2012年12月29日

新生児の選好。そこから想起する、原始的な認知に依拠したデザインルール

幼児の心理学に面白い、古い研究があります。今日も一つ学びましたが、なかなか、大人のスキルにもヒントとなる示唆が多く、反芻していました。

まず、ファンツらの研究で、調べられた『新生児の選好』について。

学んだこと:

簡単に言うと、新生児は、目にするものに対して『パターン/コントラス/大きい/多い/曲線』の要素が、あるものの方が、ないものよりも、好んでみる、というものです。

講義で示された内容を書き出してみます。

パターンがあるもの、を好む
均一より、同じ模様の繰り返し、を好む。
同じ形の2個配置でも、無地との比較でなら、2個配置を、好む

コントラストが強いものを、を好む
同じパターンや模様なら、より濃淡のはっきりしたものを好む。
いろんなコントラストのものを混ぜて配したものより、全部同じ濃度でも濃くはっきりコントラストのものを、好む。

大きいもの、を好む
パターンの要素のサイズが小さいものより大きいものを、好む。
要素が大きくて少ないものと、要素が小さくて多数のものでは、大きい方を好む。

数が多いもの、を好む
要素のサイズや形状がおなじなら、その要素の数が多いほうを好む。
形についても、形状の特徴(でっぱりや角)が多いほうを好む。

曲線で構成されているもの、を好む
同じようなでデザインなら、角が円いものを好む。
要素は、四角より、丸を好む。
線は直線より、曲線を好む。

(Fantz&Yeh 1979、に対し、石井にて説明を加筆しています。より正確な表現は原典をご覧ください。)

新生児が月齢8か月ぐらいまで、視力が発達していく中では、大人とは異なる特徴的な見え方をしているそうです。それは単に瞳のレンズの性能だけによっているのではなく、それらを処理する視神経系側の性能もぼんやりとものを見るようになっていることに起因しているそうです。

このことの解釈として述べられることを、私の理解を通じて表現します。正確性に欠けるのと理解のフィルターを通してしまっていることをあらかじめ含みおきください。

まず、視力が低いことですが、これは学習においてよい効果として機能していいます。

見えるものをぼんやりと大雑把に見、人間の顔などの視認において細かな情報、たとえば、ホクロや皴など、は入力段階で捨像(しゃぞう)してしましまい、顔における特徴的な要素と配置だけをみて、それらの情報パターンを獲得していきます。獲得が進む一方で、視力が徐々に育ち細かいものを見ることができるようになり、より具体的な細かい情報を理解するようになります。

講義において、一つ興味深い調査がしめされていました。

それは高機能自閉症児の弟妹※の生後数か月の時点での視力を測定したものです。それによると、新生児期に高い視力を持つケースが多かったそうです。生後数か月で高い視力を持つことで、初期に形成されるべき、顔の大雑把な特徴パターンを形成できず、いきなり子細な情報を入れていくことが、その後の表情や意図の読み取りに対しての影響している可能性が考えられる、そうです。

(※当人ではなく、弟妹であることについて:生後数か月のデータが欲しいとなると、自閉症児の判断ができないがゆえにその後に生まれた兄弟の測定をする形にしてようです。ですが、講義では補足コメントもありました。調査対象者となったその子たちのその後の発達は必ずしも先に生まれた子と同じではないそうです。自閉症の症状のある子も、ない子も、折られたそうです。この結果は慎重にとらえるべきかもしれません。専門領域ではないので、ここには私の解釈のフィルターが多分に入っていることを、繰り返しますが、ご容赦ください。)




想起したこと:

ここまで学んで、学びながら、ぽこぽこっと、3つのことを関連して想起しました。

  • ノンデザイナーズ・デザインブック、4つの基本原則
  • アンパンマンの世界
  • 認知のメガネ



一つ一つ行きましょう。ちょっと、長いです。

まず一つ目は、『ノンデザイナーズ・デザインブック』です。
私が所有している本は最新版ではなくsecond editionです。その版の中、13ページ目にこういう記述があります。引用します。




4つの基本原則


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


上手にデザインされたどの作品にもみることができる基本原則の概要を次に示します。それぞれの原則を個別に説明しますが、実際には互いに関連していることを覚えておいて下さい。どれか一つの原則しか使わないのは、ごくまれなことです。


