2023年09月08日

実に嬉しくない初体験。コロナにかかりました。

長い旅仕事に出ています。8月20日に仙台を出て、「埼玉」「千葉」「奈良」とめぐってきました。次の滞在地は「東京」のはずだったのですが、コロナになってしまい、一人で過ごすことが推奨される期間(5日間)を過ごすために奈良にとどまっています。もともと奈良滞在は11泊の予定でしたが結局13泊になりました。

奈良女の最終講義(9〜18時)×3、八尾のワークショップ(10〜17時)×2が連続していて、ここで過去最長の一週間講義量に達します。(41時間講義/1週間)
この消耗度から一つ気づきます。一週間に講義する時間の総量は35〜36時間に抑えるべきだと。というのも、全力講義をするので、その辺を超えたあたりから疲労度がすごくなって講義中に言い間違えて言い直すことが増えました。肉体は大丈夫でも脳の疲労は限界に近いなと実感しました。一層集中して言葉を発するので疲労度は加速度的に上がります。

そのうえ、この時は、中3日挟んで前に早稲田の集中講義4日間があり、ギリギリの体力でした。

そして、この時期には学会発表論文提出締め切りがあります。今年は例年になく2本を出す、という意欲的なことをしていたため、講義でくたくたくになりホテルに戻ると、夜もひたすら論文作成、という激務の時期でした。

自分のマネジメントの悪さ、見通しの甘さが招いたことですが、やりたい仕事は全部やる、という50歳の指針に従ってこうしました。

しかし、重大な問題が起こります。
八尾を終え、翌日の日曜日、ようやくホテルで一日に過ごせる時間があり、学会論文を完成させ2本とも提出。すると、その前の夜に妙に体がだるい気がしたのですが、のどにも違和感が。
これは初期対応が大事だと思い、月曜日に奈良の滞在ホテルの近くの耳鼻咽喉科医院へ。名医とレビューが多いし待つのもやむなし、と思い行き、症状がとても軽いので、ということで漢方薬3日分をもらいます。

しかし、月曜日夜に高熱が出ます。火曜日は部屋にこもります。そして高熱が38.7度に達します。頭はいたみ、体はしんどく、のどは水飲んで激痛で、さすがにおかしいなということで、その医院に電話相談します。すると、コロナの可能性があり診れないとのことで、発熱外来を紹介してもらい、行きました。初めからコロナ以外の病気である前提で処方していたわけで、この初動を誤ったのは痛いミスでした。(しかし、患者側にその部分、難しいです。)

そして発熱外来までマスクして公共機関に乗らず人に接しないようにたどり着きます。
検査結果は、コロナ陽性、インフル陰性、ということでコロナ確定に。
そこまでも極力ホテルの部屋から出ないようにしていましたが、ここからは徹底します。

もらったガイドの紙によると発症から5日間は人に接さないようにし、移すリスクの減るそれ以降の10日まではマスクをし人としゃべる時は距離を置く、とのこと。

次の案件の東京のクライアントに状況を説明し、延期。東京の宿もコロナの事情を鑑みて無料でキャンセルをしてくれました。
そして今いるホテルにも発熱して引きこもっていることは伝えてあり、コロナ陽性になったことも報告。
このまま延泊が可能かを相談し、予約サイトから予約を手配。
指導に基づくなら、本当は今日(9月8日、発症から6日目)でも、移動をすること自体はできたと思いますが、道中でうつしてしまう可能性を極力下げるために、明日までの部屋での療養を続けることにしました。

経過としては解熱剤を飲まずいられるようになるのが5日目の朝。それまではほとんど思考力を失っていて、なにもできず昏々と眠っていました。
夜には、喉の激痛は半分になりました。食欲が出てきます。

六日目に入ると、のどの痛みが我慢可能なレベルに収まり、頭は普段通りに回ります。

以上がコロナになり、2〜3日の発熱、そして収束、という過程でした。

何事も体験しておきたいたちで、日々初体験を心がけています。
しかし、疫病にかかることは、実に嬉しくない初体験。二度度かかりたくないなあ、と思いました。

なお、熱のさなかに当時の自分が書いた日記(FBの投稿)がありまして、原文ママを引用します。

とにかく、お客さんにうちさないで済む状態になれてよかった。
黙って講義しちゃえばその日はやり過ごせるけど、出席したうちの何割かが翌日から同じぐらい発熱するようなことになったら、組織的に壊滅状態だ。そんなことにさせない。顧客への愛があるから全力なのであって、全力の押し売りをしているようになったら、間違ってる。
(それにきっと、石井が感染源だと分かれば恨まれる。二度と呼ばれない。疫病社会で付き合う相手に信頼してもらうには、かかっている可能性がある時に合わないといえることだ。)

そうなんです。
コロナの回復タイミング的に次のクライアントに行けば行けてしまえて、症状もないことから気づかれないでしょうけど、顧客を愛するならそんなことはできないわけで。

そして疫病社会において、持ち込まない配慮をしてくれることって、信頼の大きな要素だと私は思うんです。
「ええ、ちょっと風邪気味ですけど、大丈夫、行けますんで。な〜に心配には及びません」みたいな、昭和の会話。昔は、頑張ってる人でしたけど、今の社会じゃ、勘違いしている迷惑な人、です。

もしかしたら、延期することで案件がなくなる(中止になる)こともあるかもしれません。
でも、信頼までは失わない。
”この人は、うちにリスクのあることはきちんと提示してくれる人だ”、と思ってもらえること。
それって大事な要素です。

そんなわけで、長い3週間の旅仕事は、後半にとっておいた「旅先での休暇」の日程すべてをホテル療養で食いつぶし、最後の案件のクライアントには、リスケで迷惑をかける、という締めくくりになりました。
頭ではわかっていましたが、コロナになると、スケジュールはめちゃくちゃです。

5類に移行してなんだか軽い病気に変わった気がして、油断していたと思います。
コロナ禍の出張では人の多い場所は極力避ける、なるべく換気をする、なるべく黙食、といった行動をしていました。
その3年間で一度もコロナにかからずに旅仕事をしていました。
運もあるでしょうけれど、今回の自分を振り返り、換気方法や人の多い飲食店への入店など、原因を推定するにいくつかのことが思い浮かびます。

