2023年11月25日

日本創造学会の研究発表大会で3つの登壇(パネルディスカッション1件、研究発表2件)を行いました。

2023年9月30日と10月1日に開催された日本創造学会の研究発表大会では、私石井力重は、パネリストとしての登壇と2件の研究発表を行うという、通常よりもかなり多い登壇〜発表をしました。
(私の学会経験の中では、過去最多で、多分これが最多だと思います。2つの研究を同じ年にするのはかなり大変でしたが、その2つは車の両輪のように、両方、今、大事なものでしたので。)

創造性教育と生成AI:教育における新たな地平

パネルディスカッションでは、創造性教育と生成AIの組み合わせがどのように教育の未来を形作るかについて議論しました。私は、生成AIが創造的思考を促進し、学習や研修のプロセスを変革する可能性についての見解を提供しました。

直観力の研究:創造性の源泉

直観力に関する私の研究発表では、直観が創造的思考において果たす役割とその重要性を先行文献からまとめ、現代の各業界のイノベータ―4人のインタビュー調査から得られた直観力事例を報告しました。最後に、直観力を育成し活用するための方法論に焦点を当て、今後の方途を提案しました。
( 発表論文:20231001_intuition_ishiirikie.pdf )

生成AIとアイデア創出:40枚のカード

生成AIを活用したアイデア創出のテクニックを40枚のカードにまとめた事例の発表も行いました。これらのカードは、創造性を刺激し、多角的なアプローチで問題解決に取り組むためのツールとして開発されました。
( 発表論文:20231001_AIcard_ishiirikie.pdf )※なお、学会の発表要綱集にはこの論文の後にすべてのカードが掲載されています。


生成AIカードに対する反応と影響

私が発表した生成AIのカードは、その後、多くの参加者や研究者から高い関心を集めました。これにより、さまざまな分野の専門家とのディスカッションの機会が生まれ、新しい協力関係や共同研究の道が開かれる可能性が高まりました。これらの交流は、私の研究と生成AIの応用に関するさらなる洞察をもたらすことでしょう。

お問い合わせのご案内

石井と直接面識のある方で、今回の発表内容にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽に私のメールアドレスまでご連絡ください。皆様からのフィードバックや質問、さらなるディスカッションの機会を心より歓迎します。


(ここからは人力執筆します。)

上記は、石井の活動のファクトを生成AIに伝えて、まとめてもらったものです。
さらりとして、読みやすいですが、文体が石井文体からは遠いので、ちょっとこそばゆくもあります。
しかし、今後は、人力執筆より、AIの作文補助が普及する世界になり、文章表現は整ったものが増えるし、速くなるでしょう。
事実、この報告記事を人力で書こう、書こう、と思っているうちに、10月が終わり、11月も終わろうとしていて、これは早く報告を書かねば、と思い、AIに大半を記してもらう記事としました。

こうして編集後記的に、人力執筆を付ける、のがこれからのブログスタイルになるのかもしれない。そんな予感がします。

さて、忙しくなるのにどうして2件も研究発表をしたか、を余話として綴ります。

生成AIが創造性の平均レベルまでは既に人間水準(を少し超える)レベルになっています。北欧の研究論文がこの夏にありました。次のようなものです。創造性テストを人とAIが行い、どちらのものかを知らない判定者が創造性を評価する、という研究方法です。あるものの意外な使い道を考える、というテストで、創造性のテストの一つのスタイルです。さて、その結果は、人間の平均値よりもAIの平均値が高い、というものでした。ただし、最高得点は人間の回答でした。
・・・ということとで、実はもう、平均値レベルの創造性なら人が下手に考えるよりAIにさせたほうがいい、ただトップ水準のものは人間が出すしかない、という状況になっています。みんなが何となく予想している未来のポイントの一つは既に、この夏に通り過ぎちゃった、わけです。

創造性の研究者からみると、創造性は未踏の闇が深い学問領域です。いくつかの地点が照らされて明るくなっているのですが、深い闇がまだ多い。明るいところはメカニズムが分かっていてプロセスが技術出来るので人間と同様AIにもそれっぽいことができてしまいます。ゆえに、いままで研究しにくかった暗い領域に人は踏み込まねばならない時期にきました。

その一つが直観力です。直観力研究は非常にとらえどころないもので、定性的なことをするのがせいぜいなので、今まで研究対象としてはちょっと避けてきたわけです。AIがぐいぐいっと人間のミドルレベルまで登ってきたことで、この「直感と直観」の力をもっと解明して、人々がもっとその力を発揮する知見を整えていく必要が出てきました。

