2024年05月20日

人は苦労するがAIは得意なこと(アイデア領域)

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AIの進化は日々加速しており、私たちは「考える」という行為の意味が初めて変わる時代に立ち会っています。数年後には、人とAIがタッグを組んで作業を進める時代が確実に訪れるでしょう。これは、創造や想像の仕事にも大きな影響を与えることでしょう。この新しい仕事スタイルを私は「人機共想」と呼んでいます。

この未来において、人間は単純作業や機械的作業、さらには高度な機械的作業から解放されるでしょう。その時、人間はどのような”脳作業”に専念するのでしょうか。

今日、チーム内で「アイデア創出において、人が苦手でAIが得意なこと」について議論しました。私がすぐに思いついたのは3つのポイントでしたが、もっとある気がしました。そこで、AIにも意見を求め、その結果をここに共有します。

AI曰く

  1. 大量のアイデア生成: 人間は短時間で大量のアイデアを出すのが難しいが、生成AIは高速で無数のアイデアを生成できる。

  2. ランダム性の導入: 人間は無意識にパターンに従う傾向があるが、AIは完全にランダムな要素を取り入れることができる。

  3. パターン認識と新しい組み合わせ: AIは膨大なデータを迅速に分析し、新しいパターンや意外な組み合わせを見つけ出すのが得意。

  4. 広範な知識ベースの活用: AIはあらゆる分野の知識を即座にアクセスし、関連付けてアイデアを生成できる。人間は特定の知識に限定されやすい。

  5. 感情に左右されない評価: AIは感情に影響されずにアイデアを評価し、純粋に論理的な観点から最適な選択肢を提示できる。

  6. 無限のクリエイティブリソース: 人間は疲れやストレスで創造力が低下するが、AIは常に一定のパフォーマンスでクリエイティブなプロセスを続けられる。

  7. 複数の視点からの分析: AIは異なる視点やフレームワークを迅速に切り替え、多面的なアイデアの評価を行える。

  8. データの統合と解析: 人間には困難な大量のデータを統合して解析し、洞察を得るのが得意。これにより、アイデアの質を向上させる。

  9. 即時のフィードバック提供: AIは生成されたアイデアに対して即座にフィードバックを提供し、迅速な改善を促進できる。

  10. 反復的な作業の自動化: 人間が退屈に感じる反復的な作業を自動化し、創造的な時間を増やすことができる。

石井もこれに全面賛同です。

今度は逆に、「人得意、AI苦手」を聞いてみました。

AI曰く

  1. 感情と共感に基づくアイデア生成: 人間は感情や共感を基にしたアイデアを生成するのが得意ですが、AIは感情を理解し共感する能力が限られている。

  2. 文化的コンテクストの理解: 人間は文化や社会的な文脈を理解し、それに基づいたアイデアを出すのが得意。AIはこのコンテクストの深い理解が難しい。

  3. 倫理的判断の含まれるアイデア生成: 人間は倫理観に基づいてアイデアを生成できるが、AIは倫理的判断が難しい。

  4. ユーモアのあるアイデア: ユーモアは文化や文脈に依存するため、人間にとっては自然でもAIには難しい。

  5. 抽象的かつ直感的な発想: 人間の直感や抽象的な思考から生まれるアイデアはAIには再現が難しい。

  6. 多義的なアイデア生成: 人間は多義的で曖昧な状況から意図的に多様な解釈を生むことが得意。AIは明確な定義を必要とすることが多い。

  7. 個人的な経験に基づくアイデア: 人間は自分の経験や個人的な背景からアイデアを生成できるが、AIは個別の経験を持たない。

  8. 即興性のあるアイデア生成: 人間は即興的に状況に応じたクリエイティブなアイデアを生む能力があるが、AIは事前のデータに依存する。

  9. 非言語的コミュニケーションの理解: 人間は非言語的な手がかりを理解し、それに基づいてアイデアを生成できるが、AIには難しい。

  10. 個別の人間関係に基づくアイデア: 人間は特定の人との関係性を基にしたアイデアを生成できるが、AIは個々の関係性を理解するのが難しい。

AIにはそれができないのか、の厳密な判定は、私の知見量ではできませんが、この2年間のAIとの対話からの感じでは、おおむね賛同です。(ただ、即興性のあるアイデア生成とかは、AIも得意だと思いますが。)

