2012年03月17日

アイデアの質の構造(413のネーミング案)

先日、ブレインライティング手法を体験してもらうために、ある文具(ちょっとマニアックですが私が好きなギミックな感じのあるペン)のネーミング案を発想してもらいました。

その結果を、掲載します。

■ハイライト法の結果

ハイライト法の結果_20120316.jpg

ます、人数は、8人×3グループ(若干、揺れがあります、たぶん合計で23人です)。

時間は1行90秒ずつ(なので、所要時間は10分弱)。アイデアの総数は413個。(414個のはずなので、一つだけ、未記入もしくは紛失と思われます。)

アイデアを出した後、魅力度の高いものをグループ内で付けてもらいました。その結果が上の図です。

☆5=4アイデア (1%)
☆4=12アイデア (3%)
☆3=12アイデア (3%)
☆2=48アイデア (11%)
☆1=86アイデア (21%)
☆0=251アイデア (61%)

平均的なブレインライティング&ハイライト法に比べ、インプット時間も短く、発想時間も短く、かつグループのサイズが大きかったということもあり、少なめの評価ですが、大体、全体に対する☆の多さの構造としては、適正な結果になっています。

実際のアイデアも添付します。なお不道徳なもの、正しくないもの、もアイデア発想の幅になりますのでOKです、としました。チェックしたところ、公表するにはぎりぎりかな、というものもありましたが、それも含めて掲載します。

20120316_413ideas_.pdf

「おっすくん」とか「瞬書」とか、あるいは☆の低い所でも、「マンモスの牙」とか、なかなかおもしろいのがありますし、短時間で出し尽くすところまでやるので、もう無理やりとになく、思い浮かぶものを吐き出したのがわかるものもありますが、それでいいんです。

一つの製品に対して、玉石混合でも400近いネーミング案を出すとそこから数個は、いいものが出てきますが、今回もそういうケースになったと思います。
 
ご協力いただいた皆様ありがとうございました。


発想の題材にさせてもらった文具

■ ワークダッシュ

ワークダッシュ.jpg

握ると、ペン先が出る。
ネックストラップなどに着けられて、かちっと、ワンタッチで外すことが可能。
 

2011年12月25日

「Business Model Canvas」

「ビジネスモデルキャンバス」




Customer Segments(顧客)

Value Propositions(提案する価値)

Channels(チャネル、価値をお客へどのように届けるか)

Customer Relationships(顧客との関係)

Revenue Streams(収益の流れ方)

Key Resources(キーとなるリソースは何か)

Key Activities(キーとなる活動は何か)

Key Partnerships(キーとなるパートナーは誰か)

Cost structure(コストの構造)


※音が出ます 2分20秒




 ・・・

ビジネスモデルキャンバス、これは、『 Business Model Generation 』に出てくるビジネスモデルを作るためのツールです。

  


昔、目の良い友人が外国で見つけて買ってきたのを見せてもらったのですが、最近、このツールの話を国内でもいろんな場面で良く聞くようになりました。そういうトレンドをみるに、来年の夏とか冬には、このツールが、広く知られるような気がします。

これは面白い構造をしています。

両脇に、顧客と仕入れ先(正しくはパートナー)があり、中央に自社(というか、製品、ただしくは、顧客への提案価値)があります。両脇とは、2つのパスでつながっています。顧客とは、物流とカスタマーリレーション、パートナーとはキーとなるリソース、キーとなる活動(この辺は、イノベーションの占有可能性にでてくる、4つの要素の一つ”補完資源”の考え方にも通じるものがありますね)があります。そして、自社と顧客の土台に、収益の流れがあり、自社とパートナーの土台に、コストの構造がある。

シンプルですが、綺麗に多くのモデルを説明できる枠組みがあり、これをもちいて、アイデアをビジネスモデルに展開してくのは、一人でも楽しそうですし、ホワイトボードに書いてみんなでワイワイ言いながら埋めるのも楽しそうです。