かかるたびに、各地の顧客に同じ迷惑をかけることになります。
アイデアプラントの行動規範をここで、一段階厳しくしなくては、いけないな、と思っています。

いつコロナが終わるのか、その見通しは全くわからない状況ですが、衛生管理・健康管理はプロとして徹底しなくてはいけないことの1つであると考え、行動していきたいと思います。

ひたすら、ホテルで過ごすので、天気のいい空を一日眺めていました。その時のタイムラプスです。
JR奈良駅に隣接するホテル日航奈良の9階の自室から撮影。



追記:(嗅覚のない食事編)

嗅覚が鈍いレベルではなく嗅覚が完全にゼロになっています。
鼻は詰まっていないし、風呂場で鼻うがいしたあとでも、ボディーソープなどのニオイを一切感じません。

味覚は全く影響なく味がします。

さて食べ物は舌と鼻の両方で味と風味を感じているわけですが、あらゆる食物ものが風味ゼロになると、味はこうなるのか、と驚いています。これはなかなか新鮮な体験で、愉快。

コップについだ、冷えたりんごジュース→
口に含むと優しい甘さで香りがないので、甘露な清水でも飲んでいる爽快さ、しかし砂糖水とは違い、コクがある。風味があるときはりんごジュースにコクを感じることなんてなかったけどりんごジュースの香りを抜けば、コクと甘みの調和した液体。
うまくて一気に2杯も飲んじゃう。

味噌汁→
塩っけ、とろりとした舌触り、豊かなコク。コクばっかりじゃ語彙が乏しい気もしますが、他に言いようがない。コクは多分旨味成分が香りを伴わずにたちあられたもの。ただしょっぱいお湯だったらとてもじゃないけど飲めない濃い塩味があるが、コクと塩気のバランスでかなりうまい。

野菜サラダドレッシングなし→
野菜の青臭さが一切ない。ドレッシングがないとサラダが食べにくいのは青臭さがあるからであって、今ならなくても行けるのでは?と思い食べる。いける。なんといえばいいのか。シャキシャキポリポリと面白い食感を楽しめる。味がないから飽きるかと思ったけど意外と楽しい。青臭さが苦手だったプチトマトも甘いフルーツに感じて美味しく。

梅干し→
酸っぱい。梅の風味はないので、スッぺぇ、という感じではなく、あ、数回噛むと酸っぱいね、という感じる。

わさび→
辛い味がする。和がらしより辛味が多い。チューブから一センチ出して、パクンと食べる。あ、辛。でも食えちゃう。ごくんと飲み込むと喉がヒリヒリとして、辛いなと。わさびが鼻にツーンとくる、あの感じはまるで無い。わさびには辛い以外の味がある、ということも発見。普段は強烈な刺激に隠れて味など感じなかったが、苦いと塩気のニュアンスがある。実に面白い。

卵焼き→
味ゼロ。美味しい風味で食べているものは、香りがないと食感だけの物体に成り下る。宇宙時代、形状だけ真似したレーションを食べている人類はきっとこんな感想を持つかのも。栄養のために食べるが食べて美味しかったりまずかったりしない。正確には、コクの薄い感じはある。

スクランブルエッグ→
同じく味が乏しい。

目玉焼き→
同じく味が乏しい。黄身のロトっとした触感は楽しいけれど、そこにコクを感じるようなこともない。

卵料理は極めて「香り」の食べ物なんだ、と気づきます。味だけでいえば、ほとんど何もない食べ物なんだ。

野菜の中華うま煮→
塩味と炒めた油の味とコクのすごく強いものを感じた。多分味が強すぎる。食感は楽しい。

フルーツ→
仄かな甘さの桃、強い甘みの梨。甘みと薄いナンラカの味はする。なんと言えばいい。歯ごたえも味の一瞬であろうなと感じる。

濃いめの緑茶→
茶の香り一切なし。しかし、とろりとて、丸い苦みがある。その丸い苦みが舌の先端の方へ来るに連れ甘みと旨味のニュアンスをもつ。出がらしのお茶とは、違う。やさしくバランス良いニガアマウマの味わいがあり、うまい。口の中が香りはないのに爽やかになる。

白米→
米の旨味はかなり弱くなる。香りに依拠している部分が多い食材なのだ。米を噛むと、次第にもちもちとしていくことに気づく。普段は噛むほどに味がするので食感の変化に鈍かったが、米というのは、結構緩めのモチにしてそれを飲み込んでいるんだ。そりゃ日本人はモチが好きなわけだ。モチを噛み切らず飲んでつまらせる事故がよく起こるが、ご飯の嚥下に似ているからかも。

ハンバーグ→
肉の食感、塩気、玉ねぎの食感、油に溶けた豊かなコク、デミグラスソースの甘い酸っぱい味。和風ハンバーグのポン酢だけをスプーン一杯すくって飲む。軽い酸味と甘み、それと奥の方に旨味のニュアンスがある。かけて食べる。油に溶けているコクと酸味が混ざってさっぱりとしてコクがある。匂いがないが、脳が共感覚としてハンバーグの香りを幻視ならぬ幻嗅をもたらし、風味を脳が再構成する、実に奇妙。次。米と一緒に肉を食う。さっきまで旨味がギュッと狭かったのに今は旨味の表面積が広がる。そうとしか言いようがない。油の中のコクが米と混ざり合い、ツルツルとした油の膜をはった米の食感は気持ちいい。味をもたらす成分の有効面積が明らかに広がっている。肉と米が最高なのは、米には肉の旨味を広げる役目があるからではないだろうかと思う。

焼きそば→
やさしい味付けに感じる、甘みと塩気と少しのコクのバランスで、美味しい。幼児用の薄味食事ってこういう感じかなと何となく思う。香りがあったら、療養中だとちょっとくどくて疲れるかも。香りというエンターテインメント成分は情報量が多い。意外とそれは、認知資源的に疲れるのだろう。