コントラスト


コントラストの背景にある考え方は、ページ上の要素同士が単に「類似」するのを避けるということです。もし要素(書体、色、サイズ、線の太さ、形、空きなど)が「同一」ではないなら、はっきり違わせるということです。コントラストは、ページ上で最も重要な視覚的な吸引力になることがしばしばあります。つまり、読者をまず読む気にさせる役割をするのです。


反復


色、形、質感、位置関係、線の太さ、書体、サイズ、画像などの視覚的要素を、作品全体を通して繰り返すことです。これは、織化を促進し、一体化を強化します。


整列


ページ上では全てが意図的に配置されていなければなりません。あらゆる要素が、他の要素との視覚的な関連をもつ必要がありま。これにより、明快、洗練、新鮮、という印象が生まれます。


近接


互いに関連する項目は、近づけてグループ化しなければなりません。いくつかの項目が互いに近接しているとき、それらはバラバラな要素してではなく、一つの視覚的ユニットとして認識されます。近接は、情報組織化し、混乱を減らし、読者に明快な構成を提示するのに役立ちます。


出典ノンデザイナーズデザインブック』P13





この4つと、先に述べた『パターン/コントラス/大きい/多い/曲線』では、共通する要素がかなりあります。相互に関連付けられないのは、近接、と、曲線、ぐらいで、後は何らかの対応関係を形成できます。

デザインについて私は専門外ですので深いことは言えませんが、人間が原始的な状態で好むようなデザイン要素は、大人たちにとっても、素敵なデザインと映るものであるのかもしれません。同種の事は、発想やアイデアの中でも言えます。子供が好きなものを選ぶと、ヒットしやすい、という考え方です。

正確には全く議論できないのですが、ここから一歩踏み込んで仮説的に言うならば、デザインの基本原則に+1して、5つの要素「コントラスト・反復・整列・近接・ラウンド」にしたら効果的かもしれない、と考えていました。

ラウンド
図形要素のうち、可能なものは、かどまるや円型を使う。直線を曲線にする。有機的な形にする。

あくまでも、未成熟な思いつきの仮説です。ただ、それもある種の人には一定の価値があるかもしれない、とおもい、記しておきます。





二つ目は『アンパンマンの世界』です。

視力の弱い新生児に見える世界はぼやけていると同時に、非常に近接した状態の顔が見えていると考えられます。昔流行った犬の鼻先から犬の顔を撮影する頭と瞳の大きい写真が、そのイメージとして近いです。赤ちゃんが見えている母親は、顔、特に目のあたりを大きく認識し、上半身から足へと遠くなるので胴体や足は小さく認識すると思われます。アンパンマンの世界はそういう新生児の見る原風景に近い「顔の造形」「身体バランス」をしている事に気が付きました。更に、『パターン/コントラス/大きい/多い/曲線』の視点で見れば、子どもの人気を二分する、アンパンマンとバイキンマンはともに、それらの条件を高度に満たしています。ショクパンマンはやや直線が多く、カレーパンマンはきつね色の顔色で、瞳と口のコントラストが弱い、という点で訴求に劣るのかもしれません。5つの要素をもっとも満たすはっきりした造詣のヒーローを考案するならば「レンコンマン」みたいなキャラクターがいいのかもしれません。食材の人気度的に一回限りキャラになりそうという欠点はありますが。




三つ目「認知のメガネ」とでも言うべきもの、について。

これらの示唆から「認知の特性を利用した面白いアイテム」を作れないだろうか、という漠とした願いです。具体的には、、、そうですね、、、もうちょっと考えてみます。でも、きっと、何か、原始的状態の人間が持っている認知の特性を利用した「学習をよりよい体験にする道具」とでも言うべきものが、アイデアとして可能性を感じるのです。メガネ、というのは、アナロジー的な表現で、視力を意図したとおりの度数に変えてやることができる道具、という意味を込めて使っています。なにもグラス型の物体でなくてもいいのですけれども。






以上です。

余談と、+α:

今日は年末年始で、開発専念期間ということもあり、いつもよりしっかり書き出してみました。普段、人の話をうかがっている時、あるいは、講義を聴いている時、私の思考の中では、隣接概念が想起されていて、いくつも着想を書き出したいことがあるのですが、普段は、次々と進んでいく用事に流されて思考の断片は記憶の底へと沈んでいくのを感じます。時には、こうしてブログの1つの文章を書くことに3時間ぐらいを費やしてみる、というのも、いいですね。(長々書いたわりにつまらないですね、というツッコミはあり得るでしょうけれど。)
 
