2016年12月28日

創造力のガイド(ブレスト根底モデル)

ブレインストーミングの4つのルール、については、いろんな表現があります。そのどれを採用するかは、リーダーの好みでいいと思います。大事なことは、ブレストのルールがもっている思考展開の根底にあるものを知っておくことです。

私が行う講義(早稲田大学、岐阜商業高校、他)では、それらを、ブレスト根底モデル、として、レクチャーしています。

2016年の最後の更新版(今朝、改良した最新版)を公開します。


このスライドの学習手順の構造は、以下のようになっています。

1)「文字ばっかりのページ(文献からのオズボーン他の言葉集)」スライドを
 2分でできるだけ読んでもらいます。(各自黙読)

2)「その次のモデル図」スライドを
 3分で、レクチャーします。(講師)

こうすると、クリエイティブに関する専門知識がない高校生1年生でも、よく、知識を吸収してくれます。


(((ここから下は蛇足です。「教える作業をする人」に共有したい知見です。)))

蛇足:

今回施したインストラクション・デザインの工夫

専門知識を伝える時、先生が悩むのが「伝える量と深さを上げると生徒が割れる」現象です。

A群:学習内容が好きで得難い学びにぐいぐいついてきてくれる学生さん(体感的には2割)
B群:興味は薄いが努力して知識を得ようとしてくれる学生さん(体感的には7割)
C群:楽しいなら授業を受けようという学生さん(1割)

講師の専門領域の知識の真髄に入っていくと、教え方のデザインになにも考慮をしないと、BとCは少しずつ脱落していきます。

(私自身が、大学院で学んでいた時に、役に立つ知識だから吸収しようとしていた中でも、時々首がガクッとおちて、また急いでノートを取る、ということがありました。処理落ち。この学習者の現象は、医学部のような教授の場でもあるそうです。)

そこで、このスライドでは「2分で読んで、3分で本質を話す」という学習構造にしてみました。

2分間で次に行ってしまうリミット性から、かなり集中して読んでくれました。

そのあと「こんな風になっているんだよ」ということを感覚的に話しました。
3分トークであれば集中の真っただ中で終えることが出来ます。

これを4回繰り返し、最後のまとめの数分を行う、という時間設計です。
合計で25分間ぐらいです。

私はブレインストーミングのプロセスが特に研究者時代の専門性の一つでしたので、このブレストの本質の講義だけは、講師が2,30分しゃべり続ける、という教授法をとってしまっていました。

そうすると、A群に届くが、B群が途中で落ちる、ということに悩んでいました。

今回の構造にしたところ、C群まで含めて、高い集中度で、伝えきることが出来ました。


蛇足の蛇足:

まだ、確かとはいえない、+αの気づきもあります。
それは、講師が細かいことまで言う必要がなくなることの効果、です。

文献を読んだ方が早いのに、それを言葉で伝えて、そのうえで本質に踏み込むのはもたもたします。
それよりも、はじめっから本質だけを、すとん、としゃべれるならば、コトバはずっと、輪郭を際立たせることが出来ます。
講師側が、伝える量が多すぎては、中身と発生のクオリティを高く維持するのは難しいものです。

この気づきを、もうすこし整えると、こうまとめられます。

”どうやって、必要な知識量を渡しつつ、講師の言葉は、本質だけに絞るか”

講師がいかに手間を省くか、と、言い換えられそうですが、実際は逆でしょう。講師がいかに(事前の)手間をかけるか、だと。

今年最後の学びとして、ブログに記しておきます。

2016年12月27日

【授業スライド】『アイデア・スイッチ』の授業(岐阜商業高校、12月26・27日)

岐阜商業高校(甲子園の常連校であり、商業高校の中心校でもあり、スーパーハイスクールの採択校でもあります)で、アイデア創出の授業を二日間行ってきました。

スライドを掲載します。


スライドを一枚だけ、画像でも紹介。

アイデアスイッチの授業.png

この学校では常に、新商品開発に取り組んで、地域に新しいものを生み出しています。その彼らの活動にブースターとなる創造技法の知識を提供してきました。

でも、堅苦しさは抜きに、楽しくって役に立つトーンで展開しました。

授業風景は、こんな感じです。

猫の手_高校授業.jpg

彼らと何十年かごに、社会のどこかで会うこともあるでしょう。

その時を楽しみにしています。

2016年12月19日

「ペルソナ」の奥にあるモノへの視力を与える”Jobs to be Done”