風景を白黒にすると負担が少ないそうです。食べ物の香りを抜く感じといのはちょうどそれに似ています。
「写真」には「色」と「形」が映ります。食事の「香り」と「味」はちょうどそれに似ている。そんな風に何度も感じます。
言語化してみるとこうです。
白黒写真でもはっきりわかるような物事もある。味だけでもはっきりわかる料理がある。
パステル画のようなものは白黒写真ではかなりきつい。香りで豊かな味わいを出している料理は鼻が利かないと味がしない。
一度見た風景は白黒写真でも記憶が色を補っていくけど、見たことないものの白黒写真は再現できない。
多分、一度も食べたことのない料理を今食べると「本当はどういう味なのか分からないまま」で食べるんでしょう。

一生このままだとちょっと不便だけど、香りの一切ない体験は、新鮮な体験としてはかなり上位で、面白いです。

((なお、もしや鼻うがいで、下手にやるとツーンとするあれも、嗅覚かな?疑問に思い、思い切り鼻の奥までシャワーを吸い込んでみました。絶対ツーンとなるほど奥まで水を吸い込み、ぶぷーと出してみる。。。痛くない。あ、、、でも、どこかに鈍い痛みは感じました))
posted by 石井力重 at 15:46 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年09月02日

八尾商工会議所で起業家・経営者向けのアイデアの講義をしてきました。

大阪の八尾で起業家と経営者向けに2つの育成塾のようなプログラムがあり、その2つが合同でアイデアの授業を受けます。担当として石井が呼ばれ、2日間の実践中心講義をしてきました。

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創造性の特性に関するミニレクチャー

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全員で立って動いて次々違う人とブレストをするワーク

2日合計14時間をかけて、各人の暖めてきたアイデアを広げ、発展させる、という行為を実践してもらいました。

こうした場が皆さんの創造的発展の一助になれれば幸いです。
機会があればまた一緒にブレストしましょう。

2023年08月31日

50代最初の仕事は「最終講義」でした。

奈良女子大学の夏季集中講義「創造学」。
7年前までは創造性の大家・國藤先生が教鞭をとられていました。
6年前、「石井さん、僕の後を、頼みます」と、大先生からバトンをうけとりました。
そのバトンを落とさないように必死に走ってきました。

同大は工学部の開設をしました。それに伴い閉じていく学部があります。
その学部の最後の生徒が今年3年生になりました。
3年生向けである「創造学」は、この夏季集中講義を最後に幕を閉じます。

したがって、石井の非常勤講師の任も完了となります。
この夏は、私にとって初の「最終講義」の体験となりました。

そもそも、大学教授の行う最終講義は「退官に伴う、その先生の最後の講義」です。
他方、非常勤講師は一年契約ゆえ、退官という概念がありません。
ただ「その年の契約が終わる」だけです。
したがって、非常勤講師たる石井が最終講義を行うことはほぼないだろうと思っていました。

しかし、今回のように「講義枠が閉じることに伴い、最後の講義となる回」は存在し
その講座を閉じるのにふさわしいメッセージを込めた講義を行う「最終講義」は
ごくたまに存在し、今回石井がその立場にありました。
多分、これが、人生で最初で最後の「最終講義」だろうと思います。
(他にも、早稲田大学や名城大学での非常勤の仕事もありますが、多分、ある年でただ終了するだけで、翌年からは別の方が講義枠を担当するわけで、そこには最終講義も何もないわけです。)

最終講義を経験するのは定年のケースがほとんどのため、60代で行います。
それを、50歳になった最初の仕事で経験する、というのは、定年のない個人事業主の石井として、とても奇妙なものだなぁと感じていました。

そして大先生から受け取ったバトンをきちんとゴールまで運べたことで、ほっとしています。


さて。

そんな心情の吐露はさておき、講義の報告をつづります。

講義の様子を30秒の動画にしました(個人の顔はぼかし処理しています)


KJ法、エクスカージョン、CEMRAPS(アイデアのチェックリスト法)などの技法や、PPG、ゼブラ、スピードストーミングといった各種のブレスト技法を実践中心に学んでもらいました。

休憩時に校舎の外にでると野生の鹿がハムリ、ハムリとのんきに草を食んでいます。ニュースでよく見る若草山の鹿がここまでやってきます。異常に暑い夏の時期で外に出ている人が少ないからか今年は講義期間中毎日、鹿がいました。野生の大型獣が学内にいて大騒ぎにならないのは多分、日本中でここだけではないかと。落ち着いた校風で大きい物音もなく鹿たちにとっても居心地がいいのかもしれません。

なお、講義内容は毎年更新しています、今年も例外ではなく更新しました。今年の新ネタとしては、生成AIとAIカードを用いてアイデア創出をする方法も紹介し、皆で実践しました。それまでにAIに触ったことのある回数はそれほど多くない生徒さんが多かったのですが、うまく使いこなしていました。

講義は毎年洗練させていき、(石井としては)今年が過去最高の出来だったと思います。最後の一回だけではもったいない気もしますが、改善を続ける仕事スタイルというのは往々にして「最後が最高」であるべきなんだろう、と思います。

今年だけは学務課さんのアンケート実施がなかったので代わりに、石井からアンケートを取りました。皆さんの同意を得て(個人名は完全に記号化処理をしたうえで)ここに公開します。
アンケート結果が高評価すぎるのは肯定的な校風もあるのでやや割り引いてご覧ください。

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全15回終了後に、生徒さんの資質を聞いたものです。(あくまで自認するタイプですが。)
面白いのは、第1回の講義で尋ねたときと分布が変わったことです。

Q0_pre.png

グーグルフォームの自動生成グラフ故、前後での色に一貫性がありませんが、そこに目をつぶってみていただくと、当初の分布は「クリエイティブだと自覚する人は43%」でした。
講義終了後には、
「クリエイティブだと自覚する人は66%」になりました。

(とはいえ、即興で作ったフォーム故、回答の選択肢の構造を変えてしまいました。なので目安的に見てください)

以下は、授業の満足度を問うものです。

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そして、Q5「 この講義で特に印象に残ったテーマや概念は何ですか?」