(と、おもって検索してみると、Game Stormingにありましたね。)

この、「キャンバス」、PDFが公開されています。

http://www.businessmodelgeneration.com/downloads/business_model_canvas_poster.pdf

プリントアウトしておいて、あるいはiPadに入れておいて、「あ、このアイデア、ビジネスモデルに展開するとどうなるかな」と長い移動の間にでもアイデアを具体化してみるのに、使おうと思っています。

日本ではいま、新しいものを創ることが、とても必要になっているように感じます。これまでもそうでしたが震災の後その傾向が強くなったと私は仕事柄感じるのですが、ものづくりの発想は、良い手法がいくつもありますが、ビジネスモデルの方になると、簡単に楽しく発想という路線で行けるものは、ちょっと少ないのが現状です(無くはないし、本格レベルになればいいものはいっぱいあります。古典ですがスライウォツキーなんかもいいのですが)。その中で、この「ビジネスモデルキャンバス(の本である、ビジネスモデルジェネレーター)」は、広く活用されそうに思います。
 

2011年12月13日

「はてな」の近藤淳也さんにお会いしてきました

京都、烏丸御池に滞在しています。宿(ハートン)のすぐ近くに、「株式会社はてな」さんがあります。

面白い企業のアイデア出しのプロセスを伺う、というのが私の創造工学の研究上、常に必要で、面白い企業、はてなさんのアイデアワークのやり方、伺いたいなぁと思っていました。

先月、仙台に近藤淳也(jkondo)さんがいらしていて、その時に「今度、京都でお昼でも」ということで、念願かなって、今日、お伺いしてきました。

kyoto_DSC01380.jpg

烏丸御池駅から近いところに、一階が7-11のビルがあり、そこの上の方にはてなさんが入っています。

kyoto_DSC01381.jpg

9階が受付のようです。ちなみに、仙台の企業、サイエンティアさん(宮城の愛すべき巨人が努めている会社)もこのビルに入っておられるそうです。

kyoto_DSC01385.jpg

近藤さん。多忙な方だと思いますが、ゆっくり時間をとっていろんなお話を聞かせていただきました。

基本的に黒い服がお好きなのかなぁと思いました。僕自身が、黒をよく着るので、ふと、本題と関係のないことに興味がいったり。

kyoto_DSC01383.jpg

大変恐縮なことに、はてなさんの社内ランチを、私たちも頂戴してしまいました。とっても美味しかったです、ありがとうございます。なお、一緒に、シリコンバレーのSVJEN代表の桝本さんとその会社の方も伺いまして、近藤さん、桝本さん他お二人、及び、石井の5人で、2時間ぐらいランチをはさんでいろんな話をしました。

kyoto_DSC01387.jpg

私が特に、興味をもって伺いたかった、近藤さん流のアイデアワークのやり方。その時のお話について言及することに許可をいただいたのですこしメモしてみます。

ただ、正確には聞き取れていないかもしれません。そういう前提のメモであることをご了承ください。

■アイデア出しのやり方(はてなさん)
  1. 課題や目標を説明してもらう。
  2. 15分間、Thinking Time。黙って、アイデアを書く。(書くことの良い面。時間を切られることの良い面。勝負っぽさ。追い込まれ具合)
  3. 各自5分ずつ、プレゼン。(例えば、A案、B案、C案、のように説明。聞き手がわーっとなったり、あまり反応が無かったり。良いアイデアの感触が分かる)
  4. アイデアを、一歩具体的に。各自が好きなアイデアを画面遷移の絵に書く。(テキストじゃなく、絵で書こう。絵画を書く前に、文字でその絵画の案を書くことが無いのとそれは同じ。スケッチ大事)
  5. 描いたものをプレゼンする。(プレゼンしている間にアイデアが具体化したりも)
  6. これ(※)を3回する。(※発想し書く・描く⇒プレゼン、のサイクルを、3回回す、という意味でおっしゃったと文脈的に思われます。ここは厳密に聞けませんでした。インタビューの話しの流れをとめすぎるので)
  7. モックを作る。さらに多い人数に見てもらう。


