2009年10月15日

脳は断りなしに曖昧に忘却し、そして、1点から大量に復活させる

エバーノートのことを見ていたら、マップに飛びました。その地図はアメリカで、どこだろうと、広域にしていくと「サニーベール」という文字が。あれ、これ、シリコンバレーかな、とおもいつつ、さらに広域にすると、サンタクララやサンノゼの文字が。

あ、そうだ。

その時に、昨年12月の、シリコンバレー訪問の時の風景が、頭にふっとよみがえってきました。グーグルの本社でランチを食べたこと、アップルの本社でiPhone開発にもタッチしていた方とお話して、すごく、きれいな本社のたてものだったこと(この食堂で、ジョブズもならんでごはんをたべるんだよ、と教えてもらいました。偶然、こないかな、とおもっていたけれど、見られなかったこと、とか)。IDEOに行ったこと、梅田望夫さんのオフィスに行ったこと、スタンフォード大学の中のD-schoolで、ホットなブレインストーミングの痕跡ののこる部屋部屋を見学したこと、とかとか。

サニーベール、という言葉を発言しているのは、その時の時制ではなく、もっとむかし、2005年ごろ、MOTの博士課程にいたころに、シリコンバレーからなんと、その日本のMOTコースに博士課程学生としてきていた大澤さんの口からだったこと、とか。(彼はシリコンバレーのベンチャーキャピタルのファウンダーで、コースの学生にもとても刺激をくれたこと、とか。)

そんなこと、普段は忘れていました。

「ああ、そうだ、グーグルの本社にいってきんだっけ。まだ1年もたっていないんだ」

と、自分の中の記憶の曖昧さに対する自覚的な認知が起こりました。


1点から、ずいぶんたくさん、脳は情報を整然としたレベルにもどすんだなぁと、思ったのでした。


発想の傾向や特性というのが人間にありますが、そういう「1点で大量に引き出す」ようなことを積極的に使えると、ブレインストーミングはうまくなるだろうなぁと、直観的に(明確な言語での説明をもたない推測として)思います。

2009年10月05日

小論文:アイデアワークショップにおけるブレインライティング成果の分析

この金曜日から日曜日までは、(娘の運動会がありそれはしつつも)寝る間のおしんで、創造工学の研究をしていました。

大学から、研究進捗報告書提出の提出期限を過ぎれていることを告げられて、週末は返上になってしまいました。

掲示板を見に行かない社会人院生にとっては、いろいろと大学のシステムというのは、驚くような情報取得ミスになる、と今回痛感しました。これ以外にも、すごく大事な掲示を見逃していたことをしりました。(これによって、大きく身の振り方をかえないといけないかもしれません。)

ようやくいま、事例調査、分析をおえて、ごくあらい小論文をかきあげました。久々に締め切り前の作家のような週末を過ごしました。通常の業務もなげうって、してしまったので、あすは、大学で、各種の対応の調整をすませたら、今度は通常業務で月末からお待ちいただいている皆さんにお仕事のお返事やら提案書やらをお返しする仕事をします。(お返事が遅くなっている皆さま、すみません)

今日は、しかし、一度眠ります。半年分の実務データからいっきに論文にする作業までするのは、かなり答えたようです。脳も鍛えておかないと、なまるのかもしれません。精進します。

2009年09月21日

2の6乗、概念分解能

ふと、点字の考察からおもっていたこと、その私的メモです。

2のN乗が、40〜50を初めて超えるのは「6乗」です。64です。

一つ下、「5乗」は、32で、ちょっと40〜50ゾーンに足りない。
一つ上、「7乗」は、128で、多すぎる。

「6乗」が50をちょっと超えるけれど、かなりいい数だと、思います。


石井仮説、なのですが、「人間がひとときに、ペンも紙ももたずに、理解できる概念の数は多くて40〜50である」と考えています。

紙に書く行為をなしに、頭に入れるだけで話を聞く場合、かなりの集中をしていても、それ以上の数の概念は「別のもの」と認識できなくなる。そんな傾向が多くの人にはある、と。