 
良いアイデアを出すメゾット/あと10個/マンダラート、カラーバス、発想力の促進要素、「アイデアが尽きたらもう10個!」の考え方/アイデアの出がらし/"アイデアの通せんぼ/講義を通してくだらなくても何でもいいので出すことでたまたまいいアイデアが出てくるという体験ができたと思います。"/「万策尽きた」がスタート地点/全く関係のないようなことから、新しい製品を生み出せる(カラーバスやエクスカージョンに関すること)というのが新たな発見だった。やってみるまでは、まさか思いつかないだろう、そういうことが出来るのはクリエイティブなセンスのあるごく僅かな人だと思っていたが、実は私にもできるんだと思った。今までに全く経験した類のない発想法だったので、むしろ煮詰まった時に使ってみたいと感じた。/「幸せ」をテーマに考えた時。幸せを考えると気持ちがポジティブになって、幸せを考えている時自体幸せな気持ちに溢れた!/ハイライト法の時に、最後に思いついた案の方が面白い物だったところ。/出し尽くしたがスタート地点。最初に出るものは誰でも思い付く凡案だけど、凡案だから言わないでおこうではなく出す。突飛な意見も創造力を促進するから出して良い。クリエイティブは難しい、苦手と思っていましたが、何でも言ってみることが新しいアイデアに繋がるかもと捉えると、自分の評価を気にすることよりも重要な目的に向かえるなら言ってみようかな、という気持ちにさせられました。緊張は自意識から来る、のお話とも似ています。/"自分が感じるアイデアの枯渇が、創造性のスタート地点であるということ。/突飛な内容や結びつかない2つのモノから、世間を驚かすような新たなアイデアが生まれるということ。"/アイディアスケッチ、とにかく出た案を限界まで書き出すこと。/ブレインライティングとハイライト法、凡案を出し尽くすこと、出し尽くしてから10個出すこと/"万策尽きたがスタート地点。この言葉に合致する経験があったため、余計に、その通り、うわぁすげえええええこれじゃん!!!っとかりました。"

※KJ法を印象に残せなくてすみません。。。

Q6「講義を通じて得た知識やスキルを今後の学びやキャリアにどのように活かしたいと思いますか?」

 就活での自己表現やグループワーク、サークルでの発表/"教育実習での授業。何か落ち込んだときに、勢いを思い出して、頑張る。"/就活やインターンの活動、趣味のことをする際にアイデアが出ず行き詰まった時/メインの内容ではないですが、人に話すとき伝える内容は3つくらいに絞る!というのは使っていきたい。私は言いたいことを全部ダラダラ言ってしまうから。/自分が社会に出て企画を考える、アイデアを求められるという場面には少なからず出会うと思います。その時に何も出ませんと言うのではなく、出ないなと感じても「出し尽くしたらあと10個」を意識していきたいと感じました。/様々なブレストの方法を知り、実践できたので、話し合いが行き詰まっているなと思った時率先して今回学んだ手法を提案するなどして、ブレストの場にブーストをかけられるような人間になりたいと思いました。/今回の授業で、案外私はクリエイティブなことが好きで、たくさんアイデアを考えることに喜びを得られることがわかった。本当にそういう方面に進んで大丈夫だろうか、活躍できるだろうか、という思いから二の足を踏んでいたが、企画などをする部署に就職してみたいという思いが強まった。ゲーム会社に務めたいと思っていて、シナリオライターや新しいゲームを考える部署に就職して、今回学んだような内容を活かして仕事をしてみたいと思った。/講義を通じて新しいアイデアを生み出す方法を身につけました。将来の仕事やプロジェクトで問題を解決する能力を向上させ、イノベーションに貢献したいと思います。/ロジカルな部分が強いけど、好きなことはクリエイティブなことだから、将来の仕事もその方面に進みたいと思っている。行き詰まった時はスキル(ロジカル)に頼ってクリエイティブを広げていきたい。/自分のやりたいことがわからなくなったり、目標を見失った時に、マンダラートは無心で思いついたことを書けるので、気持ちの整理に使えるなと感じました。また、話し合いの回し方などはただ考えなさい。と言われるよりもより発展した考えが生まれるのでいいなと思いました。今後もし話し合いの場で議長になる機会があれば使ってみたいです。/大学や就職先での課題はもちろん、日常の悩み解決などなど、人生の色々な場面で思い出すかもなと思います。/適切な方法を利用すると、自分は自分が考えるよりもずっとずっとクリエイティブの素質があるという自信を得ることが出来ました。よって、今回の経験と得たものを自分がアイデアに行き詰まった時はもちろん、仲間との議論、研究の際にも積極的に利用していきたいです。/自分の長所を見つけたりアイディアを出す時に存分に活かしたい。/会社で案を出すときなどに1回個人で考えようとかペアになって考えようと提案して、誰でも意見を言いやすいような場面をつくるようにする。/"活かし方というか、活かす場が分からない。正確には、どんな場面でも活かすことができるという自信があるため、どのように活かせばいいかを問われた時に答え方が分からない。与えられた環境下で全てを活かせる自信はある。ただ、自分でこれを活かす場を選び取ってくださいと言われた時、まず最適解を選べる自信はない。"