こうすることで、短時間でとても具体的に面白いものができる、とのことです。上記はフルバージョンであり、時間に応じて部分的に実施したり変更をするものであるそうです。

その後、創造工学の周辺的なトピックにからませて、関連する技法や創造の特性に関する話を私からもコメントさせてもらいました。(スピードストーミング。アイデアスケッチ&ハイライト法。集団発想→個人発想、のフェーズは個人→集団、よりもよい効果があること。即興劇。ブレストの4つの阻害要因とくに生産性ロス。創造的ドロップアウト。などなど。)

kyoto_DSC01388.jpg

また、近藤さんが、最近目にした面白いアイデア出しのプロセス例として、startup weekend http://kyoto.startupweekend.org/ の話しを教えてくれました。面白いプロセスでした。

■アイデア出しのやり方(sw)
  1. ビール、ピザをみんなで楽しむ。
  2. 10チームに分かれる。皆でキーワードを出す。二子セレクト。それを組み合わせて即興で、仮想会社のビジネスモデルを作る。(偶然の妙で突飛なものも出たりする。それでバカなことを言ってもいいんだ、という空気が醸成され、場があったまる)
  3. 効果的なピッチ(極めて短いプレゼン)の仕方を学ぶ。
  4. 提案したいアイデアを希望者がプレゼン。30人が登壇。
  5. その後、提案者はアイデアを旨の所に掲げて会場で大きな輪になって立つ。参加者は自分が参加したいところにポストイットを張る。人が欲しいと思えば、一生懸命アイデアを提案者は来た人に説明する。
  6. 人が付くところ、つかないところがある。30人いても、チームは10に絞る必要がある。人が付かない所は次第に提案者を降りて、自分もどこかへ入っていく。(明るく楽しいやり方で、実際はサバイバルという厳しい作業を、実行できている、面白いやり方)
  7. 各チームでやっていくが、話していくとアイデアがどんどん変わっていくところもあって面白い。


追記:

この件について、近藤さんから、情報を頂きました。

Startup Weekendについては、新しいブログの方に少し書いています。よろしければあわせてご覧ください!http://jkondo.hatenablog.com/entry/2011/12/03/105147

近藤さんのはてなブログを拝見すると、写真と動画でその様子がリアルに読み取ることができます。面白いイベント構造で、とっても楽しそうです!



後は、近藤さんが、最近温泉に行かれて、その車の中での発想がなかなかよい、という体験も教えてくださいました。

この辺からはインタビューというよりも、私の方でも出来る限り知っていること、関連するトピックを紹介させてもらいながらの話になり、例えば、楽器の練習、ほろよい、徹夜、ウォーキングなど、頭の一部を少しだけ使うような軽作業や、脳の一部を使っていて判断が甘くなるるような場面では、創造と判断でいえば判断の遮断機があまくなる、アイデアを出す時に見られる一種の退行状態「創造的退行」と呼ばれる概念があり、高速道路での車の運転のような、一定の軽作業をすることと創造性の発露に関する話や、東大のイノベーションゲーム、と呼ばれる新技術カードの組み合わせによるベンチャープラン提案と、オーディエンスが投資チップを持ってて、収益最大の所に真剣にかけるとなると、結構アイデア段階でもシッカリ評価がなされたりする、そんな事例が思い出されます、みたいなお話をさせてもらいました。

はてなさんの規模まで大きくなっても、社長自らが、アイデア創出の推進を実際にされていて、いろんなアイデア生成に対するやり方に興味を持っておられるのは素晴らしいと思いました。趣が違いますが、東の面白い会社である「カヤック」さんの中での発想、創造のプロセスや、創造的土壌のテイストもまた違ったところ(共通するところもあります)が興味深いと思いました。その辺は、簡単にことばにするのは、あまりに乱暴で不遜な行為かと思いますので、私の中で、また一つ、創造する組織への着眼点の1つとして、持っておくにとどめたいと思います。