そうしたわけで今年は、「AIとアイデア」のことを限界まで調べてみる、ということをしつつも、一方で極めてあいまいな「直観力」のことも調べ始めた、という「車の両輪」のような感じの研究構成になりました。

創造性の研究者は、晩年、禅、とか、仏教の概念を多く使うようになるんだ。ちょっとのその時代の文献になると理解しがたくなってくる。僕はそっち側に行かないつもりーー、と若かったころに友人に話したことがあります。当時は若すぎて「再現性のある、多くの人に論理でわかってもらえる創造技法」を志向していました。今もその基本スタンスは変わりません。
しかし、それだけでは、AIに端から端まで全部代替えされる未来がそう遠くない時代にくる。予想していた未来が一足飛びにやってきた感じです。

優秀なビジネスパーソンやエンジニアや研究者が「直観〜直感」をより発揮するために、何をすべきか、何かやめるべきか、を恐る恐るではありますが、石井も研究していこうと思います。

いずれにしても遠くに見える北極星はいつも同じです。
人々が本来持っている創造力を意図的にもっと発揮できるようになる、その支援を全力でしよう、と。
AIがアイデア発想法の大半を代替えしてくれるなら、その土台の上に立ってさらに高くジャンプできるように、礎(いしずえ)となろう、と。

(最近では、禅寺をたずねたり、沖縄ヨガ協会の代表の方とディスカッションしたり、今帰仁でビーチ瞑想を体験したり、と、体感としてそういうものを、まずは知っていく、という事をしています。まずはつかる、というところでしょうか。)

以上です。

AIは世界を変える。創造性の世界も例外ではありません。脅威と見る向きもありますが、私は「人機共想(人とAIが共に発想していく)」未来がさらに世界を豊かにすると考えています。これからのクリエイティブの在り方がとても楽しみです。

JinKiKyoSo.png

2022年11月13日

【研究発表の資料】創造的休憩 〜ブレインストーミングの休憩時に何をすると、創造的思考にプラスになるのか〜

11月13日の、創造性の学会で、ブレインストーミングをめぐる研究を報告します。

要綱集のQRコードからこのページにおいでくださった方、ようこそ。
要綱集に載せきれない研究の詳しい資料をここに置いておきます。

学会発表2022石井力重_.png



■要綱集(ポスター1枚)

ポスター発表_2022_石井力重_07.png
PDF



■発表動画(8分)





■スライド

PDF

(発表スライドの後に、発表動画の中で紹介しきれていないデータも、付録があります。)





===Infomation ===

今年の幹事校は慶応大です。



==研究よもやま話==

以上で、研究者としての報告は終わりですが、学会の夜の懇親会のような余談を気ままに述べてみます。

以前は「全員がリモート環境にいるブレスト実験環境」を形成するのは非常に大変でした。
機材用意コストがかかり、さらに、リモート会議ツールに習熟した被験者を集めることが大変でした。
集められても「ITツールに精通した人たち」という特殊な偏りを持った被験者にならざるを得ませんでした。

それが、コロナで一変しました。
リモート社会になったために、リモートのブレストにまつわる実験を容易に企画することができるようになりました。

多くの人にはコロナは「禍い」でしかなかったわけですが、リモート基盤が一気に整ったという面では、この数年は日本にとって大きな進化の時でもあったとも思えます。
『禍福は糾える縄の如し。』ーーもしも、コロナに「福」と言えるものがあれば、そこであろう、と私には感じられます。

大半の組織が、リモートで重要な会議をすることが、承認されました。
コロナの残していく(多分、唯一か、数少ない)福(の一つ)でしょう。

●新しい可能性

ブレストを”リモートの方がより良くできる”可能性を、ブレスト研究者たちは、今、見定めようとしています。

今回の研究は、ブレストの間の休憩時間、という一見、オンラインも対面も大差ないような要素に見えますが、集団の知的生産の合間に、完全に一人になれる状態を容易に実現できる、という点が強く効いています。その点では、オンラインの恩恵がもたらした研究結果でもあります。

PCの外にあるもの。

それに目を向けると、リモートブレストのもつ潜在的な可能性は、まだまだ、解明されていないことがあるように、感じます。

この後も、来年も、その先も、ブレストをより創造的にする研究を、続けます。

日本創造学会は、研究者以外にも門戸を広く開放した、自由な雰囲気の学会です。
ご興味あれば、一緒に、ああでもないこうでもない、とブレスト研究のブレストをしましょう。