Q7「ご感想(講師に言いたいこと、上記では評価を伝えきれないこと)などを、ご自由にお書きください。」

3日間ありがとうございました。ここで習った方法を日常でも活用していきたいと思います。/楽しかったけど、普段1人の人はどうしたらいいのか分からない。無理だろうなと思うけれども、1人でも、グループワークを超えれる方法がこの世にあればいいのにと思った。/普段、「ただ聞くだけの授業」だったりするとそわそわしてあまり集中できない私にとって今回の集中講義は1日あたりの時間が多く、しっかり参加できるか不安でしたがグループワークが多いこの授業は集中できる良いものでした。ありがとうございました。/"会話をつなげるのがうまい真似したい。シーンとなる間をつくらない。いっぱい言葉が出てくる。人に話しかけるのも真似したい。大学の先生は学生に話しかけること少なめだから話に入ってきてくれるの楽しい。"/"講義をして頂き、ありがとうございました。これまで受けたことのある講義の中でこんなにもグループワークが多く、何度もブレストをしたのは初めてでした。自分の意見を言う際、つまらないから言わなくていいかと思ってしまうことが多かったのですが、つまらないことを出していくうちになにかいいアイデアが浮かぶこともあると学び、小さな意見も浮かんだものは全て自分の考えとしてまずたくさん思い浮かべることが大切だと学べました。とても興味深い面白い授業をありがとうございました。"/私は今まで生きてきた中で、「これを言っても無駄」「どうせ実現できないから言うのやめとこ」と飲み込んだ経験が何度もあります。効率的に話し合いを進めるためには実現不可能な意見を出す時間は無駄だと思い込んでいました。ですが、今回グループワーク等を通して、そんな突飛な意見も出して、さらに出して、出しきった先に良いアイデアが生まれるという体験をしました。思わぬところにクリエイティブな発想のヒントは落ちているのだなと感じました。本当にお世辞でも何でもなく、奈良女子大学に入って受けた授業の中で1番楽しかったですし、1番身になった感覚がしています。「万策尽きた がスタート地点」を座右の銘にして、これから先の人生に活かしていきたいと思います。3日間ありがとうございました。/これまでただの好き、だったことが、案外得意かも?と思える、自信が得られるキッカケになりました(メソッドを教えてもらったからかもしれませんが)。3日間ありがとうございました。/先生の授業本当に聞きやすかったです。短い間でしたがありがとうございました。/"クリエイティブな分野には天才的な人がいる。天才になれないから、才能がないからこそ、考え続ける時間だけは誰よりも負けずにいたい。その手法をたくさん知れたので本当に良かった。ありがとうございました。メンタルが病むことが多いけど絶望せずに生きていこうと思うことができました。(でも私は絶望から生まれるものもあると信じてます)工学部の学生などにも授業を受けてほしいです。また奈良女で講義してください〜!"/今まで受けた講義の中で一番楽しく、意欲的に参加できました。今ちょうどサークルでアイデアがなかなか出ず、考えを練り直しているところだったので、実際に活用してアイデアを出してみようと思います!/3日間正直結構疲れました!充実していて楽しかったです。ありがとうございました!/初めて、創造性を培う授業を受けました。自分が考えたアイデアを発表する機会はこれまでいくらでもありましたが、このように考え方のヒントや自分の可能性を引き出してくれることは無かったので、今回この授業を履修して良かったと思います。私はクリエイティブなことに自信があまり持てなかったのですが、受講生と何回も議論を重ねるうちに新たなアイデアを考えれるようになり、可能性が広がったように思います。ありがとうございました。/人と話すことが苦手、アイディアが浮かびにくい、特にグループワークが苦手な私にとって創造学の授業を受けることは非常にハードルが高く、受ける前は緊張しかありませんでしたが、この感想を書いている今夏休み期間中でも受けてよかったと思えるくらい自分のためになった3日間でした。私は授業に入る前のアンケートでグループワークでやるより個人の時間が多い方がいい(ニュアンス)に投票しました。しかしいざ授業が始まりグループワークをした時に個人で考えるより人とコミュニケーションをとった方が案がいくつも出たり良いアイディアが思いついたりしました。ただ、個人でアイディアを考える時に一切案が出てこなかったわけではなく、グループと個人で取る時間をそれぞれとることの重要さに気づくことができました。/匿名でいいからみんなの出した課題(オリジナル・メソッドとか物語とか)が見たいと思いました。使わなかったスライドが気になりました。/"ありがとうございました。想像力を発揮する必要がある場に限らず、普段の日常から何かを考えないといけない場面で全ての方法を使うと思います。**等々を利用し、何かを表現することが他の人より圧倒的に得意であると自負があり、そうであろうと意識してる面もあります。ここに、今回想像力が加わりました。表現する物を自ら作り出す、創造する術を得ました。本当にこの授業を受けて良かったです。正直めちゃくちゃに舐めていました。創造学という名前に惹かれただけで、面白くなかったら履修取消でいいだろうで考えていました。私が今まで適当にしてきたものに名前があることを知れる程度であろうと、学術的知識を得られるだけであろうと本当に舐めていました。すみませんでした。本当にこの授業は楽しかったです。過去の人生を振り返って、受けてきた授業の中で1番楽しい授業であったと言いきれます。本当に面白かったです。初めて家で授業が楽しかったと親に話をしました。実際に創造物を作る授業以外楽しいと感じたことがなかったのに、単純に想像力を使うだけでここまで楽しいと思っていませんでした。様々なメソッドを教えていただけた点も含め、大変有難い時間を過ごすことが出来たと感じています。ありがとうございました。"

アンケートは匿名、実名どちらでもOKとし、実名8名、匿名7名でした。実名の方は、講師に見られるという意識が、回答をややよい風にしてしまう可能性はあったかもしれません。しかし、否定的回答もできるように匿名も許容しています。そこを考慮すると、満足度の高さはある程度、受け取っても差し支えなさそうです。

いただいた言葉は、良いと言ってもらえた点はおごることなく励みにし、悪い点は真意をよく踏まえより良い講義一層精進いたします。

以上を持ちまして、奈良女子大学の非常勤講師の職を完遂しましたの報といたします。

授業準備と運営に力を貸してくださった学務課の皆さま、この機会を下さった同大の佐藤先生、前任の國藤先生、そして、過去6年間のおよそ100名の受講者の皆さん、ありがとうございました。

2023年08月22日

半世紀、生きました。(50歳になりました)「やりたい仕事は残らず全部、やってみよう」

本日、50歳になりました。ついに、半世紀生きたことになります。

この日だけは、記事の読み手を未来の自分としています。「展望を誕生日のブログに書く」ことで、一年前の自分との約束を思い出し、自分の問いに答えて時間を強制的に持つ仕掛けになっています。今年は、50代に入るので、十年展望として綴ります。

##この記事は、ホテル日航奈良から、9月3日に書いています。この夏は、早稲田大学の集中講義、母の法要、奈良女子大学の集中講義(最終講義)、八尾市の起業家育成講座と連続して長時間講義がありタイトでした。移動の新幹線や、滞在先のホテルで万年筆を走らせて、この日記の内容を考えていました。

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夏の旅仕事で各地に滞在しながら、50歳の10年間をどう生きようかを、考えました。