旅先でした打合せメモを整理していて、ある領域の言葉に輪郭が立ち上がり始めました。ここにメモします。

Jobs to be Done(ジョブズ・トゥー・ビー・ダン)

クリステンセン教授の著書『イノベーションの解』によれば、「(顧客が)片付けようとする用事」とあります。

英語サイトでは、以下のサイトが明瞭に記しています。

同著の3章で、ミルクシェークの逸話が出てきます。属性で定義する人物としては同じ人物でも、状況によりインサイトについて語れば相当違い、シェークの固さへの要望が大きく違う、という例です。(早朝の車通勤時には長く持つ固いシェークがいい。親子ずれで子供にそれなりに早く飲ませるにはドロッとしたシェークがいい。)

前後して、こう綴られています。

「分析単位は、顧客ではなく状況なのだ」

「顧客が製品を購入する状況を構成するのは、
顧客が片付けなくてはならない用事の
機能的、感情的、社会的な側面である。」

・・・

ペルソナ、という言葉がもつ吟味の力は結構深いものがあるし、属性的な定義だけをペルソナの使い手がしているわけじゃないのは、よくよく見てきましたが、薄い理解でペルソナを捉えている多くの場合においては、属性で誰が顧客化を定義する方法として使われています。(石井の見た範囲では。)
そうした中で、ペルソナではどうも、具象にとらわれていて本質が見えない、と人々が言い出すシーンも良く見てきました。

そうした時には、JTBD、が、次の視点になるでしょう。
専門のページが沢山あります。(日本語でも。)
ので、ここではこれ以上は避けておきます。

もう一つ、心に浮かぶのは、

Jobs to be Doneがユーザの核だとしたら、
Value proposithioが製品の核であり、
(※核、はコンセプトとか、魂、というべきかもしれませんが、)
ユーザと製品の中にある核が磁石のように引き合うんだろうなぁと。

それらの外にある具象は、分かりやすい典型セットはあるけれど、本当はそうじゃないのだ。と。
posted by 石井力重 at 12:32 | 研究(MOT)/検討メモ&資料

2016年12月12日

【講義スライド】イノベーション創発塾(石井担当回)(12月20日、東北大学)

自分の好きと得意から、小さいビジネスのアイデアを発想してみよう、という博士課程の院生さん向けの講義をします。スライドを公開します。


そのスライドを何枚か画像で抜粋します。

tohoku_Univ_idea_01.png




tohoku_Univ_idea_02.png




tohoku_Univ_idea_03.png



tohoku_Univ_idea_04.png


  

tohoku_Univ_idea_05.png





tohoku_Univ_idea_06.png





〜日時〜

日時:2016年12月20日 9:00〜12:00
場所:東北大学 青葉山(工学部のエリア) 青葉記念会館 4階
講義名:イノベーション創発塾
   (この回は、イノベーション特論「ベンチャー起業とキャリアパス」)
対象:東北大学の博士後期課程の院生さん(及び、多分、提携している国立大学の方、北大、名古屋大あたりにはこの講義の情報共有があるようです)

追記:

地元仙台でのオープンワークショップがだんだん減ってきたことに気づきました。東京や日本中での仕事が増えています。少しずつ、海外展開も。しかし、地元に創造的風土の醸成をしたい、という創業の頃の志は今もあります。
この講義、ご興味がある方がいらしたら、大学院生でない方でも、どうぞ、「アイデアプラントのお手伝い係」という体裁で、遊びに(observerしに)いらしてください。昨年は地元の商業高校の先生が、その枠で遊びにいらして、一緒にわいわいブレストされていました。

2016年12月09日

持ち運べる半個室、RAMAD WORKER(ラマドワーカー)、これは面白い道具でした。

RAMAD_WORKER.jpg

”持ち運べる個室があったらいいのになぁ”という会話は、アイデアプラントのブレスト道具開発チームでもよく話に出てきまして、高度な構造体を作れるようなデザイン段ボール加工企業さんにも訪問したことがありました。難しい点がいっぱいあり、開発ネタとしては暖めているけれども・・・という構想段階でした。

さて、ラマドワーカー。先週その商品リリースをネットで見て、「ああ、これは、具現化したかったコンセプトだ。いや、半分ぐらいは違うけど、でも、本質は具現化している。」とおもって、さっそく買ってみました。