石井力重(日本創造学会・理事)

2021年11月14日

【研究報告】オンラインとリアルのブレストの比較【スライド&動画】

2021年度の研究成果を、掲載します。
(本資料は、日本創造学会の2021年大会にて、発表したものをベースにしています。
その発表スライドの体裁を少し修正したものです。
動画の発表音声も再度録画したものです。)


発表スライド


PDF版は こちら(ウイルスチェック済み)




発表動画

19分ちょっとあります。
再生速度を「1.25倍速」で見ると時間節約になります。





発表論文

論文(予稿集の掲載論文)はこちら





内容の要点

本発表の要点_リアルに比べて、オンラインでは、「アイデア生成数」が半減する。_リアルに比べて、オンラインでは、「創造的反応」が3割減る。_しかし、オンライン側の方が、有利になるアイデアワークもある。_オンライン側のアドバンテージ、「創造的孤独」環境をうまく使う。





((研究者余話))

今年は、コロナの猛威と共存する社会でした。長崎大学は先進的で、オンラインとリアルに生徒を半々にわけ同時に授業酢する、という講義スタイルをとっており、非常に貴重な研究条件が得られました。
コロナ前にもコロナ後にも、この実験条件を作るのは難しいです。
ですので、この比較データは、ぜひ社会に共有したかったもので、ようやく報告できました。

2021年の11月段階では、第5波が収束しきるようなコロナの終わりが遠くに見えている状況です。
第6波があるのかどうか、まだわかりません。
しかしどちらにせよ、「オンライン化」はいずれそのウエイトを高めます。早いか遅いかの違いはあれど。
その際に、この辺の知見は、チームを率いて創造活動をするクリエイティブ・リーダーには、役立つでしょう。

「オンラインでするブレストのアイデア数は、リアルの54%ぐらい」なのだ、というのを目安に持っていれば、いろいろと対処を先に講じておくこともできるでしょう。

また、「不慣れな作業、高度な思考作業をする段階では、顔出しを強制することで、効率が下がる」という考察も、オンライン・プロジェクトやオンラインの企業研修をされる方に、役立てば幸甚です。


(最後に)

この研究も、不完全なものです。
実践では異なる結果や新しい発見もあるはずです。
そうしたデータがあればぜひ、ご指摘ください。
そうしたものも含めて、より良い社会価値となるように、発信していきたいと思います。

皆様の創造活動が社会をより良くされることを、いつも心から願っています。石井

2020年11月01日

【日本創造学会(2020年)】石井力重の研究発表【動画、資料】

ishiirikie_poster2020.jpg

2020年の研究発表の資料を掲載します。

動画発表の動画https://youtu.be/17bC9sUbY4E
動画内のスライド
ポスターポスター発表_2020_石井力重.pdf
その他の資料1
A+Cブレスト 詳細手順レクチャー(実践用)
その他の資料2
『ボード』(オンライン共有ファイル)のフォームWord 


学会情報



ご案内:

創造性の研究者の学会である日本創造学会は、42年間の大会の中でも初のオンライン開催です。
研究者の発表を聞きたいけど、参加しにくくて、という方は今年はぜひ参加してみませんか?

一般参加(=発表のない方)は、9月末まで参加申し込み可能です。 こちら

2018年09月11日

学会発表2018(大阪、日本創造学会)【if60の開発】

今年(2018)の学会発表の動画です。

※実際の発表音声。レベルが不安定で、不明瞭な部分もあります。
※動画では画面がほとんど見えないので、下(↓)のスライド動画を、なんとなく頭の中で補ってご覧ください。

※発表スライド、を動画形式で出力したもの

日本創造学会・第40回、大阪
2018年9月11日(大会期間9月10日〜12日)


今年の発表には、学会発表に使わせていただくことに同意・ご協力いただいた多くの皆さまの様子が出てきます。
皆さまありがとうございました。


Special Thanks

東北工業大学の学生の皆さん、
大浦さん、大道さん、
小川さん、
浜田さん、
OIHのワークショップにご参加いただいた皆さん

2018年06月05日

創造する組織の参与観察(アイデアプラント・レポート2009)