この数が2の6乗に当たるということは一定の計算ができるかもしれません。

ある種の領域を対象にものを考えるときに、人間が一度に曖昧にでも把握できる「あり・なし 二択インデック」の数は6つ程度しかないのではないか、と。

それを超えるような違いにあたるインデックスは、あっても
認知できない。そんな気がします。

たとえば、本当にたとえば、の想定例ですが、
私たちが、密林の奥で異型の生物種を発見した時に
目を凝らして、何でそれらの個体差を認識するかといえば
「色」「大きさ」「形状」それから、
「行動パターン」「身につけたり利用している物体の違い」
ぐらいではないでしょうか。
あるいは、「鳴き声」ぐらいですかね。

それ以上のインデックスもサブ化していけばなくはないはずですが
さっと初期的な観察で個体差の理解はこのくらいかと。

これが概念の世界で、「AとBは異なる概念である」と認知できる”分解能”ではないかと。

眠くなってしまったので、メモ的にアップしておえます。

2009年09月16日

ある学会の論文査読をさせていただきました

私の専門分野の学会の一つから、論文査読を依頼されていました。

個別の専門分野としては、ちょっと違うので、読み込むのに苦労しましたが、3度ほど精読して理解し、査読者としての立場を全うさせていただきました。

私自身がその学会には論文を投稿したことが無いにも関わらず、そうした高邁な役目をくださったことに感謝しています。査読の役目を果たしつつ、私自身が非常に勉強になりました。

2009年09月04日

おもちゃテイストと創造的退行

創造手法について、すぐれたワークショップや、教材には、どこか「おもちゃテイスト」というべき良い要素があるようにおもいました。

わー、たのしそう、おもしろそう。
という部分を醸す効果があるからだろうか、と思っていたのですが
「創造的退行」(想像思考の為にすこし、退行状態にする)
という観点でみると、いろんな説明がつくのかもしれません。

フレドリック・へレーンさんの「アイデアブック・スウェーデン式」には、創造性の4B、ということが言及されています。(63ページ)

バー(Bars)
バスルーム(Bathrooms)
バス(Busses)
ベッド(Beds)

4Bは普段より閃きやすい場所、という主旨で、上記に言及されています。

新版『心理学事典
』(平凡社)によると、上記のうちのいくつかは、普通の人でも「軽い退行」の現れる環境とされています。



脱線:

この『心理学事典』は大きくて重い本なので大学図書館でみるだけにしています。

ちなみに、この事典を調べていて興味深い事典を発見しました。『認知心理学事典』こういう書籍とであいたかったので、次に大学図書館にいったら、手に取ってみようと思います。(学位のなかなか取れない社会人院生でも、結構大学にはいきます。自宅と仙台駅の経路上にありますしね、東北大。)

2009年08月28日

創新の前に、大量取得+限界はき出し

新しいものを作る時には、
大量のインプットもいります。

過去からの蓄積の多さ、だったり、
新鮮な情報の取得だったり。

一方で、限界まではき出す、というのも
必要であったりします。

出しきる先に創造性のおいしいゾーンがある。
はじめに出るのは、平凡なもの。

その意味では、
取り込み、生まれてきたら、
そのうまれてきたものを、大事にしつつも
どんどんはき出し、はき出すものがない所まで
はき出ししていく。

そうしてようやく、頭は、
新しいものを創造する(創新する)
土台ができる。

そんな感じがある種の作業に見られます。

大量取得して、大量に出して。
そうすると、大きな無駄のようですが、
料理で言えば、これは、
おいしい料理の為に、出汁をとる行為っぽいですかね。
入れて煮込んでほとんど取り出してしまう。
そこにのこった液体の中に、
見えない程度の何かが、のこっていて
それがあるから、作品がおいしくなる、的な感じでしょうか。



今、新しい文章を書こうとしています。
その前に、大量に吐き出しておく必要がありそうです。

2009年08月26日

判断遅延(批判禁止)と創造的退行。ガルシア=マルケスのブレストからの考察。

ブレストの第一ルールにDefer Judgement「判断遅延」があります。「批判禁止」とも訳されたりしますが。

新版・心理学辞典の中の「創造的思考」の項目に「創造的退行」という概念があります。創造的な思考にはある程度「退行」が関係するようです。

健康的な「退行」というのは、創造的な人には「ああ、理解できるな」という概念だと思います。これ一つでも面白いことがいろいろ説明できそうです。それはさておき。

創造的退行を促すのが「判断遅延」の本質的な意味(あるいは役目)なのではないか、と最近、思います。

判断遅延や批判禁止、という表現をとっていては理解できない優れたブレインストーミングがあります。それを深く理解するための視力を手に入れられる気がします。

ガルシア=マルケスの「物語の作り方」という本がありますが、これは、じつにブレストとしてみると興味深い。

もともと、この本は、漫画家さそうあきらさんから、大学でのブレストの講師お仕事を依頼された時に、「こうありたいブレストの一姿」としておされた本で、読み応えがあります。この本の中で、ガルシアマルケスという優れたお話を作り出す人物が、彼のシナリオ教室にあつまった生徒さん(多くはプロや卵)と、お話をダイナミックに作り出していく「批判(判断)ありのブレスト風会話」です。