はてなの皆さん、近藤さん、おいしいランチと、貴重なお時間・お話を下さって、ありがとうございました。また、同席された桝本さん方にも貴重なお時間をたくさんとっていただき、ありがとうございました。

注:

本内容は、私がランチを食べながら、話し会いメモしたものをもとに、やや石井の中で補って書いております。事実と違うことが多分に含まれている可能性があります。創造する組織のいち側面を垣間見るヒントの一つの参考情報、ぐらいに見ていただけましたらば、幸いです。
 

・・・

 株式会社はてな
 京都市中京区
 http://www.hatena.ne.jp/company/profile
 

2011年06月27日

【余談】こけしの絵付け『入魂の木地師』

魂を込めていくような作業を、創造の観点から、いろいろと調べています。
先日東北大学の図書館に貴重文献を調べに入りました。目的は、仏像の彫刻の制作過程。「鉈(なた)彫」や「立木仏」を木から掘り出す時の心理様式を詳しく知りたいと思い。

その時、近くの棚にあった本を思わず読みふけってしまいました。

こけし。

今まで興味を持ったことがなかったのですが、こういう一文に出会って、引き寄せられて読んでいきました。

kokeshi_004.jpg

この本の中ごろには、とある特徴を持ったこけしの顔が何ページにもわたり、フットノート部分にありました。

kokeshi_005.jpg

この本は、

kokeshi_001.jpg

という本で、既に絶版、多分、かなり小規模の販売だったのではないかと思うのですが、真摯に取材して、かなり踏み込んだ職人の世界への言及がありました。

「こけし」と一口にいっても、

kokeshi_003.jpg


当時、10のタイプがあったそうです。(1989年の本なので、現在はもっと分派したり、あるは統合がすすでいるのかもしれません)

こけし、を巡って強烈なマニアが、名工の作を、競うように手に入れているというのをしり、強烈なファンのいるというのは、芸術や創造が深まる1つの条件かもしれない、という仮説を想ったりしていました。

創造ツールを作る私としては、次のページには、やはり興味を惹かれました。

kokeshi_006.jpg

こけしの絵付け。

クリックすると拡大します。

これを見ながら、しばらく、iPadのZen Brushで、こけしの絵を描いてみました。手順通りにやると、なるほど確かにこけしらしくなる。何度も書いていると、手本通りには書けなくて、我流になる。不思議なもんだなぁと。

―――

伝統芸能の世界はその蓄積がふかく、創造の観点からは非常に興味深い、人間の能力の発露が垣間見られます。

時間がある時には、また、大学図書館で、仏像の彫刻をする職人やその修理をする人の世界を調べてみたいと思っています。

「芸術的な創造」と「産業的な創造」。

この2つは、かなり根っこの部分から違うものがあり、それらを未分化に融合しながら我々は創造を議論し、創造という行為をなしています。それでいいのですが、私はもっとその部分について知りたいと思っています。創造工学、という、アプローチを超えて、もっと、クリエイティビティーの闇の中を進んでいきたい。最近、切にそう思うのでした。


■仮説的なメモ

多分、ですが、産業的な創造、も、その限界点を突破していくと、芸術的な創造の領域に突入する、と思うのです。

人の、創造への学びも然り。

「アーティフィシャル(人工的な)な創造プロセス」を、知り、体験し、繰り返し、独自化していく。その先には、独自の創造という「アーティスティック(芸術的)な創造」がある、のではないかと考えています。

