー提出に行ってきました。

以下、個人事業主の海外取引の忘備録として、メモしておきます。



結論から書くと、入金される額は、以下の通りになります。

入金金額=外国の銀行の支払い金額(日本円)ー[銀行間の手数料]ー[NON-EX手数料]

(補足:先方の支払いが現地通貨だての場合は、
入金金額=外国の銀行の支払い金額(現地通貨)ー[銀行間の手数料]ー[両替手数料]
 となるはず。)

説明を書きます。

外国の銀行が支払う金額がまず起点としてあります。
今回の場合は、先方が日本円での支払いをかけてきました。
(あり得る別ケースとしては、現地通貨で支払いをかけてくる場合もあります。)
そこから、銀行間の手数料が引かれます。
さらに、七十七銀行の「NON-EX手数料」が引かれます。
そうして入金されるとなりました。

※NON-EX手数料:外国の通貨で来た場合は、日本円に変える手数料がかかりますが、日本円で来た場合は「変えない」ので、外国からの入金の手数料(かなり安い)がかかります。それがNON-EX手数料。

(七十七銀行の外国送金のところに、詳しい金額体系があります。)

先方の送金金額は56万円ぐらいです。
この金額の扱いの場合は、手数料関係は、以下のようになりました。
  • 銀行間の手数料は、1,750円。外国の銀行の取り分です。
  • NON-EX手数料は、1,500円。七十七銀行の取り分です。
(これは扱う金額で変わると思います。多分、これは、手数料としては、最低価格だと思います)

なお、入金が確認されると、被仕向外国送金計算書、というものを七十七銀行の支店が書留で送ってくれます。
徒歩7分ぐらいの銀行なので書き留め代金(銀行もち)がもったいないのですが、毎回、お知らせしてくれるようです。



余談)

今回、仕事で外国(台湾)からの入金がくる、ということがわかった時に、最初に悩んだのは、七十七銀行でいいのか、という点でした。

うちの経理を見てくれている税理士さんは、”みずほとかメガバンクがいいんじゃないですか”、と言っていました。

それは最終ラインにしておいて、私がメインバンクにしている七十七銀行の近所の支店に台湾からの入金が可能かを聞いてみたら、”できますよ”、と。
その手数料もざっとみたところ、メガバンクと大きく変わるわけでありませんでした。

いつもの近所の窓口でできるなら便利なので、七十七にしました。

それから数カ月後。
入金がありました、と、わざわざお電話をくださり、書留を送ってくれました。

”初めての外国からの送金の際には、マイナンバーの提出がいる”とのことで、出向きましたが、二度目以降はこれは要らなくなるようです。

今回受けとってみて、何も手間取ることはなく、すべて完了できました。

補足:

外国からの入金を受け取る銀行として、もう一つ考慮した点があります。「どの国からの入金を扱えるか」という点です。
アメリカなどは、外国送金があるところなら、ほぼある感じでしたが、相手国によっては違いがあるようです。少なくとも、ネットであちこちの銀行を見たときには「(リストが示されていた後に)それ以外の国はご相談ください」的な感じだったりしたと思います。


情報)七十七銀行のSWIFT code (スウィフト・コード)について

英文名称:The 77 Bank,Ltd.
スイフトコード:BOSSJPJT
支店名:〜Branch

銀行の外国送金ページにあります。

(蛇足:スウィフトコードの最初のBOSS、ってかっこいいなぁ、とおもって、メガバンクを調べてみて、どうも、BOは、共通っぽいなので、Bank of Shichiju Shichi、か、と推測して、いや、Bank of Seventy Sevenかな、とも。)

posted by 石井力重 at 20:40 | アイデアプラント 4th(2015-2017)



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