人機共想の時代に、人側の戦略的仕事の基本指針はだいたい、こんな感じになるんじゃないのかな、と思います。アイデアの領域に関しては。

posted by 石井力重 at 23:25 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2024年04月01日

アイデアプラントは16年目を迎えました

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4月1日、創業記念日を迎えました。

仕事をご下命くださる企業さんや、一緒に事業をしてくれるパートナー企業や関係者の皆さんや研究者の皆さんのおかげです。ありがとうございます。

いただいたご縁や機会や知見は、石井を通じて広く社会に創造性支援として還元していきたいと思います。

そのための「器」がアイデアプラントです。

これからも皆で、創造的な可能性を開いてゆきましょう。

posted by 石井力重 at 00:16 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年12月24日

1月7日に、安松健さんと私石井との「対談+α」イベントが開催されます。『AIと人が作る、新しい地平について語ろう』

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「日本創造学会」、創造性を追求する学会として、一般の皆様を歓迎するクリエイティブサロンを、定期的に開催しております。新春の第一弾は、2024年1月7日(日)午後4時からの特別イベントです。登壇者は、安松健さんと私、石井力重です。どちらも新任理事として、学会の発展に貢献しております。

安松さんは「同期の理事」として、KJ法、ユーザ観察、そしてAIに関する知識を持ち、彼とのディスカッションからは多くの示唆を得ています。このたび、彼と共にオンライン対談を通じて、新たな地平を切り拓くための「AIと人が作り出す創造性」について話し合います。ただし、対談だけでなく、参加者の方々からもコメントを募集し、Webnerのステージに上がって議論に参加いただくことも可能です。

イベントのトピックスは以下の4つです。

  • 「AI台頭により、アイデア発想法の教育が必要なのか、教育内容が変わるべきなのか」
  • 「AIが代替えできる作業とできない作業は何か、特に創造性に関する分野で」
  • 「創造学会の知識蓄積(文献)を、生成AIを通じた対話型にどのように活用できるか、皆様の意見をお聞かせください」
  • 「次回の学会大会で提供する新しいアプローチやアイデアについて、皆様からのご意見を募集します」

AIもアイデア発想において一定の役割を果たすようになりつつあり、近年、創造性教育も急速に進化しています。この変化について考え、AIを活用しながら新しい創造性を発揮する社会に向けて、教育内容を見直す必要性があります。このテーマについて、二人の実践者であり研究者でもある私たちが対話形式で議論します。

ぜひ、質問機能を通じてご意見をお寄せください。また、舞台に上がってディスカッションに参加したい方も歓迎します(同時に最大2名までとし、超過時には降りていただくスタイルで運営いたします)。このイベントのイメージは、テレビ番組「徹子の部屋」のような対話の場です。安松さんと私が司会役、皆様がゲストとして、新しいアイデアを共に探求しましょう。

イベントのスケジュールは以下の通りです。

開催日:2024年1月7日(日)
【スケジュール】

開会の挨拶:16:15〜16:20
新春座談会:16:20〜17:45(登壇者:石井力重氏・安松健氏)
ご参加お待ちしております。イベントへの参加申し込み方法は、以下の通りです。

参加申し込み方法:
学会事務局(jcs-infoあっとまーくjapancreativity.jp)にメールでご連絡いただき、以下の情報をお知らせください。

氏名
所属
学会会員 or 非会員
Zoom招待状の送付先メールアドレス

学会はオープンで自由な雰囲気を持っており、研究者、企業関係者、自由な発想を持つ方々、どなたでも歓迎いたします。創造的な知識を広く共有し、社会に貢献することを目指しています。石井力重

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posted by 石井力重 at 17:30 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年12月16日

学会のニューズレターで、先日のパネルディスカッションがレポートされていますのでご紹介

この冬は、本の執筆と、クライアントワークの大型のものに取り組んでいまして、(また、大学の講義もあちこちでして)当人的には精力的に仕事をしているのですが、時間のとれないままに活動報告がおろそかになっていました。