その前に一つ、思い出深いエピソードを。
新卒で入った商社の部署は人生の縮図のように新人、中堅、ベテランのいる大きなチームでした。とてもおっかない大先輩がいまして、私が入社二年目ぐらいの時に定年されました。彼が退職する日しんみりといったのです。「お前らはうらやましいよ。これからなんだってできる。」と。若造の私には、その意味があまりよく分かりませんでした。しかし、一年後にお会いした時に人が変わったように好々爺とされ、終始笑顔なのですが丸くなった背中に、にじむような哀愁というか寂しさのようなものが。確か、すすめられて何か趣味を始めた、と。多忙な職場なので、一人一人と電話が鳴って呼び戻され、うやむやに解散になり、それからはお会いする機会がありませんでした。
その時に強く感じたものがあります。
日本の社会には定年がある。その日を超えると、能力に優れ体力の高い人でも、仕事の土俵から出されてしまう。彼はその土俵を出るその日に『土俵の上にいられる日々』が永遠に失われ、二度と戻らないことを、そういったのだ、と若造の石井は一年かけてハッとしたのでした。

社会は大分変りました。働く喜び、を感じるタイプには定年延長もあり、第二第三の職場で活躍されている方も少なくありません。
石井自身は個人事業主なので、自分がもうこれでおしまい、と思う日が来ない限り、ずっとアイデアプラントという生き方をするのだろうと感じています。

アイデアプラントの仕事を振り返ると、どの時代でも、お客さん(主に大企業でイノベーションに取り組む方)との年齢差があまり大きくありませんでした。大体±10歳までのことが多いのです。50歳になる今、お客さんの肩書が昔とはずいぶん違うことに気づきました。部長、課長が多く、若手側ではグループリーダーや上側では若い取締役も。
そこから外挿して考えると、60歳の石井の上側10歳はかなり減り、下側10歳がお客さんに。そして、70になると±10歳の皆さんはほぼ2つ目の職場で活躍する方、という構図になりそうです。(もちろん、10歳以上の差がある方も少なくはないので、ここまで単純にはならないと思いますが。)

それでも大きな構図として、そうなっていくことを今から心得ておこうと考えました。
すると、定年の日がない個人事業主といっても、徐々に曖昧な土俵ラインを少しずつ割っていく時期がくることを覚悟しておくべきだと。

話を展望に戻します。

産業界、特に大企業では、実績と実力を積んだ50代はリーダーシップを発揮する世代です。そうした世代がお客さんの中心になるとなると、依頼の幅も、中身の高度さも増すでしょう。
引き受けられるかどうかわからないような、今まで誰もしたことがない仕事。そういうものをずっと引き受けてきて納めてきましたが、毎回かなり頑張って到達しています。そういう「まだないこと」を引き受けるというのは振り返れば成長譚ですが、その案件の最初の一歩に立つときは「果たして俺はこれをやり切れるのだろうか」と毎回悩み、不安の藪を漕ぎ分けて進んできた日々でした。この先、お客さんの立場がさらに高くなる。そうすると、登ろうとする未踏峰はますます険しくなると予想されます。

この先の10年は、多分『仕事のゴールデンタイム』だ、と直観的に思うのです。
なので、逡巡するよりも、「やりたい仕事は残らず全部、やってみよう」と思い、これを10年の指針としました。

2つ目の指針もつづります。

50歳になるあたりで少し、自分の中で変わったことがあります。
これまでは、一人で質の高い仕事に全力を注ぎ最高のものを顧客に納める。という職人的な専念をしていました。
あまり、場を作るとか、皆で何かをすることを企画することはありませんでした。
(顧客の依頼に応じて、その種のことをすることはありましたが。)
これからも、顧客への愛が製品のフォルムに(仕事の細部に)宿る。そういう仕事をします。
しかし同時に「もっと皆で楽しもう。場を作ろう。」とも思い、これも10年の指針にしました。

ということで、未来の自分への問いです。

1年後、そして、10年後の私は
❶「やりたい仕事は残らず全部、やりましたか?」
❷「もっと皆で楽しみましたか?場を作りましたか?」

各年代で、10年展望を立ててきました。
今回は、少し自身の心を解き放つ方向性が入りました。
とはいえ、慢心することなく、一層精進しながら、愚直にアイデアプラントの道をゆきたいと思います。

なお、今まで「元旦」(事業)と「誕生日」(個人)に書いていた抱負や指針は、必須とせず、次に書くのは、10年後でよい、としました。正月と誕生日ごろにその時間をまとめてとるよりも、日々、展望を更新して進みたいと思います。



なお、7つの指標を建てました。
残り5つは、ブログ記事としは割愛しておきます。
10年後の自分は「50代の7つの指標」ファイルを開いてください。

posted by 石井力重 at 09:00 | 8月22日

2023年08月21日

早稲田大学で夏季集中講義「デザイン論」をしました。

10年目を迎えました。早稲田大学・所沢キャンパス・人間科学部での夏季集中講義「デザイン論」。
デザインの中でもアイデアデザイン寄りで、実質ブレスト各種技法を学ぶものです。
講義の様子を今年は(学生さん個人の顔や声がわからないようにして)動画で掲載します。
大企業の新人研修で行うのと同じ水準の講義です。
むしろ、100分×14コマなので、どの新人研修よりも多様なものを提供しています。


彼ら彼女らが社会に出て企画的な道を行くときに一つでも多く役立つものを渡したい。そう思って全力でワークショップ中心講義を提供しました。

また、毎年、新しいブレインストーミング法を開発し、学会発表してきましたがその効果性を見る実験はこのデザイン論です。毎年百名以上の受講者がいてデーターとしてある程度のものが得られます。彼らの協力により、社会に新しい創造技法が提供されていきます。
なお、今年は、171名の受講者。AIカードを用いたアイデアワークを体験してもらい、アンケート調査を実施しました。

余談:

非常勤講師は任期が10年間で一応終わるようです。
が、延長希望者は申請をして続ける道もあるそうで、一応申請をしました。
来年も早稲田の非常勤をするかどうかは半々かもしれません。
もし続くなら今までと変わらず全力で講義を提供したいと思います。

2023年08月20日

7〜8月の感性の仕入れ(S660、水上バイク、ジェットパック、フライステーション)