追記: もう少し、Facebookには別のメモも書いたのですが、それを編集し表現するのは既に書き出したこととの関係でおさまりが悪いので、リンクだけつけて今のところは筆をおきたいと思います。 メモ https://www.facebook.com/ishiirikie/posts/588312207852677

2012年12月25日

『アイデア創出ワーク・プロセス』(2012年ファイナル版)


創造工学を研究していた大学院時代からの資料である「創造する思考を行く人のための地図」、公開します。

アイデア創出ワーク_プロセス_By_IDEAPLANT_2012Final.jpg


アイデア創出の営みというのは、千差万別、さまざまなものがあります。
古い時代の文献の、いろんな領域にも、さまざまなスタイルのものが記されています。発想法、という言葉がなかった時代のものでも、いかにして着想を得るか、というファインダーで文献を読み込んでいくと、古くはギリシア時代、偉人の書かれたものの中にもそうした思考要素は見つかります。

もっとも、それは当然なことで、もともと人間には(発想法などを使わずとも)、困れば自然とアイデアを出し、作り、試し、乗り越えていく、そういうことをしてきました。そうしたことの積み上げの上に今日の発展した生活あります。

大学院時代に、私は創造工学を専門にしていました。より正確に言うと、二度目の博士後期課程を、R&Dマネジメント、の先生に師事しゼミで研究を進めていました。

創造というのはとても未踏の闇が今なお深い領域です。

文献のすべてを統合すると、創造的思考のプロセスモデル図は、カオティックな(混沌とした)、分岐と循環と曖昧なリンク(ジャンプに近い)だらけの、複雑で理解や活用がしにくいものが出来上がります。

そうした中でも、現代の社会において、特になされている創造的思考の技術において、重視されているものにウエイトを置いて、プロセス図にまとめていくという試みを大学院を終えた後も続けています。

それを、冒頭の画像で公開しました。
スライドシェアを使って、それに前後にスライドを付けたものを、ここにおいておきます。



6枚目は、そのこのプロセスのモデルの詳細技法やコメントを付けたものです。(冒頭の画像は5枚目です。)

前半4枚は、中心的な活動から徐々に理解できるように、紙芝居にしたものです。

創造工学を研究していた大学院時代からの研究である「創造する思考を行く人のための地図」、その今年最終版として、ここにおいておきます。


追記)

先日、横浜で、「創造工学の絵本」を配りました。(この前のエントリーにPDFで於いてあります。)
そこの最終ページをご覧いただくお気づきになったかかもしれません、”モデルは変更可能”、と書いてあります。その絵本では端折っているさまざまなやり方はほぼこの地図に候補が載っています。なんか変えたいなという時に使える部分があれば参考にしてもらえたら幸甚です。
 

2012年12月09日

FactとIdeaの螺旋

Fact(情報を知ること)と、Idea(アイデアを想起すること)は、螺旋のように、行ったり来たりをしながら進みます。

アイデアだけたくさん出して必要な情報を一気に調べる、というスタイルや、情報だけ一気に提供して、アイデアをひたすら出す、というスタイルがダメとは言いませんが、それなりに限界があります。

軽く調べて、アイデアをだし、本格的な調べを設計して、それを実施し情報を得てさらにアイデアを出す、、、というスパイラル。

かたく言えば「予備調査」→「プレ・ブレスト」→「調査項目の抽出、実施、情報獲得」→「それを得てブレスト」、、、という展開構造は、どういう場所のどういうものでも、うっすらと、小さく、存在しています。

こういう、FとIの往復をしながら前に進む、ということを意識しているだけでも、仕事をやたら難しくしてしまったり、でっかくしてしまったりすることを回避できます。

予備やプレ、あるいは、パイロットケース、そういう表現を語彙に持っているだけでも、大分、いい状況が増えるでしょう。

2012年12月02日

創造行為の観察からの仮説「ある種の脳波状態は伝染する(仮説)」

”創造的な人が登壇し、普通に話し始め徐々に興が乗ってきて、目が輝き、腕の動き、表情は文字では表しきれない複雑であいまいな情報を含み、講演する声の抑揚は、聞いている人の心拍数を高めるぐらいにわくわくとした疑似体験を相手の中に生成させる。”