ですので、学会のニューズレターのトップページに、この前のパネルディスカッションがレポートされているのでそれを紹介し、活動報告とします。

日本創造学会ニューズレター2023.png
(クリックすると大きくなります。ならない場合はURLをコピーしてブラウザのURLに入れてみてください。HTTP”S”の対応をしていないブログなので、ちょっとどうにかしなくちゃ、とは思っているんですが、、、紺屋の白袴、感はありますよね。)

今書いている本が上手くいけば来年の春には出るといいなぁと、編集チームで話し合っております(今回は、プロジェクトが大きくて、著者の一人旅としての執筆ではなく、議論しながら書いております)。それが出るという運びになったら、報告します。(とはいえ、没になる可能性もまだ、いくらかはあるので、どうなるかわかりませんが。)
posted by 石井力重 at 22:52 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年10月10日

「人機共想」という未来の基本スタイル

創造性が変わろうとしています。2023年の夏に、北欧の研究者が創造性テストを人間とAIに受けさせました。人間かAIかを明かさずに、人間の評価者が創造性を判定しました。結果、人間の平均値とAIの平均値を比較すると、AIが優れていました。ただし、最高得点は人間が獲得しました。

この結果から、ローレベルからミドルレベルの創造性においては、AIを用いる方が有利であることが示されています。

これからの創造性は、普通レベルであればAIを活用し、人間はその成果を素材にしてクリエイティブな仕事を行う時代になります。


もちろん、人間の資質を育てる従来の方法も重要です。最高レベルの創造性を人間が示したことから、その潜在能力があることは明らかですが、創造性教育を完全に停止すると、その水準に達する人材が生まれなくなるでしょう。

しかし、トップクリエイティブ人材も全てを自力で行うわけではなく、大半の仕事にはAIを積極的に利用し、本当に高い創造性が必要な部分に時間をかけるような働き方が普及するでしょう。


そして、「人」と「AI」の関係は、役割分担というよりも、共に創造するモデルになると石井は見ています。この未来の基本スタイルを石井は「人機共想」(ジンキ キョウソウ)と呼んでいます。

仕事を奪われるか、人間に残るかという議論が各分野で繰り返されますが、過渡期を超えた未来では「人とAIが共に仕事をする」ことが当たり前になっていると私は予想しています。各種の「人機共ナントカ」が普及し、それが当たり前の認識になるでしょう。


この萌芽的な仕事のスタイル「人機共想」が今までなかった単語だけれど、これから当面の間、キーコンセプトとしてよく使うようになるので、この単語について、ここに書き残しておきます。

人機共想:ジンキキョウソウ
「人」と「AI」が共に想像すること。具体的には、人の曖昧な投げかけからAIが具体案を広げたり、AIの大量の生成物の中にヒントを見出して着想を得たりすること。典型的にはブレインストーミング的対話だが、必ずしもテキストや音声の対話には限らない。入出力するものは、絵や動画や音楽など、多様な創造性への刺激物であるものも含む。
将来的には、人がバイタルセンサや脳波計などで非言語反応をAIに提示することも含む。
JinKiKyoSo.png

まあ、わかりませんけれど。多分、そうなるんじゃないかなと、という創造性の研究者からの提案(あるいは定義)でした。

posted by 石井力重 at 10:10 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年09月15日

9月30日、10月1日はオンラインで学会発表します。(日本創造学会)パネル1件、発表2件

創造性の学会である「日本創造学会」の研究発表大会が、今月末に、産能大であります。

大会のあらましは学会ニューズレター7月号にて プログラム詳細は9月号にて

Day1(9月30日)はパネルディスカッションのパネラーとして登壇します。
Day2(10月1日)は2件の研究発表を行います。

1つの学会で3度の登壇は石井としては過去最多です。
どれも全力でやりますのでご興味あればぜひ聴講ご参加ください。
(学会員でなくても参加申し込みと参加費を払えば聴講できます。また、石井はすべてオンライン発表ですので遠隔の方も負担なく聴講できます)

まとまったことを書きにくいので五月雨に書きます。

まずパネルです。

開催時間:9月30日 14:30〜16:20
パネルディスカッションテーマ:『創造性とリスキリング』(探究談義&質疑応答)
パネリスト(1): 産業技術総合研究所 本村陽一氏「ヒト、AI、社会のつながりの観点から」
パネリスト(2): 九州大学大学院 松前あかね氏「共創とソーシャルイノベーションの観点から」
パネリスト(3): アイデアプラント代表 石井力重氏「生成系AIと創造性開発の観点から」
パネリストのプレゼン時間:@20分