創造的な作業として実に興味深いことが展開されていますが、ブレストの本質を「判断遅延(もしくは批判禁止)」として絶対的なもの的なとらえかたをしてしまうと「これはブレストではない」ということになってしまいます。

ブレストの心理様式の本質には、たぶんですが、「創造的退行」と表現される心理様式のがあります。確実に文献でおえてない「石井仮説」の域ですが、経験的にはこの仮説は肯定される事例が多いと一時的判断をしています。


長くなりましたが、「創造的退行」の状態になるためのブレストのルールがある、としたら、判断遅延が必ずしも絶対視されるべきじゃありませんね。とここで述べたいのです。

ガルシアマルケスら彼らのブレストには、頻繁に「否定」や「それじゃ30分ではおさまらないぞ」という判断が登場します。そして、収束フェーズに近いアイデアの選択も頻繁におこなわれます(ただし、大きくひっくり返して戻ります。まるで分岐した道をいっきにもどって、別の道をゆくように)

彼らの中に「創造的退行」と呼ばれる心理状態がしかしいつもあります。これは参加者が多少の批判は、考えるトリガーとしてうけとれていて、「創造的退行」の解けてしまう害的効果はあまりうけとらないですごせる批判に強い心理的なタッチ(批判への免疫力)があるから、いけている行為だと思われます。

多分、素人があのブレストに参加したら、発言をしなくなってしまうでしょう。たぶんですが。

優れたベンチャーチームでブレストをすると、似たことが起こります。リーダとメンバーの間で強い信頼感があると、「否定的なコメント」は生産的な思考のトリガーとして(ひとヒネリして)うけとられ、さらに場が活性化する、なんてことがあります。その空気を共有していない人には「とてもじゃないけれど、そんなのブレストじゃないよ」と切り捨ててしまいそうですが、「創造的退行の促進される中での創造的な会話」を拡張した広義のブレストと考えるならば、それはブレストだと思います。


創造的なアウトプットを欲する。
 ↓
創造的退行を保持できる場を作る。
 ↓
そのために4つのルールがある(いわば、創造的思考のガイド)。

ということでスタンダードなブレストをしている、とするならば、
別の方法で、創造的退行を保持できるならば、
それはそれでOKなはずなんです。

たとえば6色ハット法も、あるいみ、創造的退行の促進効果が
認めらるでしょう。

これは「ブレスト」ではないかもしれませんが
「創造的なアプトプットのための話し合い」(名称を後でつけます)
には含まれています。

そんなことを、ふと「批判バリバリの、しかし、創造的、会話」のすすむ『物語の作り方』に思うのでした。



備考:

仮の命名について

「創造的なアプトプットのための話し合い」

これを

「クリエイティブ・ミーティング」か

「クリエイティブ・カオス」か

「クリエイティブ・グローウィング」ぐらいの

意味性をもつ固有性ある名称をつけたいのですが。


仮の名称

「クリエイティブ・プランティング(Creative Planting)」
あるいは
「一般化ブレインストーミング」

ぐらいの技法名として、仮の名称としたい。


ここに定義します。

Creative Planting:

創造的なアプトプットのための話し合い。
創造的退行を促すためのガイドラインなどを明確に持っている場合と場(あるいは特殊な参画メンバー)がもつ創造的退行を促進するための心理様式をベースに行われる話し合い。
一人で同様の心理様式をもって、独創していく作業も含む。

多くの場合はブレインストーミング(あるいはその派生技法であるブレイン・ライティング、カード・ブレイン・ストーミング)と一致するが、ブレストにおいてもっとも重要な機能を担う判断遅延については、創造的退行の維持できる限りは、必ずしも絶対条件としない。(類似の概念である批判禁止についても、同様である)