そういうことを何度か経験しているうちに、昔読んだ小説の話をふと思い出しました。確か商売をする女性の話だったと思うのですがこんな話です。

”その女性は、相手の男性が眠ってしまうと、暇を持て余しその人の寝息にぴったり合わせ呼吸をする、という遊びをした。そうするとそのうちに自分も眠くなって寝てしまうのだけれど、奇妙なことに相手の見ている夢と同じものを見てしまう。しかし、それは精神的に疲れてしまい、危険なことなのでしないようにした”

そんな話だったと思います。

相手の頭の中で起こっていることを寝息から再現する、というのはあまりに高次な脳活動の再現する情報量としては少ないので難しいとして、でも、次のことはあり得るかもしれないと思うようになりました。

人の脳波いろんな複雑なことを考えます。脳の活動のある程度サマリアップされたもの(脳波もその一つ)が、身体的な出現(寝息や表情)として出てくることがあります。

それを、他者が呼吸や表情などの模倣という形で、正確に長い時間、相手の身体的出現特徴を真似し続けることで、それをある程度相手の脳の状態のサマリアップされたものを脳内で再現し、その人が感じていることを大まかに理解することができる可能性はあるのかもしれないと。

人間は、潜在意識では理解していない情報を脳の刺激としては受け取っていることがあります。60ヘルツと50ヘルツの蛍光灯があった場合、同じ光に我々は見えます。ただ、脳波を測定するとその周波数で脳波が出現していて脳波から見ると脳の方はある程度周囲の、認知が不可能なぐらいの情報も甘受しているようです。

そう考えると、身体的な動きや声の抑揚などを自分の中で、受け入れて再現していくうちに、相手の「頭の中で感じているものを再現する」ことはきっとあるのではないかと思うにいたりました。創造的な人の講演中に行う身振りや手振り、瞳の開け方、声の出し方、そういうものが、人を創造的な気分にする、それはたぶんそういうことなのではないかと。

そして、そういう人の話には、フロー状態のように、深く没入して時のたつのを忘れて、アドレナリンの快感と緊張に体が力を使い、そして終わった後、ぼんやりと脱力し、もっと聞いていたかった、もっとその素敵な状態に浴していたかった、と思う部分でも、似ています。


人間の思考状態というのは(ある条件を満たした環境下では)伝染する。
この仮説を一つの視点としていろんな物事を見たときに、少し見えてくるものや、新サービスのヒントがある、そんな気がします。

2012年03月17日

アイデアの質の構造(413のネーミング案)

先日、ブレインライティング手法を体験してもらうために、ある文具(ちょっとマニアックですが私が好きなギミックな感じのあるペン)のネーミング案を発想してもらいました。

その結果を、掲載します。

■ハイライト法の結果

ハイライト法の結果_20120316.jpg

ます、人数は、8人×3グループ(若干、揺れがあります、たぶん合計で23人です)。

時間は1行90秒ずつ(なので、所要時間は10分弱)。アイデアの総数は413個。(414個のはずなので、一つだけ、未記入もしくは紛失と思われます。)

アイデアを出した後、魅力度の高いものをグループ内で付けてもらいました。その結果が上の図です。

☆5=4アイデア (1%)
☆4=12アイデア (3%)
☆3=12アイデア (3%)
☆2=48アイデア (11%)
☆1=86アイデア (21%)
☆0=251アイデア (61%)

平均的なブレインライティング&ハイライト法に比べ、インプット時間も短く、発想時間も短く、かつグループのサイズが大きかったということもあり、少なめの評価ですが、大体、全体に対する☆の多さの構造としては、適正な結果になっています。

実際のアイデアも添付します。なお不道徳なもの、正しくないもの、もアイデア発想の幅になりますのでOKです、としました。チェックしたところ、公表するにはぎりぎりかな、というものもありましたが、それも含めて掲載します。

20120316_413ideas_.pdf

「おっすくん」とか「瞬書」とか、あるいは☆の低い所でも、「マンモスの牙」とか、なかなかおもしろいのがありますし、短時間で出し尽くすところまでやるので、もう無理やりとになく、思い浮かぶものを吐き出したのがわかるものもありますが、それでいいんです。

一つの製品に対して、玉石混合でも400近いネーミング案を出すとそこから数個は、いいものが出てきますが、今回もそういうケースになったと思います。
 
ご協力いただいた皆様ありがとうございました。


発想の題材にさせてもらった文具

■ ワークダッシュ

ワークダッシュ.jpg

握ると、ペン先が出る。
ネックストラップなどに着けられて、かちっと、ワンタッチで外すことが可能。
 

2011年12月25日

「Business Model Canvas」

「ビジネスモデルキャンバス」




Customer Segments(顧客)