こちらはお引き受けする際に少し悩みまして、学会長にこう返信しました。

「面白い企画をありがとうございます。2022年の学会発表でGPT3にいち早く言及されていた先生もいるように思いまして、その先生をさしおいて、石井がしゃしゃり出ていくかのようなこの「僭越ではありますが」感が、あります。。が、まだだれもはっきりしたことを提案しにくい領域なので、それであれば、拙速をモットーとする石井がお引き受けして、今後の発表カテゴリーが1つ増えるように、先鞭付けしたいなぁと思います。ということで、力不足ですが、全力で取り組みます。」

と。
誰もはっきり言えない。そういう時には拙速をモットーに、ファーストペンギンになってみよう、と。
なのでパネルディスカッションでは、大恥かいているかもしれませんが、お話しする限りとにかくいいものにしたい。そう思って準備しています。

学会発表2件は「直観力」と「生成AIにアイデアワークをさせるカードセット」です。
まったく異なる2つですが、通底する1つの視点があります。
どっちかだけでは足りなくて、車の両輪のように、2つがいる。
この1年の間に表れた萌芽的なトレンド「生成AI」は多分、社会に浸透し、活用したら元の世界には戻らない不可逆な出来事です。その大きな流れの中でかじを切って進んでいくには、この両輪がいるだろう、という観点から、今年は頑張って2件お話しします。できることなら2つとも聞いていただけましたらば幸いです。

(簡単に言えば、AIが創造ワークも肩代わりする、ミドルレベルまでは。そうなると人がする創造の仕事は『科学ではまだよくわかっていない部分』をもっと突き進まねばならなくなります。その一つが直観力です。世界的企業から直観力の研究の相談が来ていたりして、ビジネスパーソンの「勘」のような、今まで軽視され排除されていたファクタが、今後の大きな能力になる、そんな気配を創造性研究と企業支援の仕事をしていて感じます。
一方でAIは、道具に過ぎないのですが、使い方次第で成果の出方がここまで大きい道具もなかなかないです。繰り返しAIへの指示をする中で、効果の高い「発想法由来のAIへの指示文」を見出し44枚のカードにしました。便利なだけでなく、発想力の使い方を知っていく、そんなカードです。皆さんに共有するべく学会の要綱に全カードを掲載します。これらをうまく使うこなすことで、効率的にアイデアワークを推進し、空いた時間で直観力を伸ばしていくための取り組みもできるだろう。石井はそう考えています。)

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posted by 石井力重 at 09:00 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年09月08日

実に嬉しくない初体験。コロナにかかりました。

長い旅仕事に出ています。8月20日に仙台を出て、「埼玉」「千葉」「奈良」とめぐってきました。次の滞在地は「東京」のはずだったのですが、コロナになってしまい、一人で過ごすことが推奨される期間(5日間)を過ごすために奈良にとどまっています。もともと奈良滞在は11泊の予定でしたが結局13泊になりました。

奈良女の最終講義(9〜18時)×3、八尾のワークショップ(10〜17時)×2が連続していて、ここで過去最長の一週間講義量に達します。(41時間講義/1週間)
この消耗度から一つ気づきます。一週間に講義する時間の総量は35〜36時間に抑えるべきだと。というのも、全力講義をするので、その辺を超えたあたりから疲労度がすごくなって講義中に言い間違えて言い直すことが増えました。肉体は大丈夫でも脳の疲労は限界に近いなと実感しました。一層集中して言葉を発するので疲労度は加速度的に上がります。

そのうえ、この時は、中3日挟んで前に早稲田の集中講義4日間があり、ギリギリの体力でした。

そして、この時期には学会発表論文提出締め切りがあります。今年は例年になく2本を出す、という意欲的なことをしていたため、講義でくたくたくになりホテルに戻ると、夜もひたすら論文作成、という激務の時期でした。

