アイデアプラント 代表として、早稲田大学・奈良女子大学 非常勤講師として、そして、創造性の学会の理事として、2022年の一年間、何をしていくべきか。元旦の全国紙全紙を読み込み、4日間熟考しました。
私が何らかの貢献ができそうな社会の潮流に、以下のものがあります。
項目ごとに「抱負=石井の貢献できること」を付します。
(1)リスキリング(Reskilling:学び直し、職業能力の再習得)
今、産業界で「人的投資」の重要性が高まっています。
「DXへの対応」「デジタル人財」「2030年の労働者不足」といった課題があります。
また、技術の進歩に伴う中高年の「技術的失業」という懸念も、言及されています。
リスキリング(学び直し)は、かつての休職しての大学院進学とは違い、働きながら学ぶこと、を意味しています。従来的な研修受講の方法以外に、各自に予算を与えて週休3日などの労働形態にしたうえで、新しい技能の習得を促す企業なども出てきました。
石井の貢献できること(1) |
アイデア創出スキルを必要とする人材への、リスキリングは、貢献できそうです。10年以上の各社での創造研修の実践、大学での集中講義、創造性の学会での創造性研究を提供できます。個別ニーズに対応して、今年も企業内の創造研修を提供してゆきます。 また、定期的な創造研修の開催も計画してゆきます。 |
(2)オフィスの役割の変化
都心のオフィス空室率がこの二年間で2%→6%まで高まりました。コロナ以降もリモートワークを継続することを決めた企業もあります。一方、集団の創造性を生かすにはリモートワークは限界があります。高密度な従来のオフィスデスク配置をやめ、新しいオフィスの役割を付与して活用する例が出てきました。自宅では資料作成に集中し、オフィスでは、コミュニケーションとコラボレーション(交流を増やし、自由な意見交換から発想を生む)を行います。リアル空間の価値を最大化する取り組みが広がります。
石井の貢献できること(2) |
出社の日に、効果的なアイデア創出ができるようになることを支援します。具体的には「新しいアイデア会議の方法」や「アイデアブレストを促進する発想支援ツール(カードなど)」を世の中に提供します。(研修ビデオの形や、カード教材など) |
(3)経済の主役がモノから知(アイデアやノウハウ)に移る
従来から言われてきたことですが、コロナ禍は、この流れを加速させました。デジタル産業はアイデアを生む少数に利益が集中しがちです。そして多くの製造業の収益のあげ方も、デジタル型産業に近づいています。
日本の低成長の原因は支配的なヒエラルキーにあります。発想が新鮮な社歴の短い人(若い人、転職者)が活躍できず、 新しいアイデアが採用されず生産性も上がりません。(低成長の外的要因としては、政府による規制の多さ、変化対応速度の遅さもあります。)
石井の貢献できること(3) |
この原因を打破することは、石井の領分では難しいのですが、ヒエラルキーの壁となっている世代に対しても、アイデアの柔軟な扱い方を、知見として提供することはできそうです。 しかし、問題が大きく硬いものであり、石井の貢献は限定的にはなるでしょう。多くの組織がこの点を変えていく際の多数のうち手の一つになれれば、と思います。 |
(4)情熱と心理的安全性と未来思考
社員が、仕事に情熱を持てない状況では、革新的なことを生みだすことはできず、企業の成長は望めません。
お金で買えない価値を従業員に与える取り組みが様々に行われています。社内の挑戦への評価項目増設や副業解禁による良い副作用を起こす企業もあります。
イノベーションには心理的安全性が重要です。これは一言で言えば、自由にものが言えること。補足すると、批判されないことではなく、健全な衝突が起こり、建設的に前に進んでいける状態です。
コロナ禍の不透明な世界の中で役立つ構想手法が求められています。「あるべき未来像から、今の私たちが踏み出すべき企画を構想する」思考法として、バックキャストとフューチャーデザインという方法があります。基礎教養となっていくでしょう。
石井の貢献できること(4) |
アイデアいっぱいの人は行き詰らない。創造的思考は情熱やモチベーションとも相互に関係しあう。そういった点から、創造性支援を通じて、この点に貢献できそうです。未来思考をベースにしたアイデア発想法もあり、その提供でも貢献できそうです。 心理的安全性は、昨年専門家との対談の機会を得て、「ブレインストーミングは2.0へ、つまり、批判禁止(判断遅延)のルールは、「建設的批判はOK(非難は禁止)」とバージョンアップするべきだと感じました。実際にその2.0版でおこなったブレスト実験では、定量的に効果が見えました。 今年はこの点を整備して、各所での講義講演で、提供してゆきます。 |
以上です。
石井の知見を生かし、社会を豊かにしたいと思います。今年も全力で仕事します。
皆様どうぞ、今年もよろしくお願いします。
(今年も、リアル研修、オンライン研修、の両方に対応して、実施します。上記のことでニーズがあれば、石井までお気軽にご相談ください。)
<<余談>>
今年は、各経済人の見通しでは、コロナの中でも経済回復をするようです。
半導体不足による製造業停滞も解消されるめどが立ちます。消費も伸びます。
しかし、世界的にインフレ抑制の動きもあり、22年の後半には経済の勢いが落ちていくようです。
長期的には、経口治療薬の登場で、コロナ事態へのリスクや行動制限は大幅に緩和される見通しです。
コロナを、インフルの一つとして、行動制限の対象にしなくてもよくなると、多くのモノゴトは以前と同じようになるでしょう。一方で、長らく無駄だった習慣や非効率だった仕組みが、強制停止され、リセットされて、再開される中で、分化する流れができるでしょう。
「そのまま戻す」「効率的にする」「効率化で何かを失ってしまって少しずつ以前に戻す」
この3つが出現していくでしょう。
特に、産業的には「飲食店」「居酒屋」などが、大きく変わった新業態の登場がありそうで、注目しています。
SDGsで言う「ディーセントワーク(働き甲斐のある人間らしい仕事)」も、リモートワークの可能な職種や、Z世代が中心となって、人材流出・好条件の企業への人材流入が顕著になりそうです。
そして脱炭素。これは、市民感覚で見ているよりもずっとつよく産業界を変え、結果として我々の暮らしに大きく影響をあたえるでしょう。その最たるものが、乗り物のEV化です。去年、超小型EV実証実験をする各地へ出向き、体験してみました。
ルノー(Twizy)、トヨタ(C+Pod)(COMS)、タジマ(ジャイアン)、Fomm(Fomm One)、EV-LAND(EV TUKUTUKU)。各地の電動キックボード。(従来車種も乗りました。プリウスPHV、新型ノートe-Power)。
いくつかは実用の範疇に入っていますが、この製品領域の課題も見えてきました。ただ、現在の社会であれば、これが足りない部分を埋めるキーパーツになるだろうという感触がありました。
それと同時に、数年でこの領域は進化が著しく起こるでしょう。まだ、未成熟なものもあれば、日常使いが可能なレベルに達しているものもあり、数年後にはこの辺の産業は、急伸するものとなっているでしょう。