2009年08月24日

厳密に重複しないコンセプトを複雑な概念で定義するより、多少重複しても発想を引き出すような概念で解空間を埋め尽くす

先日、ある方に、智慧カードがどういう意味合いを持つのかを
ご説明する機会がありました。すこし書き換えて転載します。
いずれ創造工学のペーパーを書くときには正しい調べを記載したいと思います、
現時点でわかっていることを、記しておきます。





ちなみに、彼らは、2時間で100近いアイデアを出し
その中から、優秀なコンセプトにつながりそうな
アイデアが3つ見つけました。

一方、そのアイデア出しが終わった後にやってきた、
その現場の統括者は、
"2時間でそのアイデアを出せるなら、
もっと前からだせたんじゃないか"
といいましたが。

# ここから、創造の力の特性・仕組み、に関する話です。

実は、そうなんです。
彼らが、特別に優秀なグループだったわけでありません。

本来、人間には創造の力があります。

現場に長い時間いれば、もやもやっと
「う〜ん、何かいいやり方ありそうだけど・・・」
と感じることがあります。
創造力が形や言葉を持たない状態で、ふんわりと、ある感じ。

多くの人は、その時に
"どうすればいいかわからないけれど、
 何かをもっとうまいやり方がありそうな気がする"
という感じを持って、そこで、終わりにしています

一方、新製品や新事業を創造する人たちは、
その思いを具現化してアイデアの断片を
ひたすら考えて出します。

アイデアの断片を組み合わせ、
試作・トライ&軌道修正をして、
次第に、スターアイデアへ成長させていきます。

智慧カード(の根底にあるTRIZ)は、
およそ、機械もの具現化アイデアのやり方を網羅しています。
(TRIZはもともと、ブレークスルーの構造を収集したもので
 エッセンスをパターンへ分類したわけですから)

TRIZの深い研究者の本によると
”TRIZの40パターンは、
 解の概念上、重複があるけれど
 解の空間を埋め尽くしている。
 それが大事である。”
とのことです。

厳密に重複しないコンセプトを複雑な概念で定義するより
多少重複しても発想を引き出すような概念で解空間を埋め尽くす。

そういう構造をしています。

なので、シンプル化した智慧カードも、
全部をさらっていくと 彼らの頭の中にある解空間をすばやく
全領域検索することになります。

それが、彼らがもともと、もやっと感じていた、
水面下にあった創造が、智慧カードの切り口を借りて、
アイデアとして言葉になった、という感じです。

智慧カード自体が、アイデアなのではなくて、
頭の中に広がる解空間の全領域を40分割して
それぞれに、明確化するヨリシロみたいなものを与えています。


# 極端な例ですが『100にいる社員の姓を
  何も見ないで、全部あげろ、と
  言われたら、1時間で、もれなく、
  全員分、書き出せますか?』
  という問題に似ています。

  私もそうですが、できない人は多いでしょう。
  組織には、印象の薄い人が常に2割いますから。

  このときに、
  「あ、で始まる名前を挙げよう。青木、赤城、・・・」
  「では、つぎは、い、だ。石井、岩澤・・・」

  この方法だと、
  あ、で1分、い、で1分、…わ、で1分となって
  50分で、ほぼ、全員の名前を挙げられます。
  ひとりでは無理、そいう人でも3人でなら、
  確実に挙げられます。

  智慧カードは、青木、赤城、ではなく
  「あ」「い」・・・「わ」に相当するものです。


人間の発想の力は、”解”なり対象物なりの全領域を、
くまなく検索しない。なぜかは、わかりません。

誰かのアイデアを聞いて「あ、その発想はなかったわ」と
言います。
ただしくは、なかった、ではなく、思いつかなかった、です。
いわれたときに、「あっそうか!」というのは
なかったのではない。あったけれど出てこなかった、
という状態です。

誰かの出したその切り口、場合によっては
昔、3年前の自分が、よくやっていたような
発想の切り口だったりもします。

知っていたならその切り口を使えばよかった。
でも思いつかない。不思議なものですがそういう構造。



発想のうまい人は、全領域を高速にランダム検索しています。
で、多面的なアイデアを出します。
(「あ」「い」・・・「わ」なのかどうかわかりませんが
 観点を多面的に広げる発想の強制広域化スキルがあるんです)

そういう力がない人だって多い。
解の全領域を網羅的に検索するのを補助するのが、
智慧カードであるとおもっています。

なお、ブレスターに入っているTOIカード(50枚の薄緑のカード)も
同じく、全領域を検索するためのものです。

智慧カードは for テクノロジー
TOIカードは forビジネスアイデア、日常課題

です。



追記:

将来的には、

for X のXをニーズに応じて確立していきたいと思っています。

2009年08月15日

興味深いマッキンゼーのリスト

世の中には、発想を引き出す優れたフレーズ(発想トリガー)がいくつかあります。

それらは、各専門分野では、発想トリガーという名前は付いていないものの、優れた発想を引き出すリストとして、古くからその存在が知られています。

最近、創造工学の研究中に読んでいて出会った文献に「発想トリガー・リスト」としての効果のあるリストがありました。


「製品開発をめぐる21の質問」(ハーバード・ビジネス・レビュー2008年8月、P59)という以下のリストは、他の発想トリガーとはかなりテイストが異なります。優れた発想トリガーとしての効果をもったリストです。これは、ビジネス・エスノグラフィー(IDEOや博報堂の行う新製品コンセプト創出のやり方)における「エクストリーム・ユーザ」観察によく似たテイストもあり、とても興味深く思っています。以下に引用します。



"De-average"Buyers and Users
平均像と異なる購買者とユーザを特定する

(1)当社の製品を、通常とは異なる方法で
   使用または購入しているのは、
   どの顧客か。

(2)営業面やサービス面で通常以上の
   ケアを要求する顧客はいるか。

(3)受注、追跡サービス、特別仕様など、
   サポート・コストが異常に高い、
   あるいは低いのは、どのような顧客か。

(4)製品価格から、ハードあるいはソフトの
   コストをを25%減らしても、顧客の
   大半のニーズを満たすことができるか。

(5)カスタマイズのために、少なくとも
   製品コストの50%を負担するのは、
   どのような人か。


Explore Unexpected Successes
予想外の成功を見つける

(6)まったく想定していなかった方法で
   製品を使用しているのは、
   どのような人か。

(7)当社の製品を驚くほど大量に
   使用しているのは、どのような人か。


Look Beyond the Boundaries of Our Business
自社ビジネスの境界の外側に注目する

(8)我々とは全く違う理由で、我々と
   同じ問題に対処しているのはだれか。
   また、どのように取り組んだのか。

(9)自社事業の効率あるいは効果を大幅に
   改善した施策のなかで、他業種に
   応用できるものは何か。

(10)自社事業の副産物として得られた
   顧客情報や製品の使用情報のうち、
   他社事業を大幅に改善するヒントと
   なりうるものは何か。


Examine Binding Constraints
足かせになっている制約を検証する

(11)当社の製品を購入または使用するに
   当たって、最大の障害となっている
   ものは何か。

(12)当社の製品に、顧客が場当たり的に
   施した改良の例として、
   どのようなものが挙げられるか。

(13)最近の顧客のなかで、当社の製品が
   最も適していない顧客はだれか。

(14)当社の製品に最も向いていない用途は、
   具体的には何か。

(15)業界内で、なるべくサービスを
   提供したくないと思われているのは、
   どのような顧客か。
   また、その理由は何か。

(16)これまで考えもしなかった障害を
   解消すれば、大口ユーザーになる可能性が
   あるのは、どのような顧客か。


Imagine Perfection
完璧な状態を想像する

(17)購入者や用途、流通チャネルなどについて
   完璧な情報を入手していたならば、
   我々の仕事のやり方は
   どのように変わっていたか。

(18)顧客一人ひとりの要望にもれなく
   応じていれば、当社の製品はどのように
   変わるか。



Revisit the Premises Underlying
Our Processes and Products
プロセスと製品の前提条件を見直す

(19)当社の製品に搭載されている技術のなかで、
   前回の設計変更以来、最も大きく変化を
   遂げているのは何か。

(20)当社の生産技術のなかで、前回の
   生産システムあるいは物流システムの
   変更以来、最も変化を遂げているのは何か。

(21)いちばん急速に変化している顧客ニーズは
   何か。また5年後には、そのニーズは
   どうなっているだろうか。





この中の「当社の」は、これから参入を狙う企業の場合は「ライバルと目する企業の」と読み替えてみると、フィットするかもしれません。

たとえば、今の社会情勢(エコと産業構造の転換による電気自動車へのシフト傾向)を考えると、これまでにない企業の電気自動車開発が予想されます。特に電機メーカなど。

その時に(15)や(16)は、かなり強力な発想をもたらしてくれるでしょう。ガソリンエンジン車では、乗り越えられなかった苦手マーケットを洗い出すことによって、参入初期の主戦場を見出す、なんてことになるかもしれません。

