2009年04月19日

有限寿命の時代

人が寿命を持つ存在であるから


企業は永続することを期待される。その生産的な行為が社会にとって必要だと評価され続ける限りは。

しかし、人はいずれ寿命が来る。企業体の本質は、構成している人の労働で構成されている。どんな会社にも寿命があるのだ。人間というものが心臓部である限り。

もちろん、マインドを継承する、ということもなされるのですべての企業体に寿命があるとは言い切れない。

ただ、「プロの個人」として個人事業主を行う場合や小規模事業〜専門特化型中小企業という道を選択した場合、そのサービスがどれほど高いものを作り上げたとしても、それは、創業者の寿命とそう変わらずにその企業体は寿命を迎える。こちらはほぼ確実に、寿命のある存在である。



小さい企業の割合が増える

これから、世界経済は長期的に人口増加局面をいくが、日本は人口減少局面を非常にながく経験する。(研究機関の公表する予測では2100年頃の日本は江戸時代の人口に近い、とも)

その中では、企業が大規模・大量生産を主軸に成長を続けるトーンは弱くなり、一方で、小規模で少量の仕事でも収益の出せる小回りの利く企業体がより経済におけるプレゼンスを高める。




企業有限寿命の時代

その意味では、日本の企業体は、有限寿命の組織体である、というのが、これからの社会では当然と認識される可能性が高い。

(もちろん、現在でもそういう割り切りの考えの方もいるが、社会的には企業って、どういう存在だろう、ずっと続くものなんじゃないかな、という意識も現在の社会には少なくない)







・・・・・・


「事業の時間が有限である」

そういう意識を持つと、個人事業主で創業した私の場合は、体の健全性を保てると予測される60歳(2033年)まで、あと24年が、この事業体にあたえられた時間である、とわかる。

35歳で、プロの個人として創業した場合、
事業寿命は、24年しかない貴重な資産、なのだ。

自分で事業をする、ということは、
有限寿命である人の人生を生きることと
時間の制限がある存在という意味でほぼ同じだ。

貴重な有限の時間をもった人間が、
活き活きと生きるために
「メメント・モリ」という
いずれ来るべき終わりの時があるからこそ、
今を活き活き生きる。
考え方をもつ。

これからの企業体も、そう。

有限寿命である企業体もいずれ、その存在を終える時が来る。
だから、こそ、今を活き活きと生きる(事業をする)。

あと24年間しかない事業だからこそ、
まごまごなんてしていられないし、
今回は我慢しておこうなんて、していられない。

道がないから迂回する、と言っていられない。

進む先に常に道なんてあると思わぬタフさがあれば、
『作りながら道を行く』という思考様式になる。

もっといえば

『作りながら、その道を疾走していく』

24年という有限時間で、僕は誰よりも遠くまで
この道の先にあるものをみたい。



有限寿命の時代には、
メメントモリ、ということを意識した企業体が増える。

僕のような考え方の企業は増えるだろう。



そして、もし僕の仮説が正しいならば
彼らが、残したいと思っているものは
「企業」ではなく「意志」だろう。


僕はそれを「背中が残る」と、表現し、信じている。
posted by 石井力重 at 02:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会動向を見る

2009年01月07日

本質の時代

「先行きの不透明な、寒い時期、備えに励む体力のある人はなにをするか?」

それはたぶん、「基本スキルを鍛えておく」「本質的なものを選択しておく」ということになるんだと思うんです。

いつ見通しがきくのか分からない中では「判断保留」出来ることはできるだけ、しておいて、どっちにころんでも必要なものだけを取り入れておく、そういう心理状況になると推測されます。

今年の物事には「本質」「基本」という言葉が増える、とおもいます。


プチ予測でした。
posted by 石井力重 at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会動向を見る

巡音ルカのアイテムは、どのように創造されるのか

VOCALOID(初音ミクのソフトウエア)のシリーズに
第三弾が発表された。

「巡音ルカ」
めぐりねるか、という名前。

たぶん、歌唱ソフトウエアの声の性格を加味して
名前のオンの印象(※)のテイストが選ばれていると思われる。
オンの印章:音の印象:アルファベットやひらがなの構成文字毎にもつ印象。IやTはシュッとしている、Bは力強い、Mはファミリア的、なもの。正確な出典は探せなかった

MEGURINE RUKA

比較的、丸っこい、滑らかな感じのオンだとおもう。



第二弾は
「鏡音リン・レン(KAGAMINE RIN REN)」
であったが、この
「かがみね りん れん」は、
短くとはっきりした立ち上がりを思わせるオンだった。

このケースでは、アイテムがロードローラー(しかし、すごいな(笑))に
なっていく過程で動画がおおきな役割を果たしている。

実質的に、小さな訴求ポイントが一人もしくは、
疑似的な共同創作メンバー間の直感的な解釈しあいによって
アイテムが登場し、それが大きな支持を得て、定着する。

黄色・オレンジ色の果物、という案もあった模様だが、
大勢はロードローラになったようだ。



この大勢の支持は、そうしたプロセスを経ているが、大勢が支持する水面下のポイントは「提案したアイテムが、キャラクターから感じる印象とマッチしているか」という直感的な部分もあると思われる。

公式サイトに掲示されるキャラクターの性格付け、もあるが、生身の存在ではない「キャラクター」の性格付けは、「シンボルとしての名前」が大きく影響しているとおもわれる。



「めぐりねるか」というアールのついた滑らかな曲線のテイストを持つオンなので、

「滑らかな質感」
「おおぶりの美しい曲線をもったもの」

がアイテムとして登場した時に支持されるのではないだろうか。

(なお、オン(名前の持つ音のイメージ)だけではない、かもしれない。
 キャラクターのイラストから感じるテイストは、
 その名前のテイストから感じるものと近い。
 第三弾も、第二弾も)