(余談ですが、ある製品が自分が欲しい・あるいは・世の中にあったほうがいいな、と思っていたとして、それを先行してほかの会社がだしたなら、それはそれでいいことだ、と思います。自社でリスクやコストをかけなくても、その具現物を手に入れることができるわけですし。)

さて、それでその実際のものをつかってみよう、と。

ここは、映像があったほうがどんなものなのかが分かるので、実際に、組み立ててみる、座ってしばらくPCをたたいてみる、しまってみる、というあたりを動画で撮影してみました。湖畔で。

湖畔で、というのは、全く個人的趣味です。日清食品(この製品は、食品会社さんが、作った!)の公式画像では、ラマドワーカーの使用例は、フィヨルドの大自然の中で使っている風でした。もちろん、ジョークを込めた合成画像ではありますが、その風景を実際にやったら、どんな気持ちかも知りたいと思って、似ている地形である、釜房湖の湖畔公園周辺を選定しました。

【音が出ます!】

テーブルの上のピザの箱みたいなのが、持ち運び状態の製品です。

面と面の接合部分は、マグネットのシートと、薄い金属フィルムで引き合うように、強くつきます。うまくデザインしてあるので、適当にやっても、ぴたっと、とまります。この組み立て感は、ほかの人たちに触ってもらったときも「お、こりゃ、うまい機構だなぁ」と。

組みあがりまで40秒です。(大きな机の周りをもたもたして、組み立てで、です。)

3つの道具(ペットボトル、ティッシュ、PC)をセットし終わって、1分20秒。

そのあとは、ぐたぐだ(未編修)です。自然光が差し込んでPC画面が見にくいので、あれこれ調整しているところです。

たたむのは、もう少し時間がかかります。 ⇒別のビデオです。 1分20秒ぐらいです。

それから、この後、公式画像に似た景色の所で広場のある湖畔へ移動しました。

DSCN0045_kamafusako.jpg

(ちなみに公式写真のフィヨルドは、ノルウェーからベルゲンに向かう途中のソグネフィヨルド周辺の風景だと思われます。ベルゲン急行とフロム鉄道とボートで行くような場所です。こちらは、仙台から自動車で30分、釜房湖です。奥に蔵王山、右手に国営みちのく杜の湖畔公園があります。夏は美しいのですが、冬ですからね。。蛇足でした。)

さて、ベンチしかないこの場所に、小さい台を置いて使ってみました。


半個室よりも小さい台の上でも組み立てが可能です。ちょっとやりにくいですが50秒ぐらいです。

大自然の中で、この半個室に入るとどんな感じか、を率直な感想を書きますと・・・

RAMAD_WORKER_.jpg

「入ってしまえば、これはこれで面白い道具だなぁ。」と思いました。

もちろん、恥ずかしいは恥ずかしいです。

それはいったんおいておいて、半個室でPCに向かってしまえば、音響的には結構な包まれ感があります。一方で、半分は解放されているので、鳥の鳴き声や風でさざめく木々の音も聞こえる、不思議な感じです。

結論としては、この道具は悪くない。そう思いました。

唯一、難点としては、耐久性、でしょうか。なにせ段ボールですから。屋外で本気で持ち歩いてみたあとは、結構クタっとした感じに。

室内でだけで使うならばもっと状態はいいと思います。

翌日、仙台の開発メンバーのオフィスを巡って歩くようなことがあり、もっていて触ってもらいましたが、男性はこの道具は興味津々で、猫みたいに空間に入って喜んでいる姿がありました。

日清食品さんとはなんのご縁もないので、わかりませんが、これはジョーク商品かな、と思いきやこれはこれで、結構いろんなディスカッションがあって、最終的にシンプルなこの形になったんだろうなぁと思われます。

アイデアプラントのブレスト道具開発チームでは昔ディスカッションしてかなり健闘したのですが、何かの行為専用の大きな完全個室を作ろと思うと、閉塞感や強度や重量や組立や輸送の面が問題になります。

そこを踏まえてみると、この道具は、半個室のデザインにしたことで、多くの問題をクリアしていて、うまいデザインだなぁと、思っていました。

以上です。

製品名:ラマドワーカー


余談:

普段も、ブレスト道具開発チームでは、いろんなものを自腹で買っては、体験してみています。

今回の一行気づきを記しておきます。

「箱の中にいたい」という欲求が、猫だけじゃなく、ヒト(特に男性)にはあるんだなぁ。

posted by 石井力重 at 22:00 | アイデアプラント 4th(2015-2017)



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