自分のマネジメントの悪さ、見通しの甘さが招いたことですが、やりたい仕事は全部やる、という50歳の指針に従ってこうしました。

しかし、重大な問題が起こります。
八尾を終え、翌日の日曜日、ようやくホテルで一日に過ごせる時間があり、学会論文を完成させ2本とも提出。すると、その前の夜に妙に体がだるい気がしたのですが、のどにも違和感が。
これは初期対応が大事だと思い、月曜日に奈良の滞在ホテルの近くの耳鼻咽喉科医院へ。名医とレビューが多いし待つのもやむなし、と思い行き、症状がとても軽いので、ということで漢方薬3日分をもらいます。

しかし、月曜日夜に高熱が出ます。火曜日は部屋にこもります。そして高熱が38.7度に達します。頭はいたみ、体はしんどく、のどは水飲んで激痛で、さすがにおかしいなということで、その医院に電話相談します。すると、コロナの可能性があり診れないとのことで、発熱外来を紹介してもらい、行きました。初めからコロナ以外の病気である前提で処方していたわけで、この初動を誤ったのは痛いミスでした。(しかし、患者側にその部分、難しいです。)

そして発熱外来までマスクして公共機関に乗らず人に接しないようにたどり着きます。
検査結果は、コロナ陽性、インフル陰性、ということでコロナ確定に。
そこまでも極力ホテルの部屋から出ないようにしていましたが、ここからは徹底します。

もらったガイドの紙によると発症から5日間は人に接さないようにし、移すリスクの減るそれ以降の10日まではマスクをし人としゃべる時は距離を置く、とのこと。

次の案件の東京のクライアントに状況を説明し、延期。東京の宿もコロナの事情を鑑みて無料でキャンセルをしてくれました。
そして今いるホテルにも発熱して引きこもっていることは伝えてあり、コロナ陽性になったことも報告。
このまま延泊が可能かを相談し、予約サイトから予約を手配。
指導に基づくなら、本当は今日(9月8日、発症から6日目)でも、移動をすること自体はできたと思いますが、道中でうつしてしまう可能性を極力下げるために、明日までの部屋での療養を続けることにしました。

経過としては解熱剤を飲まずいられるようになるのが5日目の朝。それまではほとんど思考力を失っていて、なにもできず昏々と眠っていました。
夜には、喉の激痛は半分になりました。食欲が出てきます。

六日目に入ると、のどの痛みが我慢可能なレベルに収まり、頭は普段通りに回ります。

以上がコロナになり、2〜3日の発熱、そして収束、という過程でした。

何事も体験しておきたいたちで、日々初体験を心がけています。
しかし、疫病にかかることは、実に嬉しくない初体験。二度度かかりたくないなあ、と思いました。

なお、熱のさなかに当時の自分が書いた日記(FBの投稿)がありまして、原文ママを引用します。

とにかく、お客さんにうちさないで済む状態になれてよかった。
黙って講義しちゃえばその日はやり過ごせるけど、出席したうちの何割かが翌日から同じぐらい発熱するようなことになったら、組織的に壊滅状態だ。そんなことにさせない。顧客への愛があるから全力なのであって、全力の押し売りをしているようになったら、間違ってる。
(それにきっと、石井が感染源だと分かれば恨まれる。二度と呼ばれない。疫病社会で付き合う相手に信頼してもらうには、かかっている可能性がある時に合わないといえることだ。)

そうなんです。
コロナの回復タイミング的に次のクライアントに行けば行けてしまえて、症状もないことから気づかれないでしょうけど、顧客を愛するならそんなことはできないわけで。

そして疫病社会において、持ち込まない配慮をしてくれることって、信頼の大きな要素だと私は思うんです。
「ええ、ちょっと風邪気味ですけど、大丈夫、行けますんで。な〜に心配には及びません」みたいな、昭和の会話。昔は、頑張ってる人でしたけど、今の社会じゃ、勘違いしている迷惑な人、です。

もしかしたら、延期することで案件がなくなる(中止になる)こともあるかもしれません。
でも、信頼までは失わない。
”この人は、うちにリスクのあることはきちんと提示してくれる人だ”、と思ってもらえること。
それって大事な要素です。

そんなわけで、長い3週間の旅仕事は、後半にとっておいた「旅先での休暇」の日程すべてをホテル療養で食いつぶし、最後の案件のクライアントには、リスケで迷惑をかける、という締めくくりになりました。
頭ではわかっていましたが、コロナになると、スケジュールはめちゃくちゃです。