9年前の事です。創造する組織に、縁あって、一週間滞在させてもらいました。
その時の気づきは、私にとって、今でも大きな示唆を与えてくれます。

当時は、そこでの気づきをITmediaの媒体で連載を持っていたこともあり、媒体上で毎日綴っていました。
その記事を、レポートとして、一つのファイルに再編集しました。


22ページあります。(石井はフリーコンテンツ的な志向の強い方ですが、このコンテンツについては、取材対象者さんにも配慮して、無断転載等はなさらないでください、としておきます。)

2017年09月13日

研究発表賞をいただきました(日本創造学会、2017年、慶応大学)

先日の学会の表彰式で、研究発表賞をいただきました。

kenkyuhappyousho_ishiirikie.jpg

私は、学会から賞をいただくというのはきっと一生縁がないだろうと思っていたので、授賞式で理事長に表彰状の文面を読み上げられると、うれしくて思いがけず泣きそうになってしまい、うまく笑えませんでした。

jushofukusho_ishiirikie.jpg

学会の受賞では、文具などの副賞がつくらしい、と思っていましたが、ようやくその実物を見ることができました。高品質な皮の筆入れです。大事にします。

受賞した研究発表は、昨年の学会で発表した、nekonote開発事例、です。

創造性の本命の学会である日本創造学会から、こうして評価していただけたことを励みにして、もっと精進してゆきます。皆さま、ありがとうございました。

2017年09月12日

日本創造学会(2017、慶応大学)にて、研究発表をしてきました

創造性の学会である「日本創造学会」が、慶応大学・日吉キャンパスで開かれました。(9月9日、10日)


今回の基調講演は、あの浜口秀司さん。

産業界におけるイノベーションの達人として広く知られている方です。私はかねがねお噂は聞いていましたが、今回初めてお話を伺いました。

洞察、切り口、まとめ、モデル化、いろんなものが素晴らしく、なにより膨大なイノベーションの実績を出されていてその一部を話されただけでも圧巻でした。


二日間にわたる研究発表は多様な分野の方が、それぞれの活動や切り口で、創造という営みを分析されそれをつまびらか話されていました。


今回、私は「PPGブレスト 〜不慣れな人たち向きのブレインストーミング方法〜」というタイトルで発表しました。


スライドを掲載します。




PPGは、ペア、ペア、グループ、の略称です。

ブレストは、ブレインストーミングの略称です。


要は、グループの中で、初めにペアブレスト(6分)を、2度ほど行ってから、グループメンバー全員でブレスト(15分)をする、というブレスト方法です。


これまで、このやり方が、学校などから支持を集めていたので、今回、大規模授業でアンケート調査をしてみました、という研究発表です。


調査内容は2つあります。


一つ目。


「どのブレインストーミング方法が、もっとも効果的だと感じるか」という問いです。


答えは、「ブレインライティング」でした。次いで二位が「PPG」。

実験環境の妥当性、結果の汎用性には、限界があるものの、ここからざっくりいえることは、


〇不慣れな人たちが始期に行うブレストとしては、書き物系なら、ブレインライティング、会話系なら、PPGブレストが向いている。(可能性が高い)


ということです。


二つ目。


「PPGブレストの発想の促進となる要素は何か?」「阻害となる要素は何か?」という問いです。


記述式アンケートの回答をアフターコーディングして、得た答えは、以下の通りです。


〇ペアで話し始める気軽さ・楽しさがある。

〇他者の意見をしっかり聞ける。

〇グループでのブレインストーミングも円滑にいく。

〇一方、ペアなので多様性の面では狭い。

〇グループになった時にブレインストーミングは収束的になる。


PPGも実はいい点ばかりではありません。あらゆる技法は、長所と短所があります。

そうしたことを知ったうえで、適する場面に使うならば、きっとよりブレストを引き出すプロセスとして、活用できるでしょう。



以上です。


より詳しい記述は、スライドをご覧ください。

(なお、人物が映っている動画部分については、公開資料上は加工処理をしています。)



終わりに)


こうしたブレインストーミング技法の開発という行為は、創造学会に属する多くの先人たちの発見や、大先輩方からの示唆や情報を使わせてもらって、行っています。

そうして生み出した技法を、広く社会に使いやすい形にして提供していきたいとおもいます。

開発や調査にご協力いただいた膨大な協力者の皆さま、本当にありがとうございました。



 gakkai2017ishii.jpg





関連資料:


学会要項集に掲載した研究論文はこちら


PPGブレストについて、もっと情報が欲しい方は、このブログやネットで検索してみてください。

  




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