 
人々が創発的にアイデアを作りだし、
それが市場のすばやい評価を受けて
覆しがたい「支持」「不支持」に分かれる。

大きな流れを分岐させるのが、時間空間的には
小さな「点」のような情報の登場である点が
とても興味深い。

あるいは、こうした着眼点は
まったくの的外れかもしれない。


余談:

いずれにしても、昨年学会でお会いしたあの札幌の企業さん
新しいプロダクトが
市場から期待を持って迎え入れらていて、
(勝手に)うれしく思う。

知識創造が、人口減少社会の日本において
長期的産業になると予想されるが
「創造する道具を創る」のは、その水門を開くための
キーポイントであり、将来、現在を歴史的に振り返ったとき
各分野の「創造する道具」の原点の一つとして位置づけられているのが、
同社の製品及び、ヤマハの要素技術であるとおもう。
posted by 石井力重 at 05:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会動向を見る

2008年05月28日

「初音ミク」を創った方にお会いしました(神戸にて)

神戸に来ています。音楽情報科学研究会に参加しています。

この研究会で「初音ミク」という音声合成ソフトの開発者の方の講演がありました。講演のあと、ごあいさつして少しお話をさせていただきました。


私も最近勉強したばかりですが、まず、いくつかの単語を紹介します。

[ニコニコ動画]

今、動画共有サイトとして、Youtubeとは違った路線の「ニコニコ動画」というサイトがあります。字幕が流し込める点で、動画製作者と閲覧者の距離が非常に近く感じられる空間がかもされています。

[ボーカロイド]

ボーカルとアンドロイドを合わせた造語。ヤマハが開発した音声合成ソフト。そのソフトに、人間のサンプリングした声のデータベースを持たせると、旋律と歌詞を打ち込めば、サンプリングした声を合成して歌唱してくれる。

[クリプトン・フューチャー・メディア]

札幌にある(ベンチャー)企業。講演者の方のお話では、20名規模の企業ということと、面白いことはやってみようという社風から、いわゆるベンチャーですが、社歴は古く企業タイプとしては、専門特化型中小企業、と表現するべきかもしれません。サンプリングした音の販売を長らく生業としてきた企業で、現在は、初音ミク、というボーカロイドのソフトウエアも開発・販売している。最近のメディア露出やユーザの盛り上がりは「初音ミクの会社」という印象が強いが、専門の世界ではサンプリングした音源の企業として評価されている。

[初音ミク(はつねみく)]

16歳という設定の女性声のボーカロイド。同社からはボーカロイドの第一世代として、メイコ、カイトという、女性・男性の声のソフトがある。初音ミクは、第二世代のもの。計画では、第三世代まである。なお、第二世代には、鏡音リン・レン(かがみねりんれん)というソフトウエアもある。起用した声優の名前を前面に出しているもの(第二世代)とそうでないもの上がるが、同社の姿勢として声優への配慮を元に、そのソフトごとに、方針を決めている。ニコニコ動画などで、このソフトを用いて制作された歌が非常に人気を博しており、CGM(消費者が創り出すメディア)の本格的な可能性を感じさせるものとして、ユーザ以外からの注目も集めている。ユーザ兼制作者による共同創造や楽曲管理に関する問題は、従来はさほど問題にならない(問題にすることができなかった)が、巨大なユーザ層が、時にゆるやな、時に強力な、共同創造を行っているため、現代の管理制度上のひずみが、明確な問題になりつつある点でも大きな貢献をしている。なお、初音ミクには、しゃべる機能が乏しいので、しゃべる行為はロボット感が強いが、パラメータの調整で、非常に高度に自然さを演出する制作者も存在する。楽曲のクオリティーはずぶの素人のものではなく、ある程度楽曲制作を心得た人から、たぶんプロと思われる人の存在まで感じられる。しかし、本当にずぶの素人が、とりあえず作ってみた、というトーンのものも楽しまれているため、非常に楽しみの間口が広い。また、本来は、初音ミクの画像については、クリプトン・フューチャー・メディアは3枚しか制作していないが、それを元に、また初音ミクの付帯イメージを元に、様々なイラストや動画がユーザによって制作されている。同じく、素人からプロと思われるものまで、幅広い。動画に関しては、イラストの切り替えや、文字スライドに近いものから、3次元の立体画像をポリゴン技術などを用いて運動させているものまである。顔の表情、背景画などには技術や文化度の高いものも多い。


以上、私なりに、初音ミクとは?を調べて、今日の講演も踏まえて、整理してみました。

以下、講演を伺った際の感想を付けます。非常に私見です。


今日は初音ミクの開発をされた方が1時間お話をされたのですが、 「なんだかいいひとだなぁ〜、音楽、すきなんだろうなぁ〜」という気持ちでお話を伺っていました。

同社は面白いことがすき、ということで、面白い仕事をしているのですが、聞いていて、私の駐在しているデュナミスに雰囲気がにているかなぁ、とおもいました。私はそういう企業が大好きです。

初音ミクというソフトウエアを、私が使えるかどうかわからないくらい私は、そもそも楽曲作りの素人ですが、その創られて、動画共有サイトで流されているものは、非常に好きです。細身でさらっとした質感の素敵な楽器、という印象がします。

新たしい知識創造の時代は、来ているのかな、と思いました。 創り手も、それを研究する人も、企業も。



■しばらく前に、書いたメモも添付します。
 広範囲な普及には複数の入口があること続きを読む
posted by 石井力重 at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会動向を見る



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