5類に移行してなんだか軽い病気に変わった気がして、油断していたと思います。
コロナ禍の出張では人の多い場所は極力避ける、なるべく換気をする、なるべく黙食、といった行動をしていました。
その3年間で一度もコロナにかからずに旅仕事をしていました。
運もあるでしょうけれど、今回の自分を振り返り、換気方法や人の多い飲食店への入店など、原因を推定するにいくつかのことが思い浮かびます。

かかるたびに、各地の顧客に同じ迷惑をかけることになります。
アイデアプラントの行動規範をここで、一段階厳しくしなくては、いけないな、と思っています。

いつコロナが終わるのか、その見通しは全くわからない状況ですが、衛生管理・健康管理はプロとして徹底しなくてはいけないことの1つであると考え、行動していきたいと思います。

ひたすら、ホテルで過ごすので、天気のいい空を一日眺めていました。その時のタイムラプスです。
JR奈良駅に隣接するホテル日航奈良の9階の自室から撮影。



追記:(嗅覚のない食事編)

嗅覚が鈍いレベルではなく嗅覚が完全にゼロになっています。
鼻は詰まっていないし、風呂場で鼻うがいしたあとでも、ボディーソープなどのニオイを一切感じません。

味覚は全く影響なく味がします。

さて食べ物は舌と鼻の両方で味と風味を感じているわけですが、あらゆる食物ものが風味ゼロになると、味はこうなるのか、と驚いています。これはなかなか新鮮な体験で、愉快。

コップについだ、冷えたりんごジュース→
口に含むと優しい甘さで香りがないので、甘露な清水でも飲んでいる爽快さ、しかし砂糖水とは違い、コクがある。風味があるときはりんごジュースにコクを感じることなんてなかったけどりんごジュースの香りを抜けば、コクと甘みの調和した液体。
うまくて一気に2杯も飲んじゃう。

味噌汁→
塩っけ、とろりとした舌触り、豊かなコク。コクばっかりじゃ語彙が乏しい気もしますが、他に言いようがない。コクは多分旨味成分が香りを伴わずにたちあられたもの。ただしょっぱいお湯だったらとてもじゃないけど飲めない濃い塩味があるが、コクと塩気のバランスでかなりうまい。

野菜サラダドレッシングなし→
野菜の青臭さが一切ない。ドレッシングがないとサラダが食べにくいのは青臭さがあるからであって、今ならなくても行けるのでは?と思い食べる。いける。なんといえばいいのか。シャキシャキポリポリと面白い食感を楽しめる。味がないから飽きるかと思ったけど意外と楽しい。青臭さが苦手だったプチトマトも甘いフルーツに感じて美味しく。

梅干し→
酸っぱい。梅の風味はないので、スッぺぇ、という感じではなく、あ、数回噛むと酸っぱいね、という感じる。

わさび→
辛い味がする。和がらしより辛味が多い。チューブから一センチ出して、パクンと食べる。あ、辛。でも食えちゃう。ごくんと飲み込むと喉がヒリヒリとして、辛いなと。わさびが鼻にツーンとくる、あの感じはまるで無い。わさびには辛い以外の味がある、ということも発見。普段は強烈な刺激に隠れて味など感じなかったが、苦いと塩気のニュアンスがある。実に面白い。

卵焼き→
味ゼロ。美味しい風味で食べているものは、香りがないと食感だけの物体に成り下る。宇宙時代、形状だけ真似したレーションを食べている人類はきっとこんな感想を持つかのも。栄養のために食べるが食べて美味しかったりまずかったりしない。正確には、コクの薄い感じはある。

スクランブルエッグ→
同じく味が乏しい。

目玉焼き→
同じく味が乏しい。黄身のロトっとした触感は楽しいけれど、そこにコクを感じるようなこともない。

卵料理は極めて「香り」の食べ物なんだ、と気づきます。味だけでいえば、ほとんど何もない食べ物なんだ。

野菜の中華うま煮→
塩味と炒めた油の味とコクのすごく強いものを感じた。多分味が強すぎる。食感は楽しい。

フルーツ→
仄かな甘さの桃、強い甘みの梨。甘みと薄いナンラカの味はする。なんと言えばいい。歯ごたえも味の一瞬であろうなと感じる。

濃いめの緑茶→
茶の香り一切なし。しかし、とろりとて、丸い苦みがある。その丸い苦みが舌の先端の方へ来るに連れ甘みと旨味のニュアンスをもつ。出がらしのお茶とは、違う。やさしくバランス良いニガアマウマの味わいがあり、うまい。口の中が香りはないのに爽やかになる。