とはいえ、何にも師事せず創造的な芸術家が登場することもあるわけで、創造という非常に有機的な道は、1つではなく。

2011年04月06日

完璧を待たず、進んでまた創造せよ

イマジネーションに秀で、ブレインストーミングをつくった、アレックス・フェイクニー・オズボーンは、その著書でこういっています。

『しかし、完全主義には用心しなければならない。まあまあのアイディアを実用するほうが、良いアイディアをさらに磨いているのよりははるかに利口である。質を向上させるものは量である。自分のアイディアに対する批判の態度が度を過ぎると創造力が萎えてしまうが、試案をつぎつぎに重ねれば創造力も高まってゆくのが』
 −創造力を生かす P258 −

これは、ここまでの250強のページまでのまとめをしているページで、アイデアを磨く部分と批判力のことを述べているくだりです。アイデアを鍛えよといいつつも、どこまでもアイデアを磨くよりは、早く試して実用的にしていくことを進めています。完璧主義的に、ずっとそこにいないで、進んでまた創造して。これを薦めています。

今風な言葉でいえば、デザインシンキングにおけるラピッドプロトタイピングに近いでしょうか。あるいはアントレプレヌーリアルマーケティングでいうところコンセプトテスト(〜店頭での複数価格でのアンケート)にも近い姿勢だと思います。

2011年03月30日

創造的な試みが徐々に歩一歩と進められてゆき、ほんのちょっとした幸運が成功への道程を早める


アレックス・F・オズボーンの著書より、引用します。創造に関する珠玉の言葉、が実にたくさんあります。(中には一見矛盾したように見える言葉もあります)

「啓示(※ひらめき)を得る一法としては、十分時間をかけること、であり、それには少しでも早く取りかかることが大切である」

※ここでは、オズボーンは、啓示を”ひらめき”に近い概念で使っています。しかし、ひらめきだけでなく、天啓にちかいものも前後の文章のニュアンスとして含んでいます。

「仮眠が役に立つのだから、夜の十分な睡眠がもっともよいのは当然だろう。しかし、あまりそれにとらわれて目がさめてすぐにまた取りかかると、かえって良いアイディアを失うことになる。のんびりと朝食をすませ、少しぶらぶらして、夜の間に芽ぶいた啓示のつぼみが咲き切ってしまわぬうちにあわてて摘み取ってしまう軽挙を避けるべきだ」

「いついかなる場合でもアイディアを書き留めるべきだ」

「あとでそのひらめきを書き留めたり完全に思い出したりしようと努めても、無残な失敗に終わるだろう」

「潜在意識がほのめかすものをすぐつかまえなさい・・・いつでも書き留められるようにノートを必ず持っているべきだ」

「この無意識の働きは、ある期間意識的な努力をしたあとでなければ決して実を結ばない」

「最も幸運な偶然は、何も特別に追及していずにただ創造的に油断なく身構えているだけの時に得られるものだろう」

「偶然自体はほどんど解答にならない。それを最後まで追跡するならばよい結果に導く、という意味で価値があるのだ」

「創造的な試みが徐々に歩一歩と進められてゆき、ほんのちょっとした幸運が成功への道程を早めるのだ」



そして、オズボーンはこうも書いています。

「啓示は気を抜いている時にやって来るものではあるが、それには前もって努力を重ねておくことがどうしても必要である。知的努力を怠る楽天家の欠点は、啓示を過大評価し努力を過小評価することである。」

「ある目標の達成が困難と見たら、他のものに変えてみたいという自分の自然な欲求に身をまかせるべきだ。これは特に創造的な仕事において大切である」



ちなみに、さらに面白いなと思うのは、インプットに関する側面でこう語っているところです。

「音楽は啓示を引き出す働きもある」

「啓示を促進するにはヨガの行を取り入れることをすすめ・・・(中略)・・・沈黙の期間を維持すること。一時間、何も読んだり見たりせず、じっとすわって沈黙しているのだ」