仕事柄、広い発想、面白いアイデアが浮かんでくるよう、日ごろから感性に新鮮な風が入ってくるような体験を心がけています。それを私は「感性の仕入れ」と呼んでいます。

この夏の完成の仕入れは、陸海空、いろんなことができました。
4つの体験を1画面の中で再生する動画にまとめてみました。


陸・・・S660(ホンダの軽自動車スポーツカー)。軽自動車とは思えないハイパワーが重量の軽い車に乗っているのでとにかく面白いです。峠のカーブで面白いようにスパッと曲がりコーナーの出口でスワワと加速。私の体格だとどうしても後部の出っ張りに頭が当たります。どうシートポジションを工夫しても当たりました。なのであまり段差を勢いよくで超えると頭頂部をぶたれるような痛みがあり、気絶したらまずいなという別の意味でもドキドキするドライブでした。S660は乗るではなく着る、とよく書かれていますがまさに。自分より一回り大きいマシンを着るような、そんなわくわくする乗り物でした。なおほとんどインパネに余計なものがなくナビもないのですが代わりに重心点を示すディスプレイがあり、前後左右の加重が常時わかります。0.5Gを超えるとピピっと警告音が鳴るので安全支援装置の位置づけかと。実際は競技自動車をする人はこれがあると、コーナー入り口できちんと前荷重にして、とか、カーブであまり荷重がアウト側になっているとグリップがやばいかも、という判断ができます。

海・・・水上バイク。15年前ぐらいに旧4級船舶をとり、長らく失効していましたが、再取得講習を受け、水上バイクの講習設けて、レンタル&ガイドさん付きプランで、宜野湾から恩納村まで1時間ぐらい走行してきました。ガイドさんの行く後をついていくのですが、結構必死です。べたなぎの時はスピードを出しても操縦の難しさは感じません。ですがわずかな小波でも出てくると、バキン、バンッ、ドン、と船底に固いものがぶつかります。何か浮遊物かと思うぐらい、高速走行時の波って固いんです。腕が疲れますし、神経を使います。また基本は波に平行に走らないようにするのですが、常に垂直に走ることもできないので、波に平行気味に超えていくと船体がぐらんと傾きます。高速走行しているだけにバランスを崩すと振り落とされそうなので、楽しいのと同じぐらい緊張した体験でした。右のレバー操作がアクセルでわずかな角度でゼロからフルスロットルになるこの操作系は、人間工学的にちょっと未成熟なままにされていないかなと思うのでした。そういう気づきは、どこかでの製品開発の際のアイデアになりそうです。

空(1)・・・ジェットパック。背負った装置からすごい量の水が噴き出します。その向きを二本のレバーで操作し、方向をコントロールします。なれてくるとそらを意のままに飛ぶ感じが気持ちいいです。動力は水上バイクの排水であり、太いパイプ経由で水上バイクから送られてきます。なので、水圧のコントロールはインストラクター任せで前後左右の移動が自力でできる感じです。操作はかなりピーキーでハンドルをグイっと動かすとくるくると回転したり思わぬ挙動をしたり。ほとんど動かさずちょんちょんとずらす程度がいい操作のコツのようです。なおきりもみしながら水面にたたきつけられたときは相当に痛かったです。ぼーっとするような、多分軽い脳震盪が起こっていたかもしれません。空を飛ぶ乗り物が今後普及するうえで、何が大事かその鱗片を少し見たような気がします。

空(2)・・・フライステーション。最大250q/hの風が吹き上げる風洞の中でスカイダイビングをする施設です。日本では越谷レークタウンにあります。大気中でスカイダイビングで落下する人は約200q/hで平衡状態に達するそうで、その状態を作り出して飛びます。インストラクターがついてけがの無い様にまめに姿勢を治してくれるので安心して体験できます。体感的には(当然ですが)落下している感じはなく、ものすごい風圧の中でふわふわ浮かんでいる、という奇妙な体験をします。手足そして体をピンと伸ばし、顔は壁面を向くように上げ、足は膝をわずかに(15度ぐらい)まげ、手は大きな丸を作るあの感じを頭1つ分ぐらい開けます。これがもっとも空気抵抗が大きくなり浮く姿勢だそうです。実はこれだけは3度目の体験でかなりうまくなっていました。なお同じターンに体験したレスリング選手の方は身体の使い方がうまくかなり初回からよく飛んでいました。彼曰くしばらく息ができなかったとのこと。以前体験があった石井としては息苦しさは感じませんでした。なお着地は体を畳めば抵抗がなくなるのですとんと。今後空飛ぶが普及するときに、着地が最も重要なキーテクノロジーになるんだろうなぁ、とジェットパックの体験とともに感じていました。


こうした体験を良いインプットにして、各所各社さんのアイデアワークをより実りあるものにしたいと思います。
posted by 石井力重 at 16:44 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年07月31日

小型船舶操縦免許証(船の免許)を取りました。※正確には18年ぶりの再交付

アイデアの仕事をしていると、様々な業種の企業さんと創造ワークを行います。
一般的に、知識や経験をもっているほどアイデアの材料がふえます。
そのため、幅広い分野の製品やサービスを体験しておくようにしています。

さて、この夏は、造船部門のクライアントさんと長期の仕事をしていまして、船を深く知りたいという状況にありました。

そこで、タイミングよく講習が開校されている那覇へ行き、「小型船舶」および「特殊小型」(水上バイク)の講習を受けてきました。

免許交付はこちら。

fune1.jpg

(このケースは薄い浮き輪のような構造になっており、もし海中で落としても浮くようになっていて、いい工夫だなぁと。)

fune2.jpg
(この免許で、「二級」(小さい船)と「特殊」(水上バイク)が乗れることを意味しています)

※このブログ記事を再交付を検討されている方も読まれるかもしれないので少し、細かいことを書きます。

船の免許は有効期間5年間です。※ それを過ぎて何もしないと免許失効します。
しかし、船の免許は、車の免許と違い、失効していた期間がどれほど長くても、「失効・再交付講習」を2時間受講するだけで、また免許が有効になります。

私は今から23年前に、旧「四級船舶」の免許を取りました。(尾道にて)
当時は、水上バイクの免許は、そこに内包されていました。
(水上バイクについてはほぼ何も習わず。いや、ひょっとすると少しは習ったのかもしれませんが一切記憶なし)