ITベンチャーや、日用品メーカ、サービス産業的なところにも、たぶん、同じようにこのリストが良い案を引き出してくれる可能性があります。

会議の前に、ちょっとブレストの練習を兼ねて「(14)当社の製品に最も向いていない用途は、具体的には何か。」あたりで、5分程度、発言してもらったら、それだけでも結構なアイデアの材料を生み出す材料が得られるかもしれません。


ちなみに創造工学的な観点からすると、このリストは、発想を引き出すフレーズ集としては、「粒度が大きい」ようです。もう少し分けて、うまく異なるフレーズ40〜50個へ分解できる可能性があります。なお、観点領域でみると「五感で感じるものごと」への発想トリガーがみられないので、その点を充足することができると、食品産業や感性価値の割合の高い産業への適用も強化されると予想されます。

2009年08月05日

ガイデッド・ブレインストーミング

昨年のTRIZシンポジウムでガイデッド・ブレインストーミング、という言葉を聞きました。産能大の黒澤先生にお話をお伺いしたときのことです。ガイドされたブレスト。いいコンセプト、ですね。

産能大のGBツールキットをまだ見たことがありませんが、きっとおもしろい、優れたナレッジセットだとおもいます。11月からASP提供されるそうです。楽しみですね。

それはさておき、すこし、ガイデッド・ブレインストーミング、ということについて考えてみたいと思います。

ブレスター(ブレインストーミング・マスター)はカードゲーム形式ですが、一種のガイドされたブレスト、にはいるかもしれません。また、プロのファシリテータが入るブレストも、ガイドされたブレスト、という範疇にはいるかもしれません。広義では。

狭義にいえば、シネクティクスの数段階にわけたブレインストーミングや、方向性づけと適度な粒度にきりわけた項目をアイテマイズ発想していくようなスタイルのアイデア出しが、それに当たると思います。

ブレストのルール自体は、創造的な心理様式の活用のためのガイドライン、だと私のプロジェクトチームでは考えています。ブレストをする、というのは、一種の創造的な心理様式をガイドされた活動をする、ということなので、ガイデッド・ブレインストーミング、というのは、重複気味な概念になるか、と厳密に考えればおもいますが、ブレストのルール、ということで、心理様式(あるいはメンタルアティテュード)はガイドされていますが、発案していくそのもののプロセスは、ガイドされておらず、参加者にゆだねら得ています。するといいこと、してはいけないこと、だけが示されていて、どういう方向にすすめ、なにをせよ、ということがないのです。

なので、ガイデッド・ブレインストーミングとしては、手順やプロセス的な面をガイドするブレスト、とかんがえれば、非常に理のあることだとおもいます。

ブレストに限定せず、ガイデッド・アクション、という行為の本質はなんだろう、としばし考えてみていました。次のことがあげられるかもしれません。

ガイデッド・アクションの3要素(石井私案)

1.狭さ
エリアを制限されている、あるいは、取り得る選択肢・自由度が狭い
(これは、発想にとっては良いこと。制限は創造性を引き出す)

2.方向性
進むべき方向が、明示的に付与されている
(明確なゴールは、自発的な力を引き出しやすい)

3.手順
プロセスは、本質のみを残したシンプルな単動作を1単位として、その並んだものとして提示される(プロセスの分岐は非常に少ない)
(シンプルにすることで、短時間で熟達する)


ある種の、知識学習ゲームなどは、こうした3要素を根底にもっているように思います。

2009年07月21日

「経営革新のアイデアの源泉」(中小企業白書2005)

夕方から夜にあちこちいって、用事を足して回ってきました。
PM11時を過ぎたいまでも、戻ってきて全力で仕事中です。
積み上がった仕事(やりたい事)がたくさんあって、
ちょっと、明日の長距離移動をするための準備とかが、
どうなることやら、と思っています。
講演やワークショップの仕事はプロとして
体力万全で臨むときめていますので、
その時ばかりは前夜は睡眠をしっかりとります。
今日、寝るまであと1時間ほどですが、
さて、どうしたものか…。