「創造的な人々は大抵、創造的な仕事に取りかかっている時の気晴らしとしては読書は望ましくない忠告している」



創造的に身構えること。創造的努力を一歩ずつ続けていく事。偶然に幸運がぶちあたってくるための表面積(様々な試し手や遊び)を拡げる姿勢でいること。創造活動の中で気晴らしするとしても、ある程度促進するものと妨害するもの、がある事を知る。それが創造する人や組織に大事だと、私石井も思います。

2011年02月08日

ガニェ、9つの教授事象

教育工学の本を、思うところがあり、HDDから読み出して読んでいました。

その中で、ガニェ(インストラクショナルデザインの祖)の「9つの教授事象」というページに目が行き、何度も読んでいました。

人は如何に学ぶか。その観点から、教材、講義コンテンツを設計するためのノウハウとなるものが、沢山ありました。

文字で引用すると、丸ごと引用したくなるほど面白い内容でしたが、自分なりに「絵」にしてみました。

ideaplant2011_DSC07121.jpg

文字も、漢字一文字で。

ideaplant2011_DSC07122.jpg

理解しながら読んで、それを「絵」と「漢字1文字」でアイコンにしました。

(書いてから4時間たちまちたしたが、どの程度思い起こせるか、書き出してみます。)

━━━━━━━━━━━━━━
注意を引く。
目指すものを示す。
前提条件を呼び出す。

新しい要素を与える。
考え方の指針を与える。
練習の機会を与える。
フィードバックを与える。

テストして評価を与える。
保持と発展を与える。
━━━━━━━━━━━━━━

正しい表現と詳しい解説は、「ガニェ、9つの教授事象」で検索すると出てきますので、
http://www.google.co.jp/search?rlz=1C1AVSW_enJP367JP368&sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%82%A7%E3%80%819%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%95%99%E6%8E%88%E4%BA%8B%E8%B1%A1
などでぜひご覧になってみてください。

導入、展開、まとめ、という構造でいえば、初めの3つが導入、次の4つが展開、最後の2つがまとめ、となるそうです。

この9つは、ARCSモデルとも、似ていますね。

こうしたことも意識して「知を楽しく学ぶ」するコンテンツを作っていきたいと思います。


2010年11月12日

XB(クロスビー)の専門家に会いました

11月7日。東京は恵比寿で、XB(クロスビー)の専門家、三澤直加さんにお会いしました。

XB(クロスビー)は、eXperience Brainstormingの略で、アイデア発想法として非常に面白そうだと思い、以前から、この手法に興味を持っていました。

三澤さんの勤めるU'eyes Design(ユーアイズデザイン)のWEBサイトから、概要説明を引用します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
XB法 概要 

XB法では生活者の「感動エピソード」400事例から抽出した、「感動メカニズム」を使ってアイデア発想を行います。展開したい商品像に、感動メカニズムをかけ合わせることで、新しい商品の新しい感動体験を発想することができます。やり方は、専用の記入シートに書き込むだけ。90分あれば1人1人が新しいアイデアを生み出すことができ、一般的に行われているブレストよりも、効率的かつ刺激的にアイデアを発想することが可能です。

http://www.ueyesdesign.co.jp/service/service_xb.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


感動という要素を持つ商品を考案するためのブレインストーミング。今の時代に必要な、おもしろい手法が誕生したなぁと思っていました。

私は、新しいものに接するときに、肯定的心構えで見るようにしていますが、その一方で、慎重に、多面的に対象を見る、ということも大切にしています。その意味では「感動エッセンスのある商品を効率的に発想させることができるのかなぁ?」という慎重な態度も同時に持っていました。

それで、実際にどうだったのか?