Value Propositions(提案する価値)

Channels(チャネル、価値をお客へどのように届けるか)

Customer Relationships(顧客との関係)

Revenue Streams(収益の流れ方)

Key Resources(キーとなるリソースは何か)

Key Activities(キーとなる活動は何か)

Key Partnerships(キーとなるパートナーは誰か)

Cost structure(コストの構造)


※音が出ます 2分20秒




 ・・・

ビジネスモデルキャンバス、これは、『 Business Model Generation 』に出てくるビジネスモデルを作るためのツールです。

  


昔、目の良い友人が外国で見つけて買ってきたのを見せてもらったのですが、最近、このツールの話を国内でもいろんな場面で良く聞くようになりました。そういうトレンドをみるに、来年の夏とか冬には、このツールが、広く知られるような気がします。

これは面白い構造をしています。

両脇に、顧客と仕入れ先(正しくはパートナー)があり、中央に自社(というか、製品、ただしくは、顧客への提案価値)があります。両脇とは、2つのパスでつながっています。顧客とは、物流とカスタマーリレーション、パートナーとはキーとなるリソース、キーとなる活動(この辺は、イノベーションの占有可能性にでてくる、4つの要素の一つ”補完資源”の考え方にも通じるものがありますね)があります。そして、自社と顧客の土台に、収益の流れがあり、自社とパートナーの土台に、コストの構造がある。

シンプルですが、綺麗に多くのモデルを説明できる枠組みがあり、これをもちいて、アイデアをビジネスモデルに展開してくのは、一人でも楽しそうですし、ホワイトボードに書いてみんなでワイワイ言いながら埋めるのも楽しそうです。

(と、おもって検索してみると、Game Stormingにありましたね。)

この、「キャンバス」、PDFが公開されています。

http://www.businessmodelgeneration.com/downloads/business_model_canvas_poster.pdf

プリントアウトしておいて、あるいはiPadに入れておいて、「あ、このアイデア、ビジネスモデルに展開するとどうなるかな」と長い移動の間にでもアイデアを具体化してみるのに、使おうと思っています。

日本ではいま、新しいものを創ることが、とても必要になっているように感じます。これまでもそうでしたが震災の後その傾向が強くなったと私は仕事柄感じるのですが、ものづくりの発想は、良い手法がいくつもありますが、ビジネスモデルの方になると、簡単に楽しく発想という路線で行けるものは、ちょっと少ないのが現状です(無くはないし、本格レベルになればいいものはいっぱいあります。古典ですがスライウォツキーなんかもいいのですが)。その中で、この「ビジネスモデルキャンバス(の本である、ビジネスモデルジェネレーター)」は、広く活用されそうに思います。
 

2011年12月13日

「はてな」の近藤淳也さんにお会いしてきました

京都、烏丸御池に滞在しています。宿(ハートン)のすぐ近くに、「株式会社はてな」さんがあります。

面白い企業のアイデア出しのプロセスを伺う、というのが私の創造工学の研究上、常に必要で、面白い企業、はてなさんのアイデアワークのやり方、伺いたいなぁと思っていました。

先月、仙台に近藤淳也(jkondo)さんがいらしていて、その時に「今度、京都でお昼でも」ということで、念願かなって、今日、お伺いしてきました。

kyoto_DSC01380.jpg

烏丸御池駅から近いところに、一階が7-11のビルがあり、そこの上の方にはてなさんが入っています。

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9階が受付のようです。ちなみに、仙台の企業、サイエンティアさん(宮城の愛すべき巨人が努めている会社)もこのビルに入っておられるそうです。

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近藤さん。多忙な方だと思いますが、ゆっくり時間をとっていろんなお話を聞かせていただきました。