白米→
米の旨味はかなり弱くなる。香りに依拠している部分が多い食材なのだ。米を噛むと、次第にもちもちとしていくことに気づく。普段は噛むほどに味がするので食感の変化に鈍かったが、米というのは、結構緩めのモチにしてそれを飲み込んでいるんだ。そりゃ日本人はモチが好きなわけだ。モチを噛み切らず飲んでつまらせる事故がよく起こるが、ご飯の嚥下に似ているからかも。

ハンバーグ→
肉の食感、塩気、玉ねぎの食感、油に溶けた豊かなコク、デミグラスソースの甘い酸っぱい味。和風ハンバーグのポン酢だけをスプーン一杯すくって飲む。軽い酸味と甘み、それと奥の方に旨味のニュアンスがある。かけて食べる。油に溶けているコクと酸味が混ざってさっぱりとしてコクがある。匂いがないが、脳が共感覚としてハンバーグの香りを幻視ならぬ幻嗅をもたらし、風味を脳が再構成する、実に奇妙。次。米と一緒に肉を食う。さっきまで旨味がギュッと狭かったのに今は旨味の表面積が広がる。そうとしか言いようがない。油の中のコクが米と混ざり合い、ツルツルとした油の膜をはった米の食感は気持ちいい。味をもたらす成分の有効面積が明らかに広がっている。肉と米が最高なのは、米には肉の旨味を広げる役目があるからではないだろうかと思う。

焼きそば→
やさしい味付けに感じる、甘みと塩気と少しのコクのバランスで、美味しい。幼児用の薄味食事ってこういう感じかなと何となく思う。香りがあったら、療養中だとちょっとくどくて疲れるかも。香りというエンターテインメント成分は情報量が多い。意外とそれは、認知資源的に疲れるのだろう。

風景を白黒にすると負担が少ないそうです。食べ物の香りを抜く感じといのはちょうどそれに似ています。
「写真」には「色」と「形」が映ります。食事の「香り」と「味」はちょうどそれに似ている。そんな風に何度も感じます。
言語化してみるとこうです。
白黒写真でもはっきりわかるような物事もある。味だけでもはっきりわかる料理がある。
パステル画のようなものは白黒写真ではかなりきつい。香りで豊かな味わいを出している料理は鼻が利かないと味がしない。
一度見た風景は白黒写真でも記憶が色を補っていくけど、見たことないものの白黒写真は再現できない。
多分、一度も食べたことのない料理を今食べると「本当はどういう味なのか分からないまま」で食べるんでしょう。

一生このままだとちょっと不便だけど、香りの一切ない体験は、新鮮な体験としてはかなり上位で、面白いです。

((なお、もしや鼻うがいで、下手にやるとツーンとするあれも、嗅覚かな?疑問に思い、思い切り鼻の奥までシャワーを吸い込んでみました。絶対ツーンとなるほど奥まで水を吸い込み、ぶぷーと出してみる。。。痛くない。あ、、、でも、どこかに鈍い痛みは感じました))
posted by 石井力重 at 15:46 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年08月20日

7〜8月の感性の仕入れ(S660、水上バイク、ジェットパック、フライステーション)