小型船については、講習と実技試験で乗った以外では、ついぞ、プライベートで乗る機会がないままに5年がたちました。
もう乗ることもあるまい、と思いそのまま(失効状態)にしてありました。

そしてこの夏、18年と10か月の失効期間をへて、那覇で「失効・再交付講習」をうけました。
普通は1週間ぐらいかかるのですが、事情があり、数日間で免許を再発行してもらいました。

そして、その週末、「特殊小型船舶」の座学と実技講習も、受講しました。(ほぼ正規の受講の値段よりわずかに安い費用がかかります)
本来、免許保有者が受ける必要はないのですが、水上バイクの知識もしっかりほしかったので。

(車でいうペーパードライバー講習、みたいなものといえばわかりやすいかもしれません。)

結果としては、受けてよかったなぁと感じました。
水上バイクは、挙動特性が独特です。バイクとも船とも違います。

実技講習では、水上バイク(Yamahaマリンジェット)に教官と一緒に乗ります。
「わ、結構、難しいぞ」と思ったのですが、教官の指導のもと、30分位走らせているとみるみる上達します。
そして、港の中や港の近い外側、航路、といった、とても気を使う場所で、水上バイクをいかに扱うか、何を気を付けるべきかを指導してもらい、次からは安心して操縦できるだろう自信もつきました。

その前日に学科講習もうけまして、これもまた、非常に学びになりました。
曖昧になっていた船のルール(道路交通法にあたるものが3つある)もはっきりしました。
また、水上バイクの固有の気を付ける点もしっかり学べました。
水上バイクの構造も、学習するんです。すごく面白い。

※なお、石井の場合は”受験”じゃないので実技(水上バイクの操船)講習時には有効な免許が必要でして、再交付からの発行を急いでくださった、というのがあります。

そんな感じで、「失効再交付講習」「学科講習(受講のみ。試験無し)」「実技講習(実技のみ。試験無し)」ということを僅か1週間の那覇滞在で行ってきました。

以上、細かい話ここまで。


なお、それらのすべてが終わった翌日には、実際の体験をしておくべく、地元のレンタル会社にガイド付きのレンタルを申し込みまして、3時間ほど、水上バイクを走らせてきました。

fune3.jpg
(岸が近い場所なので、徐行しているところです。)
 
※実際の様子。エンジン音が出ます、音量にご注意ください。

この動画はべたなぎの状態です。しかし少し走ると小さい波のあるあたりもありました。

波が立っている中、高速走行する水上バイクは、堅い岩の上をサスペンションがとても堅いバギーで走っているぐらい、がつん、ばきん、という衝撃を受けて走るんだなぁと。

この数日後には、飛行機でクライアント先へ。
以前よりも少しだけ、船や水上バイクの実体験を持ったうえで、創造ワークを行うことができました。

アイデアプラントの仕事には、こうした「感性の仕入れ」(体験や知識を沢山しておくこと)が大事だと考えておりまして、この記事ではその具体的な一つを紹介してみました。

posted by 石井力重 at 23:39 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2023年06月30日

アイデアワークショップと探求の授業の講義スライドを公開しました【芝浦工大】【宮一】

私が今月行ったワークショップの講義スライドを公開します。

講義スライドを動画に変換し、Youtubeにアップロードしています。
音量注意(音声はありませんが、BGMが入っています。)

スライドは2秒ごとに切り替わります。詳しく見たい場合は、スペースキーで一時停止して読んでください。文字は大きめなので、全体的に見るだけなら自動再生でも良いかとおもいます。

ワークショップは2つあります。

1つ目は芝浦工業大学で行ったアイデアワークショップです。
このワークショップでは、ビジネスプランコンテスト参加者たちが自分の温めているビジネスアイデアをアイデア発想法でさらに広げ、次々相手を変えて行う3人ブレインストーミングでフィードバックを受けながら多様な可能性を紡ぎだしました。


※途中のAIパートで別スライドを用いましたが、それは前の記事に掲載したスライドです。

2つ目は宮城第一高等学校で行った探求の授業です。
この授業では、生徒たちが自分のテーマを設定するために、アイデアを発想する方法や評価する方法を学びました。


※体育館でのファシリテーションでしたので、重要ページは文字を限界まで大きくしています。


最後に、Infomation(今後のための情報集)を載せておきます。

    
 

 Infomation 

リンク、あるいは、詳細 
 IDEAPLANT
発想道具一覧
  1. 智慧カード3TRIZの発想カード)
  2. ブレイン・ライティング・シート230分で108個のアイデア創出)
  3. ブレインストーミング・カード (会議の前に5分、練習ブレスト)
  4. ブレスターブレインストーミング学習ツール)
  5. はちのすボード ダウンロード版 (オンライン・ブレストを助けるMiroツール)
  6. IF60(有益な機能集から新製品を発想するカード)  (非売品)
  7. フリップボード・ブレスト セットA4スケッチブック、ペン、白いシール、拙著のセット)
  8. CEMRAPSカード(会議でアイデアが出やすくなる、創造的アイスブレイクのカード)
  9. アイデアの型「CEMRAPS(一人でアイデア出しをしやすくするシート)
  10. アイデアトランプ52の発想の問いを記したカード)
  11. nekonote(ねこのーと)(考えの表出化と構造化を促すメモ紙)
  12. ASOPICA(アソピカ)(連想の4法則を学習するカード)
  13. IDEAVoteアイデアを創造的に絞り込む方法を学ぶツール
  14. Yomo(よも)ポストイットワークを捗らせる台紙)
  15. RokuCore(ろく+こあ) アイデアのPivotを促進するツール)
 
 参考文献
(じゃなくて)
オススメ3冊

『スウェーデン式アイデアブック』

  • 1時間で読めて、短い言葉で驚くほど多くの創造的な姿勢に対する示唆をくれます。

『クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST』

  • それほど有名じゃない本ですが、上記の本と柔らかい感じは似ていて、そして、創造の営みに大事なことが、書いてあります。

『すごいブレスト』

  • 拙著で恐縮ですが、ブレインストーミングについて言及したところは、ぜひ、読んでもらえたら。創造的姿勢に弾みがつきます。オンラインと対面のブレスト方法、アイデアの磨き方なども。
 
    






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