道具を拝見し、発想プロセスを実際に体験してみて、XBは優れた商品アイデア発想の方法だと思いました。

発想プロセスは、上記のURLから詳しいものを見ることができます。

使われているカードもまた魅力的なので紹介したいところですが、同社のノウハウ部分でもあるので、加工(フォーカスなし加工とセピア化)した小さい写真を載せるにとどめておきます。

101107card.jpg



アイデア発想法の分野には、長く残っていく手法に見られるいくつかの特徴がありますが、XBもそうしたものを持っていました。

簡単に言いますと、
  1. 「手順の洗練度」
  2. 「発想を促進するコンテンツ」
  3. 「新しい有益なアウトプット」
という3つのポイントがありました。

長くなりますが、以下、書いてみます。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まず、手順の洗練度。
「シンプルな手順で、発想の特性の本質的にアプローチしている」という特徴を持っています。


創造に関する思考の一つに「アブダクション」という頭の力があります。ごく少ない情報から、その間や外側を補って全体を想像するような力。あるいは、仮説生成能力とも呼ばれます。本当に優れたアイデア発想技法は、非常に少ないステップで、アブダクティブな推論が自然と起こるような仕組みを持っています(たとえば、フレドリック・ヘレン氏の「はてなタクシー」、エジソンなど発明家の思考様式を単純化したTRIZの「9画面法(9windows)」など)。

このXBには、独自の視点で、シンプルな発想の手順を持っています。
(テーマ設定⇒発想フレームワーク選定⇒アイデアのパーツ生成⇒3要素の選出⇒アイデア創出と発展)


次に、発想を促進するコンテンツ。
「発想の引き金となる、適度な粒度のフレーズのセット」を持っています。


発想を引き出す時、白紙から何を考えてもよい、というのはイマジネーションの力を働かせにくいものです。そのため、発想技法には、効果的に発想を引き出す「テーマ設定技法」や、「アイテマイズ・レスポンス」(項目立てて、発想していく方法。フレームワークやチェックリスト法などもある意味これに含まれる)などが存在しています。アレックス・F・オズボーンの言葉を借用すると「選択的集中力」を働きやすくする仕掛けとも言えます。(オズボーンのチェックリスト(詳細版)など)。

XBには、興味深いことに「フレームワーク」と「チェックリスト」の2つにまたがる形で、ブレインストーミングを促進するコンテンツを持っています。


そして、新しい有益なアウトプット。
皆の知識を有効に使い、相互作用させ、優れたアイデアを創出しています。


ブレインストーミングから得る「創造的なアウトプット」とは何か。これについてCPS(A・オズボーンの手法の流れをくむ創造技法)の中に出てくる定義(「創造的」=「新しい」+「有益」)に準じて、私は次のように定義しています。「創造的アウトプット=新しく、かつ、有益な、アウトプット」。創造的アプトプットの有る無しが、技法を「実践的」と「訓練用」に分かちます。(例えば、はてなタクシーは実践的、30サークルズは訓練用、など)。

XBファシリテータは、巧みにプロセスをガイドし、短時間で皆の知識を引出し、組合せ、創造的な(新しく有益な)案を皆に発想させます。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

三澤さんのXB法についての研究会での発表スライド( http://www.slideshare.net/Naoka/xbux-smf090807 )や、デザイン的な日常の話題が面白い三澤さんのブログ( http://do-gugan.com/~misawa/archives/2009/07/ideo.html )を以前ネットで見かけて、面白そうな場を予想していたのですが、想像以上に、楽しい、効果的な手法でした。

モノづくりや企画系の企業において、研修や実際のプロジェクトとして、この手法は大きく役立つでしょう。もしご興味があれば、同社のサイトをチェックしてみてください。






さて、ここからは、少しトーンを変えて、実際の様子を、紹介したいとおもいます。

しかし、長くなりました。

ここで一度、紙面を分けたいと思います。


XBの専門家に会いました(後編)
「居酒屋の壁がポストイットで埋まっていく飲み会」

に続きます。


ishiirikie_blog_DSC04012.jpg
三澤直加さんとポストイット



参加者の方のブログに記述がありました。
先に紹介しておきます。


「第一回XB法飲み会(クロスビア)」に参加した。
http://d.hatena.ne.jp/cha-cha-ki/searchdiary?word=%2A%5B%BF%CD%B4%D6%C3%E6%BF%B4%5D






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