基本的に黒い服がお好きなのかなぁと思いました。僕自身が、黒をよく着るので、ふと、本題と関係のないことに興味がいったり。

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大変恐縮なことに、はてなさんの社内ランチを、私たちも頂戴してしまいました。とっても美味しかったです、ありがとうございます。なお、一緒に、シリコンバレーのSVJEN代表の桝本さんとその会社の方も伺いまして、近藤さん、桝本さん他お二人、及び、石井の5人で、2時間ぐらいランチをはさんでいろんな話をしました。

kyoto_DSC01387.jpg

私が特に、興味をもって伺いたかった、近藤さん流のアイデアワークのやり方。その時のお話について言及することに許可をいただいたのですこしメモしてみます。

ただ、正確には聞き取れていないかもしれません。そういう前提のメモであることをご了承ください。

■アイデア出しのやり方(はてなさん)
  1. 課題や目標を説明してもらう。
  2. 15分間、Thinking Time。黙って、アイデアを書く。(書くことの良い面。時間を切られることの良い面。勝負っぽさ。追い込まれ具合)
  3. 各自5分ずつ、プレゼン。(例えば、A案、B案、C案、のように説明。聞き手がわーっとなったり、あまり反応が無かったり。良いアイデアの感触が分かる)
  4. アイデアを、一歩具体的に。各自が好きなアイデアを画面遷移の絵に書く。(テキストじゃなく、絵で書こう。絵画を書く前に、文字でその絵画の案を書くことが無いのとそれは同じ。スケッチ大事)
  5. 描いたものをプレゼンする。(プレゼンしている間にアイデアが具体化したりも)
  6. これ(※)を3回する。(※発想し書く・描く⇒プレゼン、のサイクルを、3回回す、という意味でおっしゃったと文脈的に思われます。ここは厳密に聞けませんでした。インタビューの話しの流れをとめすぎるので)
  7. モックを作る。さらに多い人数に見てもらう。


こうすることで、短時間でとても具体的に面白いものができる、とのことです。上記はフルバージョンであり、時間に応じて部分的に実施したり変更をするものであるそうです。

その後、創造工学の周辺的なトピックにからませて、関連する技法や創造の特性に関する話を私からもコメントさせてもらいました。(スピードストーミング。アイデアスケッチ&ハイライト法。集団発想→個人発想、のフェーズは個人→集団、よりもよい効果があること。即興劇。ブレストの4つの阻害要因とくに生産性ロス。創造的ドロップアウト。などなど。)

kyoto_DSC01388.jpg

また、近藤さんが、最近目にした面白いアイデア出しのプロセス例として、startup weekend http://kyoto.startupweekend.org/ の話しを教えてくれました。面白いプロセスでした。

■アイデア出しのやり方(sw)
  1. ビール、ピザをみんなで楽しむ。
  2. 10チームに分かれる。皆でキーワードを出す。二子セレクト。それを組み合わせて即興で、仮想会社のビジネスモデルを作る。(偶然の妙で突飛なものも出たりする。それでバカなことを言ってもいいんだ、という空気が醸成され、場があったまる)
  3. 効果的なピッチ(極めて短いプレゼン)の仕方を学ぶ。
  4. 提案したいアイデアを希望者がプレゼン。30人が登壇。
  5. その後、提案者はアイデアを旨の所に掲げて会場で大きな輪になって立つ。参加者は自分が参加したいところにポストイットを張る。人が欲しいと思えば、一生懸命アイデアを提案者は来た人に説明する。
  6. 人が付くところ、つかないところがある。30人いても、チームは10に絞る必要がある。人が付かない所は次第に提案者を降りて、自分もどこかへ入っていく。(明るく楽しいやり方で、実際はサバイバルという厳しい作業を、実行できている、面白いやり方)
  7. 各チームでやっていくが、話していくとアイデアがどんどん変わっていくところもあって面白い。


追記:

この件について、近藤さんから、情報を頂きました。

Startup Weekendについては、新しいブログの方に少し書いています。よろしければあわせてご覧ください!http://jkondo.hatenablog.com/entry/2011/12/03/105147

近藤さんのはてなブログを拝見すると、写真と動画でその様子がリアルに読み取ることができます。面白いイベント構造で、とっても楽しそうです!



後は、近藤さんが、最近温泉に行かれて、その車の中での発想がなかなかよい、という体験も教えてくださいました。

この辺からはインタビューというよりも、私の方でも出来る限り知っていること、関連するトピックを紹介させてもらいながらの話になり、例えば、楽器の練習、ほろよい、徹夜、ウォーキングなど、頭の一部を少しだけ使うような軽作業や、脳の一部を使っていて判断が甘くなるるような場面では、創造と判断でいえば判断の遮断機があまくなる、アイデアを出す時に見られる一種の退行状態「創造的退行」と呼ばれる概念があり、高速道路での車の運転のような、一定の軽作業をすることと創造性の発露に関する話や、東大のイノベーションゲーム、と呼ばれる新技術カードの組み合わせによるベンチャープラン提案と、オーディエンスが投資チップを持ってて、収益最大の所に真剣にかけるとなると、結構アイデア段階でもシッカリ評価がなされたりする、そんな事例が思い出されます、みたいなお話をさせてもらいました。