そんなことをきれいさっぱり忘れて、しばし逃避するために
ブログを書くことで、しんとするように、仕向けてみました。

さて、タイトルの件です。


中小企業白書に面白いデータがあります。

「経営革新のアイデアの源泉」(中小企業白書2005)


●企業の経営革新のアイデアはどこから来るのか。
●そして、どこから来たアイデアが成功しやすいのか。

これについて、『「顧客・取引先の要望、提案」、「顧客の行動から察知」といった顧客重視型の経営革新が46.4%、「一般的な市場の動向」、「競合他社の動き」といった市場動向型が36.2%、「代表者の個人的なアイデア」、「研究機関、大学などの研究成果」といったアイデア型の経営革新が13.8%となっており、顧客志向の企業の割合が高い。』としています。

顧客重視型(46.4)
 顧客・取引先の要望、提案(33.5)
 顧客の行動から察知(12.9)

市場動向型(36.2)
 一般的な市場の動向(26.0)
 競合他社の動き(10.2)

アイデア型(13.8)
 代表者の個人的なアイデア(11.5)
 研究機関、大学などの研究成果(2.3)



経営革新企業にとって、
数からいえば、アイデアの源泉は「顧客志向の場合」
に成功率が高いという解釈できるかもしれません。

興味深い点を、さらに掘り下げています。

●アイデアの源泉毎に、成果はどうなのか?

そのデータは「(経営革新という)目標達成率」と
「企業成長率の標準偏差」という2つの物差しでもって、
計っています。

結果はざっくり言って

目標達成率「顧客重視」>「市場重視」>「アイデア重視」
企業成長率の標準偏差「顧客重視」<「市場重視」<「アイデア重視」

データをざっくりと解釈すると、
ちょうどトレードオフ、のようになっているとようです。
ただし、成長率の標準偏差、であることに
留意が必要です。ばらつきが多い、ということであり
成長率そのものが高い、とは言っていません。
ばらつきが多い=高い企業がある(低いのもある)、
というロジックでそう展開しています。
歯切れが悪いですが、成長率そのものは
顕著な結果がなかったのかもしれません。
(元のデータを調べて意見を述べるのが本当の研究的
 態度だとおもうのですが、私はさぼって、
 元データを見ていません。)



本文を引用しますとこう表現されています。『これらの違いにより、経営革新のパフォーマンスは異なるのであろうか。それぞれの経営革新のアイデアの源泉毎に、目的達成率(経営革新の目的を達成した企業の割合)を比較すると、「顧客・取引先の要望、提案」、「顧客の行動から察知」といった顧客重視型の経営革新は、他の経営革新よりも目的達成率が高い(第2-1-38図棒グラフ)。一方で経営革新の成果として企業成長率を取り、成長率のばらつきをみるために標準偏差31で比較すると「代表者の個人的なアイデア」の標準偏差が高い(第2-1-38図折れ線グラフ)。
 つまり、顧客重視型の経営革新は、元々顧客に受け入れられることを目的としていることから、比較的経営革新の効果は現れやすく、目的を達成する可能性は高いが、その成果は顧客の要求水準に留まる範囲にしか達し得ない。一方で、経営者の独創的なアイデアで、顧客の要求水準を超えた経営革新を行う企業は、顧客重視型に比べて目的を達成する可能性は低い代わりに、成功したときの成果は非常に大きい。』


グラフから数字で書くとこうなっています。

<目標達成した企業の割合>
(数字は全体の平均値をゼロとして表現されている)

顧客重視型
 顧客・取引先の要望、提案(4.4)
 顧客の行動から察知(7.4)

市場動向型
 競合他社の動き(▲0.5)
 一般的な市場の動向(▲3.7)

アイデア重視型
 代表者の個人的なアイデア(▲6.6)
 研究機関、大学などの研究成果(▲23.4)


<企業成長率の標準偏差>

顧客重視型
 顧客・取引先の要望、提案(0.833)
 顧客の行動から察知(0.708)

市場動向型
 競合他社の動き(1.067)
 一般的な市場の動向(0.832)

アイデア重視型
 代表者の個人的なアイデア(1.388)
 研究機関、大学などの研究成果(0.341)


なお、成長率の標準偏差が大きいのは
「アイデア重視型」と述べられていますが
「研究機関、大学」は、標準偏差は小さくなっています。
全項目中、最小です。つまりばらつきが少ない、という
ことです。