仕事柄、広い発想、面白いアイデアが浮かんでくるよう、日ごろから感性に新鮮な風が入ってくるような体験を心がけています。それを私は「感性の仕入れ」と呼んでいます。

この夏の完成の仕入れは、陸海空、いろんなことができました。
4つの体験を1画面の中で再生する動画にまとめてみました。


陸・・・S660(ホンダの軽自動車スポーツカー)。軽自動車とは思えないハイパワーが重量の軽い車に乗っているのでとにかく面白いです。峠のカーブで面白いようにスパッと曲がりコーナーの出口でスワワと加速。私の体格だとどうしても後部の出っ張りに頭が当たります。どうシートポジションを工夫しても当たりました。なのであまり段差を勢いよくで超えると頭頂部をぶたれるような痛みがあり、気絶したらまずいなという別の意味でもドキドキするドライブでした。S660は乗るではなく着る、とよく書かれていますがまさに。自分より一回り大きいマシンを着るような、そんなわくわくする乗り物でした。なおほとんどインパネに余計なものがなくナビもないのですが代わりに重心点を示すディスプレイがあり、前後左右の加重が常時わかります。0.5Gを超えるとピピっと警告音が鳴るので安全支援装置の位置づけかと。実際は競技自動車をする人はこれがあると、コーナー入り口できちんと前荷重にして、とか、カーブであまり荷重がアウト側になっているとグリップがやばいかも、という判断ができます。

海・・・水上バイク。15年前ぐらいに旧4級船舶をとり、長らく失効していましたが、再取得講習を受け、水上バイクの講習設けて、レンタル&ガイドさん付きプランで、宜野湾から恩納村まで1時間ぐらい走行してきました。ガイドさんの行く後をついていくのですが、結構必死です。べたなぎの時はスピードを出しても操縦の難しさは感じません。ですがわずかな小波でも出てくると、バキン、バンッ、ドン、と船底に固いものがぶつかります。何か浮遊物かと思うぐらい、高速走行時の波って固いんです。腕が疲れますし、神経を使います。また基本は波に平行に走らないようにするのですが、常に垂直に走ることもできないので、波に平行気味に超えていくと船体がぐらんと傾きます。高速走行しているだけにバランスを崩すと振り落とされそうなので、楽しいのと同じぐらい緊張した体験でした。右のレバー操作がアクセルでわずかな角度でゼロからフルスロットルになるこの操作系は、人間工学的にちょっと未成熟なままにされていないかなと思うのでした。そういう気づきは、どこかでの製品開発の際のアイデアになりそうです。

空(1)・・・ジェットパック。背負った装置からすごい量の水が噴き出します。その向きを二本のレバーで操作し、方向をコントロールします。なれてくるとそらを意のままに飛ぶ感じが気持ちいいです。動力は水上バイクの排水であり、太いパイプ経由で水上バイクから送られてきます。なので、水圧のコントロールはインストラクター任せで前後左右の移動が自力でできる感じです。操作はかなりピーキーでハンドルをグイっと動かすとくるくると回転したり思わぬ挙動をしたり。ほとんど動かさずちょんちょんとずらす程度がいい操作のコツのようです。なおきりもみしながら水面にたたきつけられたときは相当に痛かったです。ぼーっとするような、多分軽い脳震盪が起こっていたかもしれません。空を飛ぶ乗り物が今後普及するうえで、何が大事かその鱗片を少し見たような気がします。

空(2)・・・フライステーション。最大250q/hの風が吹き上げる風洞の中でスカイダイビングをする施設です。日本では越谷レークタウンにあります。大気中でスカイダイビングで落下する人は約200q/hで平衡状態に達するそうで、その状態を作り出して飛びます。インストラクターがついてけがの無い様にまめに姿勢を治してくれるので安心して体験できます。体感的には(当然ですが)落下している感じはなく、ものすごい風圧の中でふわふわ浮かんでいる、という奇妙な体験をします。手足そして体をピンと伸ばし、顔は壁面を向くように上げ、足は膝をわずかに(15度ぐらい)まげ、手は大きな丸を作るあの感じを頭1つ分ぐらい開けます。これがもっとも空気抵抗が大きくなり浮く姿勢だそうです。実はこれだけは3度目の体験でかなりうまくなっていました。なお同じターンに体験したレスリング選手の方は身体の使い方がうまくかなり初回からよく飛んでいました。彼曰くしばらく息ができなかったとのこと。以前体験があった石井としては息苦しさは感じませんでした。なお着地は体を畳めば抵抗がなくなるのですとんと。今後空飛ぶが普及するときに、着地が最も重要なキーテクノロジーになるんだろうなぁ、とジェットパックの体験とともに感じていました。


こうした体験を良いインプットにして、各所各社さんのアイデアワークをより実りあるものにしたいと思います。
posted by 石井力重 at 16:44 | アイデアプラント 6th(2021-2023)



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