はてなさんの規模まで大きくなっても、社長自らが、アイデア創出の推進を実際にされていて、いろんなアイデア生成に対するやり方に興味を持っておられるのは素晴らしいと思いました。趣が違いますが、東の面白い会社である「カヤック」さんの中での発想、創造のプロセスや、創造的土壌のテイストもまた違ったところ(共通するところもあります)が興味深いと思いました。その辺は、簡単にことばにするのは、あまりに乱暴で不遜な行為かと思いますので、私の中で、また一つ、創造する組織への着眼点の1つとして、持っておくにとどめたいと思います。

はてなの皆さん、近藤さん、おいしいランチと、貴重なお時間・お話を下さって、ありがとうございました。また、同席された桝本さん方にも貴重なお時間をたくさんとっていただき、ありがとうございました。

注:

本内容は、私がランチを食べながら、話し会いメモしたものをもとに、やや石井の中で補って書いております。事実と違うことが多分に含まれている可能性があります。創造する組織のいち側面を垣間見るヒントの一つの参考情報、ぐらいに見ていただけましたらば、幸いです。
 

・・・

 株式会社はてな
 京都市中京区
 http://www.hatena.ne.jp/company/profile
 

2011年06月27日

【余談】こけしの絵付け『入魂の木地師』

魂を込めていくような作業を、創造の観点から、いろいろと調べています。
先日東北大学の図書館に貴重文献を調べに入りました。目的は、仏像の彫刻の制作過程。「鉈(なた)彫」や「立木仏」を木から掘り出す時の心理様式を詳しく知りたいと思い。

その時、近くの棚にあった本を思わず読みふけってしまいました。

こけし。

今まで興味を持ったことがなかったのですが、こういう一文に出会って、引き寄せられて読んでいきました。

kokeshi_004.jpg

この本の中ごろには、とある特徴を持ったこけしの顔が何ページにもわたり、フットノート部分にありました。

kokeshi_005.jpg

この本は、

kokeshi_001.jpg

という本で、既に絶版、多分、かなり小規模の販売だったのではないかと思うのですが、真摯に取材して、かなり踏み込んだ職人の世界への言及がありました。

「こけし」と一口にいっても、

kokeshi_003.jpg


当時、10のタイプがあったそうです。(1989年の本なので、現在はもっと分派したり、あるは統合がすすでいるのかもしれません)

こけし、を巡って強烈なマニアが、名工の作を、競うように手に入れているというのをしり、強烈なファンのいるというのは、芸術や創造が深まる1つの条件かもしれない、という仮説を想ったりしていました。

創造ツールを作る私としては、次のページには、やはり興味を惹かれました。

kokeshi_006.jpg

こけしの絵付け。

クリックすると拡大します。

これを見ながら、しばらく、iPadのZen Brushで、こけしの絵を描いてみました。手順通りにやると、なるほど確かにこけしらしくなる。何度も書いていると、手本通りには書けなくて、我流になる。不思議なもんだなぁと。

―――

伝統芸能の世界はその蓄積がふかく、創造の観点からは非常に興味深い、人間の能力の発露が垣間見られます。

時間がある時には、また、大学図書館で、仏像の彫刻をする職人やその修理をする人の世界を調べてみたいと思っています。

「芸術的な創造」と「産業的な創造」。

この2つは、かなり根っこの部分から違うものがあり、それらを未分化に融合しながら我々は創造を議論し、創造という行為をなしています。それでいいのですが、私はもっとその部分について知りたいと思っています。創造工学、という、アプローチを超えて、もっと、クリエイティビティーの闇の中を進んでいきたい。最近、切にそう思うのでした。


■仮説的なメモ

多分、ですが、産業的な創造、も、その限界点を突破していくと、芸術的な創造の領域に突入する、と思うのです。

人の、創造への学びも然り。

「アーティフィシャル(人工的な)な創造プロセス」を、知り、体験し、繰り返し、独自化していく。その先には、独自の創造という「アーティスティック(芸術的)な創造」がある、のではないかと考えています。

とはいえ、何にも師事せず創造的な芸術家が登場することもあるわけで、創造という非常に有機的な道は、1つではなく。




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