(これは、たぶん母集団の多さの違いが影響しているの
 かもしれません。産学連携に取り組んだ中小企業群と
 社長のアイデアで商品つくった中小企業群では、
 母数がかなり後者が多いと思われます。
 母数が小さいと、極端の場合、n=1だと、
 ばらつきなし、になります。
 なので、大学からのは、成長率が高い企業がないのか、
 ということについては、(このデータだけでは)
 判断付きかねるかと思いました。)




データには幾つもの「読み取るための仮説」が打ち込まれて
いる、ということを謙虚に受け止めつつも
表現されたことをまとめてみるとこういえるかも
しれません。


経営革新は
「顧客志向で始めれば、成功率は高い。
 しかし、高い成果は期待がしにくい。
(似たことに取り組んだライバルと成果のばらつきも少ない)」
「代表者のアイデア重視で始めれば、成功率は低い。
 しかし、高い成果の出る場合もある。
(しかし、低い成果に終わってしまう場合もある)」

と。

なかなか、悩ましいですが、
顧客志向の取り組みに、
代表者の優れたアイデアを十分に吟味して融合できると
成功確率が高く、高い成果も可能性がでてくる、
のかもしれませんね。


アイデア創出の支援者としては
「アイデアが大事」というデータには
敏感なのですが、公平にみても、
おもしろいデータでした。

2009年07月14日

大学院のゼミ、最終日でした

今日は、社会人院生としてのゼミの日でした。前期の最終日です。学生時代は、夏休みが早く来ないかと思ったのですが、自分で学費を払う社会人学生としては、「あれ?6か月中、4か月だけなのか…」と残念な気もします。国立大学の学費が半年で25万円位なので、6か月で割ると1か月4万円ぐらいだとおもいましたが、4ヶ月で割るならば、6万円くらい。

しかも、ゼミしか取っていない私にとっては1か月4回開かれるゼミがその価値享受可能機会なので、6万円/4回=1.5万円。

大学院のゼミ1回にかかる費用、プライスレス、というべきところでしが、現実に算出すると、1.5万円をかけて、ゼミに参加しているのです。

なので、学生時代とは、気迫が違います。黙っていたらもったいないので、あれこれと教授や他のドクターの方に、ディスカッションを求めて、研究を進めています。

ちょっとだけ、脱線です。

アカデミアの書物を見て「ああ、なんて、難しく書くんだろう」とおもっていました。でも教授にはばっちり、そう思っていることを見抜かれたいたようで、「石井さんは、こういう本になれてください」とくぎを刺されました(笑)。

修士時代は、理系ではありましたが、論理的に書く文章が常でした。しかし、ビジネスでは、できるだけややこしくなく書かないと読んでもらえないので、自然と、学術的な構造化文章を書くことはなくなりました。いまでも、できるだけ、やさしく書こうとするあまり、言葉を砕くことに心を砕く日々です。

ビジネス書の執筆ではその最たるものでした。

しかし、です。学術の舞台の上で、創造工学をきちんと、論じようとするならば、その文章体系を今一度、自分の中に入れる必要があります。(ただ、学術的に、書く文章が、普段の文章に影響を与えることは、ほぼ確実で、文体が、硬くなる…のは、いたしかゆしな、ところです)

そんな小さな葛藤はあったものの、とにかく、大学院で研究しつつ仕事ができたこの半年(正確には4か月)は本当に貴重で楽しいものでした。指導教官の先生、ゼミのドクターコースの皆さま、ドクターの方、皆さん、本当にありがとうございました。

早く論文を書くことよりも、きちんと考える時間と相手を得られることの方が、だんだん大事になってきています。仙台を拠点にしていると、自宅そばに、知の集積組織である東北大がある、という地の利もいかせて、すぐれた成長の機会をいただいています。人や環境に感謝!


(ああ、それにしても、夏の間は、缶詰めで仕事したら、早朝・深夜は博士論文の為の、予備的な小論文をかかないと。カヤック留学時のことを参与観察的な観点で「創造する組織とブレインストーミングのパフォーマンスの関係について」的なものにしてみたいと思っています。できるかな。いや、やろう。質は問わずに、まずは、着手します。)


今日のゼミの文献はこれでした。

 一般社会システム論 検索する
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「社会システム」を論じるときの基本視座を得られます。物事をみるための基本的な知性、というべきでしょうか。良い本です。そして、読むのは結構大変。飛ばし読みが効くような代物ではなく、がっちり時間をとって読みたい本。



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